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先生の言葉 全集

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67.眠り



 うちの魔法使いが、眠りの魔法を唱えてくれないですって?

 なるほど、それは問題ですねえ。敵を眠らせてから攻撃というのが、この迷宮の基本ですからね。眠りは大抵の敵に効きますし、眠らせれば敵は当然、動けないわ、攻撃が倍になるわで、損なことは全くありませんからね。

 例えば魔法使いの方が、前衛の腕をもう完全に信じ切っているとか。前衛の皆さんが確実に一人一体、敵を倒してくれるようなすご腕ならば、魔法使いの方がそういう考えに至ってもおかしくないと思いますが、いかがですか。
 ええ。むしろ頼りないぐらいで、盗賊が、俺が前に出たほうがまだましだってぼやいている? そうですか、じゃあ違いますね。

 それならば、魔法使いの方が防御的な魔法を唱え続けている可能性はありませんか。気の弱い魔法使いの方にありがちなのですが、戦いが始まると怖くなってしまって、自分の防御力を上げる魔法ばかり唱えてしまう方がたまにいらっしゃるそうです。こういう方にはもっと戦闘に慣れてもらって、魔法使いは後方から前衛を援護する役割だ、ということをちゃんと理解してもらう必要がありますね。
 えっ、そういうこともない。うーん。それは困りましたね……。

 では、もうその魔法使いの方は諦めて僧侶の方を頼りましょう。僧侶の方は敵を眠らせることはできませんが、敵を固めて動きを取れなくさせる魔法が使えます。それを使ってもらえば眠らせるのと同じ効果が期待できますよ。
 はあ。うちの僧侶は前衛に出ていて重要な攻撃役だ? あらら、それじゃあこの作戦も難しいですね。しかし、僧侶の方が前に出る状況ということは、本当に前衛の力が頼りないんですねえ。まあ、転職等を見据えた事情がいろいろとあるんだとは思いますが……。

 うーん。ここまでくると本当にお手上げです。どうしようもありません。ちなみにその魔法使いの方本人はなんておっしゃってるのですか。

 ええ? 健康に悪いから絶対唱えたくない? どういうことですか。魔法を唱えるのに健康問題は関係ないと思いますけど……。

 はい。ええ。なるほど。じゃあ、今、不眠症で眠れないから、味方であるあなたに眠りの魔法をかけてくれと言ってるのに、聞いてくれないということなんですね。
 そりゃあ、無理な話ですよ。魔法で強制的に眠らせるので、その魔法使いの方のいう通り、健康に悪いです。そういうのはお医者さんに相談しないと。

 ええ。もうそういう相談はやめてあげてくださいね。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔