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先生の言葉 全集

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76.なんで逃してくれないの



 うーん。これは悔しいですね。

 もうちょっとだったんですが。うまく魔法使いの暗闇の魔法にしてやられました。あの魔法は、他の攻撃魔法なんかと違って、無効にできませんからね。悔しいですけど、負けは負けです。こればっかりは仕方がありません。

 さて、皆さん、お疲れのようですから、ここで一休みしますか。それともすぐに連戦といきますか。お好きにしてくださって結構です。でも、私も少々疲れましたので、正直に言えばちょっと休みたいですね……。

 え、何ですか。休むついでに、話がある? ええ、何でしょう?

 はい? なんで、この玄室の扉は戦闘が始まると、途端に逃げられないようになるんだ? あ、そのことですか。そうなんですよ。戦闘を始まったら、玄室の扉を私の霊力で閉めてしまって、開かないようにしてるんですよね。

 なんでそんなことをしてるのかって、理由はまあいろいろとあるんですけど、まず、一応は、私、霊なんで、少しは怖がってもらわないと困るんですよね。今でこそ、ここは格好の狩り場になっちゃってますけど、第1階層に最下層にもいるモンスターが出て、しかも逃げられないという、まあ、初心の冒険者に絶望を与えたいという目論見がここにあるんですよね。
 もう一つ、これはあまり言いたくはないのですが、こうでもしないと、私、勝てないんですよ。いつでも逃げることが可能だったら、ただでさえ連戦連敗の私が勝利する可能性など0に等しくなってしまいます。だって、せっかく初心者をおびき寄せたのに、扉を閉めないと逃げられちゃうわけですからね。こんな私でも勝ちたいんです。勝利を味わいたいんです。酔いしれたいのですよ。そのために、戦闘が始まったら、玄室の扉を閉めるぐらいのことをさせてもらってもいいんじゃないですかね。
 まだあります。一応、幽霊としては怪異の一つも起こしたいじゃないですか。幽霊と言えば、ポルターガイストとかクイックシルバーとか、あのへんの皆さんがいろいろとしますよね。あんなノリで扉をちょいと締めちゃおうかなって、そんな感じなんですよ。普段、私、どの階にいても煙たがられてるんですから、これぐらいのことは許してくださいよ。

 え? 理由を聞いただけで別に怒っちゃいないのに、なんで必死に言い訳してんだって? ああ、いや、なんか責められてる気がしてしまったんで、ついつい必死になってしまいました。

 でも、本当はちょっとムカついてたんでしょう? あ、やっぱり。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔