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先生の言葉 全集

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60.八百長疑惑



 うーん。困りましたねぇ。

 いや、お気持ちはよく分かります。でもね、そんなわけはありません、としか言えませんよ。なんだって、そんなことを考えるようになったんですか。

 ええ。暗闇、落とし穴、回転床、魔法禁止地帯……、これだけ凶悪なわながひしめくこの迷宮で、10階だけあんなにすぐ城に帰れる冒険者向けのありがたい構造なのは怪しいじゃないか、って……。

 いや、おっしゃることはよく分かりますよ。でも、10階はもう階層自体がわなみたいなものなんです。まず敵がとても凶悪です。それに、あなたはご存じのようだから言いますけれど、調子に乗ってワープを繰り返してたら、帰れなくなる構造なんです。こんな恐ろしい階層、他にありませんよ。

 いや、それだって怪しい? まず、敵が強いっていうけど、おまえ一人のときだってあるじゃないか? それに、帰れなくなると言うけれど魔法さえあれば帰れるじゃないか? ラスボスが控える最後の階層としてはやっぱりふさわしくないと思うって……。

 うーん。そりゃあ、凶悪なドラゴンや悪魔、私の師匠なんかはなかなか忙しいですからね。仕方なく暇な私が一人で玄室を守ることだってありますよ。でも、それはわれわれ魔術師側の人員の事情であり、決して魔術師と狂王が手を組んでる証拠にはなりませんよ。それに、帰れる、帰れると言いますけど、帰還できる魔法を習得している冒険者がどれほどいると思ってるんですか。そんな数少ない者の首が飛んだりでもしたら、皆さんはほぼ遭難確定ですよ。そして、その確率が非常に高いことも、最下層の常連であるあなたにはお分かりでしょう?

 何? 最下層だけじゃない? 1階に練習相手になるあんたがいることだって、ちょうどよく4階にセンターがあったり、面倒くさい5〜8階はすっとばせたり、この迷宮自体がやらせくさいじゃないか?

 ……そこまでいうのなら、もうヤラセでいいですよ。八百長でいいですよ。そうですよ。狂王は屈強な近衛兵を雇うために、配下の魔術師と結託してこんな迷宮を作ってるんです。ここで何も知らない冒険者をだまくらかして、兵を集め、世界を征服するための恐ろしい戦争を起こそうとしてるんですよ、これでいいですか?

 さあ、だとしたらどうするんです? え、 それならそれでいい? 満足したから立ち去ることにする?

 ……ふう。陰謀論者を相手にするのは大変です。ああいう手合いは、いっそ肯定しちゃったほうがいいのかもしれませんねえ。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔