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先生の言葉 全集

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23.ダンサーの矜持



 あのー、いきなり人の部屋に入ってきて「こいつを引き止めてくれ」って言われても、何がなんだかわからないんですよ。そちらの盗賊の方、何かあったんですか?

 今はケチな盗賊をやっているが、元々ダンサーだった? ほう。そりゃすごいじゃないですか。なるほど。理由はわかりませんが、またダンサーの職に戻りたいんですね。パーティの皆さんには悪いですが、ダンサーに戻れるんならぜひ戻った方がいいと思いますよ。
え、そういうことじゃない?

 冒険をやめる気はさらさらない? だけど、あの回転床。あれに魅せられてしまった、と。

 回転床って方向感覚を狂わされる、あの回転床ですよね。我々モンスターもたまに踏んでしまって、設置した最奥の魔術師に毒づくことがありますが……。いったい、あんなもののどこに魅力を感じたんですか?

 はぁ? 床の方も動く状況でダンスをしてみたいと思った?

 ……まあ確かに、そういう床の方も動くダンスはあまり見たことはないですね。それほどダンスに詳しくないのでわかりませんが。でもまあ、趣味レベルでやるんなら良いんじゃないですかね。パーティの皆さんともよく話し合って、折り合いをつければいいんじゃないかと思いますけど。

 え? 床が不規則に動くわけだから、練習量も今までよりはるかに多くなる? だから練習中、パーティのみんなにモンスターが来ないよう見張っていて欲しい?

 それはちょっと、パーティの皆さんの負担が大きいと思いますけどね。皆さんきっと退屈でもあるでしょうし。ならば、こういうのはどうですか? あなた一人でも冒険ができるような職に転職するって言うのは。
 そうですね。一人で冒険となると、僧侶か君主、性格次第で侍あたりでしょうか。あまりダンサーとは馴染みがない職かも知れませんが、戦えて魔法も使えるので最悪一人でも冒険することは不可能ではありません。こういった職業になれば、パーティの皆さんに迷惑をかけず練習することも、モンスターにその華麗なダンスを見せ付けることもできると思います。
 ただ、盗賊のあなたがこれらの職に就くには途方もない修行が必要かもしれません。それこそダンスの練習より過酷な修行になる可能性すらありますが、それでも回転床上でダンスする夢を追いかけますか?

 それでもやってみる?

 そう言ってくださると思ってました。ぜひがんばって下さい。あ、でも転職しても首をはねられたら終了ですから、そこは気をつけてくださいねー。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔