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先生の言葉 全集

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92.街に来てみないか



 街の中を見たくはないか、って?

 いや、別に見たいとは思いませんね。私、アンデッドですし、日光なんて浴びられませんから。あと、今はこの迷宮で任務にもついていますので、ここから出たいという気持ちはありませんよ。

 でも、たまには地上に出たほうがいい、気持ちがいいぞーって、あなた、私の話を聞いていましたか? 私たちアンデッドは、光に弱いんですよ。ディスペルぐらい弱いんですから、お日さまの下なんて出れるわけないでしょう。ふざけるのもいい加減にしてください。

 でも、一度位、商店で買い物とかしてみたいだろうって? 別にしたくもないですね。そんなにお金も持っていないですし、私のような雑魚はろくに武器も扱えませんから、装備できる品なんてそれほど多くないんですよ。冒険者の皆さんにカモにされるモンスターなんてこの程度なんですから、もう放っといてくださいな。
 だいたい、仮に私があの回転する刃の付いた剣を装備して、猛然と襲いかかってきたらどうするんですか。1階で頑張って経験値稼ぎをしている駆け出しの冒険者の方々も、恐らく困ると思いますよ。

 じゃあ、王宮に行ってみるのはどうだ、狂王のところまで案内してやるぞ? あなたねぇ、私が仕えている魔術師とその狂王が仲たがいしたせいで、今回の騒動が持ち上がっているんですよ。そんな相手側のボスの前に、私なんかが顔を出したら最後、一刀のもとに斬り伏せられてしまいます。

 そんなにつれないのなら、いっそ酒場で飲もうじゃないか。仲良くなれたら、きっと街を一緒に散策したくなるに違いない。それに昼間ではなく夜ならば、アンデッドでも問題ないだろう、ですか。うーん。今までの提案よりはよっぽどマシな話だと思いますが、私、申し訳ないことに下戸なんです。というより、アンデッドなんで飲み食いはしないんです。ですので、申し訳ありませんがこれも却下ですね。

 じゃあ、訓練場に忍び込むというのはどうだ。あそこで訓練している奴らなら、まだまだひよっこだし、あんたでも倒せるはずだ?

 なるほど、それはいい手ですね。訓練場にいるうちにこれから有望な冒険者をやっつけておけば、こちらが有利になるでしょうしね。
 でも、あなた方はそんなことに手を貸してもいいのですか? 自分で自分の首を絞めてしまうことになりかねないですよ。

 え、将来のライバルを蹴落とせるなら、それでも構わない?

 どうやら、押しだけじゃなく、野心もかなり、お強いようで。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔