先生の言葉 全集
9.居場所
おや、冒険者さん。お一人で来られたんですか。え? お忍びで来た? んーと、あなた忍者ですよね。忍者がお忍びって……、そういうギャグ? あ、そういうことじゃない。な、なんか、ごめんなさいね。
パーティの奴らに内緒で相談がある、と。おやおや、一体どういったことでしょうか。
実は先日、すごい短刀を手に入れたんで、その力を解放して忍者になったんだ?あ、そういえば、あなた以前にお会いしたときは、盗賊でしたもんね。で、忍者になったのはいいけど、いつも後列なので敵の首を刎ねる機会がない、と。さらに、どうも忍者になってから指先の感覚が鈍くなったようで、宝箱の罠の識別が上手にできなくなってしまって、そのせいでパーティの奴らから白い眼で見られている、ということですか。
なるほど。就くのが難しい職とは聞いてますが、就いてからも気苦労は絶えないようですね。ただ、厳しい事を言いますが、どうも忍者という職業をあまり知らぬまま、気軽に就いてしまったように思えますね。まず、罠の識別能力についてですが、基本的に忍者のそれは盗賊に遙か遠く及ばないものだと聞いています。それでも、他の職業よりはいくらかマシなようですが。ですので、パーティ内の僧侶呪文を覚えている方々に、宝箱の罠を識別する魔法をかけてもらうよう相談しましょう。ただ、この魔法での識別も100%成功するわけではないので、そこは注意してください。静寂の魔法とかを唱えられる回数が減るから、きっと嫌がられるって? その時は、テレポータ引っ掛けて「いしのなか」に入ってもいいんだね? と言ってあげて下さい。
また、忍者になったことで得られた白兵戦の能力については、これもパーティの皆さんと相談して、時々前衛に出させてもらうようにしましょう。そして、お試しという形で戦いぶりを見てもらいましょう。ほら、あなたのパーティには侍の方がいましたよね? 彼もたまには後ろでゆっくりお茶をすすりつつ、核撃の魔法でもぶっ放したいんじゃないでしょうか。前衛に居る時は、あまり魔法も使わないでしょうからね。そうやって「俺も前衛に立てるんだぞ」とパーティの皆にアピールしていけば、いつか活躍の機会が与えられる時が来るでしょう。
ところで私、友好的なんですけどどうします?
え? なんかちょっと自信なくなってきたから、首刎ねる練習をしていきたい?
……まあ、どうせ幽霊ですし、首もすぐくっつくんで構いませんけどねぇ。