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その先へ・・・4

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「だがあれが……、おれのしくじりが無ければあいつを巻き込む事も無かったし、女だと知ることもなかった。ユリウスの事は、妙に気になる毛色の変わった下級生として、心を残す事なく別れを告げロシアへ戻れた。あいつだって、こんな危険なロシアにやってきて、記憶まで失ってしまう事は無かった筈だ」
「本当にお前はその方が良かったと思っているのか?そして彼女はどうだ?彼女はお前が自分の秘密を知ってるとは思ってなかったんだろう?それでもお前を愛し、お前を追いかけ、お前と生きる為に見つかるかどうかさえ分からないロシアまでやってきた」
「……だとしたら尚更だ。あいつをこんな所に来させてしまったのは、おれの責任だ。早く記憶を取り戻してやって、故郷に連れて帰る」
はぁ……
ズボフスキーが大きなため息をついた。
「おまえは二言目にはそう言うが、本当にそうだろうか?」
「……」
「なぁ、アレクセイ。責任とかそんな事じゃないと思うんだがな」
「……」
「男と女が出合い、惹かれ合い、愛し合う。実に自然な事じゃないか。ロシアへ戻るから、とか記憶を失ってしまったから、とかそんなのはお前が彼女から逃げるための言い訳に過ぎない。お前はドイツでも、このロシアでも、彼女から逃げてばかりで正面から向き合っていないんじゃないのか?」
「!だが、おれは……!」
「おまえが言いたい事はわかる。おれたちには成しえなければならない事があり、常に危険と隣り合わせだ。加えておまえは多くのアカトゥィで散った同志の想いも抱えている。だが、果たして彼らが、おまえが人間らしい感情を捨て去る事を望むだろうか?おれたちがやろうとしている事は、とどのつまり皆を幸せにする事だ。愛する女を幸せにしたいという、人間らしい感情を捨て去った者が事を成しえるのだろうか?人間らしい心を失った者が作った世界に、一体何があるというのだ?まぁ、そんな生ぬるい事が通用するとは思っちゃいないが、せめて!せめて心はそうありたいじゃないか!」
「……」
「おまえが彼女を守りたいのはわかる。だが、彼女は自ら選んで茨の道を歩もうとしてロシアへ来たんだろう?自ら選んであの男の所へ戻らず、ここにいるんだろう?危険は承知の上だ。おまえが何を言おうと、彼女の気持ちは変わらないさ」
「……」
「愛する女を得ると言う事は良い事だぞ、アレクセイ。それは自分を甘やかす事ではない。何よりおまえ自身を強くしてくれる。これからおれたちを待ち受ける辛い戦いの中を生き抜くために、おまえにはユリウスが必要だと、おれは思うよ。
なぁ、アレクセイ。おまえはどうしたいんだ?」


作品名:その先へ・・・4 作家名:chibita