先生の言葉 全集
64.お着替え
どうも。こんばんは。
こないだ、無事、レベル13のメイジになられたそうですね。おめでとうございます。核撃の魔法を唱えるのは、さぞかし気持ちがいいことでしょう。あ、調子に乗っていろいろ唱えちゃだめですよ。レベルが下がる魔法もありますから。あれは緊急時にとっておくらしいです。釈迦に説法ですかね。
しかし、ここまで来るのも大変だったでしょう。魔法使いは体力が一番低くなりがちですから、後衛でもストレスが高くなりがちでしょうし、魔法を早く唱えないと生死に関わりますからね。ただ単に知能が高いだけでなく、体力や素早さ、度胸も必要という意味ではメイジのレベル13というのは、選ばれし者のみが到達できる領域だと思いますよ。
ところで、そんな領域にまでたどり着いたあなたが、ここに来るまでに一番苦労したことっていうのは何なんですか。私、ぜひそれを知りたいんです。もちろん私だけでなく、これからマスターを目指す魔法使いのかたがたや、他の職業、例えば同じ魔法を学ぶ侍や司教といった人々の参考にもなると思うんで、ぜひお聞かせ願えませんか。
ええ。はい? レベルが上がるごとにローブを着替えるのが大変だった? ……はて、何のことでしょうか。魔法使いって、レベルが上がるごとに着物を替えるという鉄のおきてがあるのですか。
おきても何も、君んとこの魔法使いは、レベルごとにローブの色が違うじゃないかって? ああ、そうですね。あれは、私たちの仲間のメイジは、無理やり特定の魔法を覚えさせたならず者ばかりなので、取りあえずローブの色で見分けをつけているだけなんです。
基本的に彼ら、唱える魔法は限られているでしょう? それに詐称も多いし。だから、味方であるわれわれも困っていて、取りあえずローブの色で区別をつければどうかっていう意見が出て、そうしているだけなんですよ。まあ、最下層に出てくるような高位のメイジになると話は変わってきますけどね。
ええ? じゃあ、それを本気で信じてレベルが上がるごとにローブを買い替えていたんですか。それはそれは。ローブだから比較的安く済みましたが、前衛職だったら大変でしたね。
しかし、面白いですね。偉大な魔法使いになれる才能がある人でも、そういうちょっと抜けたところがあるなんて。もしかしたら私も、偉大な魔法使いになれるかもしれませんね。
え? それはない? まあ、分かってますけど、そんなはっきりと言わなくてもいいじゃないですか。