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先生の言葉 全集

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94.一攫千金



 いいもうけ話があるんで、のらないか?

 いや、残念ですが、私、お金にまったく執着がないんですよ。不死族なんで食費はかからないし、衣服もボロで十分に満足していますし、こんな貧弱な体ではろくな装備はできませんから、お金をためて何かを買おうだなんて思わないんです。
 でも、高級な線香はたいてほしいだろう、ですって? まあ、それはそうですけど、お参りってのは気持ちじゃないですか。高級な線香よりもわざわざ私なんかを参ってくれるという、その気持ちのほうがうれしいと思うんですよね。

 大体、そのもうけ話というのは一体どういったことなんですか。正直、とてもうさん臭く思えるので、ちょっと教えてくださいませんか。まあ、教えてもらっても、お金を出す気にはならないと思いますけれども。

 ええ、なになに。とてつもなく凄腕のパーティを買収して、彼らに4階のコントロールセンターを何度も往復してもらうと。それで、センターの敵どもが持ってるあの指輪を大量に手に入れ、それをある程度の報酬と引き換えに受け取れば、たくさんお金が手に入る、そういうことですか。

 ……やはり、あまり良い手ではない気がしますね。というより、これ、あなたに言うのもなんですが、詐欺なんじゃないですか?

 まず、そんな話を受け入れてくれる熟練のパーティなんか恐らく存在しないと思います。そんなパーティなら、センターよりも最下層まで降りて戦ったほうが間違いなく実入りがいいからです。確かにあの指輪の売値である25万Gpは高額ですが、そのパーティの取り分は確実にそれより減るわけですよね。センターでリスキーな戦闘を薄給で繰り返すパーティがいるとは思えません。そんなことをするぐらいなら、遭難しようが、全滅しようが、石の中に入ろうが、10階まで足を運んで高級な武具を手に入れようと考えるのが冒険者というものでしょう。
 それに、指輪をどうやって地上に持ち帰って商店に売りつけるのでしょう? あの指輪はとても素人の体力では地上まで持って帰れません、大人数でリレーをすれば可能かもしれませんが。あと、鑑定する司教も必要になると思いますが、こちらも失敗しないとは限らない。こうして、人が増えればそれだけ取り分は減っていくのです。

 結局、センターのモンスターを自分で倒せるだけの実力をつけるのが一番いいんです。そして、そこまでいけば、最下層でさらに高価な武具を探す誘惑に耐えきれなくなってると思いますよ。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔