先生の言葉 全集
8.毒の川
おや、皆さん大勢でよくいらっしゃいました。
実は悩みがある? はいはい。私で良ければお力になりますよ。
どうも冒険者たちに舐められているようなので困っている? なるほど、そうなんですか。
でも、そんな舐められている感じはしませんけどね。そちらの僧侶の皆さんはもちろん、こちらの方々は忍者でしょう? 後ろにいらっしゃるのはお侍の面々ですよね。
ふむ。俺達はこの迷宮の三階を根城としているが、一つ上の階にいる奴らとそれほど実力が変わらないせいで、どうも舐められている気がする、と。うーん。私は決してそんなことはないと思いますけど、皆さんがそう感じるならそうなのかもしれませんねぇ。
おやおや、忍者の方。そんな悔しがらなくてもいいじゃないですか。え、俺達よりウサギどもの方がよっぽど冒険者に怖がられているって?
……まあ、仕方ないですよね。忍者にくびをはねられるのは、まあわりと起こりますけど、かわいらしいウサギにくびをはねられたとなると、その後、無事に蘇生できたとしても、ちょっとかっこ悪いですからねえ。やっぱり冒険者の皆さんもウサギに首をはねられた人って汚名はできれば着たくありませんよ。
わーっ、お侍さん。簡単に切腹しないで下さい。何か良い方法を考えますから。そうですねぇ、僧侶、忍者、侍の全員が対応できる解決方法は……。ああ、そうだ。この迷宮の三階といえば、毒の川が流れている階層でしたね。おかげで、毒を持つ生物もわらわら集まってきているとか。ならば、皆さんも冒険者が来るまで、武器を毒の川に浸しておきましょう。三階あたりをうろつく冒険者は、解毒の薬や魔法もまだそれほどたくさん使えないと思われます。ですから、きっと皆さんが毒の攻撃をしてきたら、さらに恐れられるようになりますよ。
ん? お侍さん。どうしました? そんな卑怯な手を使うのは、武士の面目が立たない? うーん。そうですか。では、しっかり修行をなさって己の力を高めていただくしか……。
わーっ、だからそんな簡単に切腹しないで下さいよ。ね、頑張れば強くなりますから。なんならこれから私と「修行」してきます? 味方同士ですけど。僧侶と忍者の方々は、とりあえずその方法を試してみる? ええ、ぜひやってみてください。
さて、お侍さんはどうしましょうかね。連れて帰るから気にするな? あ、そうですか。すみませんね。
それでは、皆さんの悪名がこちらにも轟いてくることをお待ちしておりますよ。