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先生の言葉 全集

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81.歪み



 どうも、こんばんは。

 皆さんは確か、先日、リボンを無事に手に入れられたパーティですね。おめでとうございます。それ以降、中層あたりを行き来してると耳にしましたが調子はいかがですか。

 ほう。面白いアイテムが出てきて興味深いと。なるほどねえ。上層ではほとんど店売りのものしか出てきませんから、中層以降ではそういうお楽しみも増えますよね。でも、アイテム収集に熱中して、本来の目的を忘れてしまってはいけませんよ。

 ところで、そのアイテムに関してどうしても分からないことがある? 私でよければお答えしますよ。いったいどういったことでしょうか。

 この盾を見てくれ? はい。ああ、これは攻撃を受けてゆがんでしまった盾ですね。迷宮の中層や下層でよく発見される品です。それほど値が張るものではないですし、盾としても正直、全く役に立たないですから、上級の冒険者は、司教に鑑定させてすぐその場に捨ててしまうこともあるぐらいですね。それで、この盾がどうかしたのですか。

 ええ。ゆがんでいるし全く利用価値がない盾なのに、呪われていないのはおかしいんじゃないかと。

 ああ、そうでしたね。この盾、呪われていないので、一応、装備をしても問題はないんですよね。そう考えると、確かに冒険者さんから見れば不思議に見えるかもしれません。でも、モンスターの側から見てみると、いろいろと事情があるんですよ。

 実はですね、呪われている武器や防具の一部は、うちの高位のメイジたちが頑張って呪いをかけているんです。ええ。それこそ一つ一つ、ていねいに。でも、そのおかげで作るのに時間が掛かってしまって、モンスター間では呪われたアイテムのほうがレアだと言われているんです。

 そんな中で、戦闘で攻撃を受けてひしゃげてしまった盾にまで、呪いをかけている暇がないっていうのが本当のところなんです。先ほども言ったように呪いをかけられるメイジは高位のものに限られますし、そのメイジだってあなた方のような、冒険者との戦闘で命を落とすことはありますからね。率直に行ってしまうと、呪いのアイテム作成者の手が足りない状況なんですよね。

 ですから、皆さん、特に後ろのメイジさん。いっそわれわれの側に寝返って、呪いのアイテムを作成してみませんか。今なら最奥の魔術師も高待遇で雇ってくれると思いますよ。

 え、そんな手には乗らない?

 持ってくる盾はゆがんでいても、冒険者の性根はゆがんでいませんか、やっぱり。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔