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先生の言葉 全集

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14.階おこし



 おや、珍しい。剣士さんじゃないですか。久しぶりですねえ。

 4、5階の皆さんは元気ですか? 司教さんやマイナーな大名の方、わんこや龍の子もいましたよね。あ、みんな元気? それは良かったです。今日はどうされましたか? ちょっとアイデアが欲しい? ほうほう。どのような事でしょうか。

 俺は4層と5層にいるが、4層はかなり頻繁に冒険者が来るのに、5層は全く冒険者が来ない、どうにかして5層にも冒険者を呼ぶ手段はないだろうか、と……。なるほど。確かに大体みんな4階で青い布きれ取って、すぐ9階へ直行しちゃいますからね。

 しかし、難しい問題ですねえ。5階といえばこの迷宮でも屈指の危険な罠である魔法禁止地帯がある上に、得られるものもほとんどありませんからね。そりゃ人なんて来ませんよ。

 そこを何とか? うーん、考えてはいますが……。

 そうだ。後ろ向きに考えるからいけないんですよ。逆の発想をすればいいんじゃないでしょうか。大抵の冒険者は、魔法が使えない状況なんて陥ったこと無いでしょう。みんな命が大事ですから、魔法が尽きる前に城への帰路につくだろうと思います。ですので、魔法が使えない状況を体験するツアーを組むんです。で、実際に地帯に足を踏み入れてもらって、帰り道で友好的なモンスターと模擬戦をするんです。前衛は魔法の援護が無い中での立ち回りを学べますし、魔法職の方は得意技を封じられた状況でどう動くべきかが問われます。これなら、冒険者だけでなく、モンスターの皆さんの力もつくんじゃないかと思いますよ。言うなれば、魔法禁止地帯をウリにして、村おこしならぬ階おこしをやってやろうというわけですよ。

 え? そんなの最奥の魔術師が許すわけが無い?

 いや、今のはあくまで冒険者側に向けた売り文句です。魔術師の方には冒険者を5階におびき寄せて、魔法をつかえなくしてから一網打尽にする計画を立てているとでも言っておきましょう。これなら文句は言われないどころか喜んでやってみろと言うはずです。もし、話が通らなかったら、城にいる狂った王の方に話を持っていきましょう。4階にセンター作るくらいの人ですから、5階を第2訓練場にしようなんて話、絶対乗り気になりますよ。どうです? なかなかいい案だと思いませんか?

 はい? ちょっと話が大きくなりすぎて、怖くなってきたからやめとく?

 うーん。魔術師も王も、いじめっ子気質ではありますが、そんな怖い人じゃないんですけどね。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔