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先生の言葉 全集

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21.レベルアップ恐怖症



 お、ちょくちょくお手合わせしていた僧侶の方じゃないですか。よくいらっしゃいました。改めて一人で来られるなんて、修行熱心ですね。

 そうじゃない? 悩みがあるんで話を聞いて欲しい? ええ、私で良ければ話を聞きますが、どういったことですか?

 レベルアップが怖くて馬小屋に泊まれない? あなた正気ですか? だって、レベルが上がって困ることなんか何にもないじゃありませんか。まあ能力が下がることはありますが、貴方はまだ若いんでその可能性も低いでしょう?魔法も覚えますし、貴方はともかく前衛は攻撃回数が増えることもありますし、良いことずくめだと思いますが……。

 え? その魔法が問題? レベルが上がったとき、稀に魔法を覚えられないことがあって、その覚えられなかった魔法次第では、仲間たちから白い目で見られてしまう? それに昔、とある重要な魔法を覚えられなかった人の名を取った病気と揶揄されてしまうと……。

 ……その魔法とは、石化をも治癒できるあの回復魔法ですね。という事は、あなたは現在レベル10ですか。確かに、レベル11から12になるのに必要な経験はかなり大きいですから、レベル11であの魔法を覚えられないと痛手なことは確かです。ですが、そこまで重圧を感じる必要もないと思います。例えば僧侶が複数居るようなパーティの場合、前衛に立つ可能性が高くなります。こういう時、回復魔法のない方が心置きなく前衛に立てるということもあるのではないでしょうか。僧侶の方だって体を張る事はできると思いますよ。それだけではありません。回復魔法のおかげで軽んじられ気味なあの真空の刃で攻撃する魔法。あの魔法を多用する超攻撃的僧侶というのも決して悪くないのではないでしょうか。
 要は、ものは考えようだと思うんです。あの魔法がない今も冒険しているんですから、なくたってどうにかなりますよ。

 何? でもやはり覚えないと体裁が悪い? 体裁などうっちゃってしまいましょう。そんなのは気にするだけ無駄です。大切なのはこの迷宮で生き残ることでしょう? どれだけ魔法を覚えてものたれ死んだら意味がありませんよ。
 それに体裁なんて言ったら私はどうなるんですか。「皆さんに最も倒されたモンスター」なんて恥ずかしくて今すぐ成仏したいくらいです。それでも泥水啜ってやっているんですから、あなたもここは男を見せて宿屋に行きましょう。

 なに、腹括った? じゃ、覚悟を決めていってらっしゃい。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔