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先生の言葉 全集

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58.恐怖の理由



 おやおや、ずいぶん思いつめた顔をして、いったいどうしたんですか。あなたのような歴戦のつわものが、何を思い悩むことがあるんですか。

 誰にも言わないでくれるかって? ええ、口外するべきではないと思ったら口外しませんよ。そんなこと、悩みを聞く者の基本じゃないですか。お互い、長い付き合いだと思いますけど、私が直接、他の冒険者の名を出したことがありますか。こう見えて案外口は固いんですから、話してみてくださいよ。

 ふむ、なるほど。全滅するのが怖いんですか。それはちょっと意外ですね。あなたのパーティはもう10階の常連ですし、魔術師の部屋に行くことも可能な実力派じゃないですか。もちろん全滅することは喜ばしいことじゃありませんが、そういう事態を避けてたら冒険なんかやってられないでしょう。なぜそのように思うのですか。

 あ、分かった。あなたもここに来て長いですから、われわれに死体を漁られて、喪失の憂き目に遭うのが嫌なのではないですか。でも人は必ずいつかはいなくなるものです。そういった人生を受け入れるのも……。え、違うんですか。
 うーん。じゃあ、何か心残りがあるんでしょう。故郷に思い人を残してきたとか、老いた母がいるとか。そういうことでもない。これはずいぶんと難しいですね。
 ちなみに死ぬこと自体はそれほど怖くはないんですか。まあ、10階まで来るのに一度も死ななかった人なんてそうそういませんからね。でも死は怖くないのに全滅は怖い。うーん、分かりません、一体何が違うというのですか?

 ええ。今までずいぶんとやりたい放題で、俺たちは他の冒険者にも迷惑をかけてきた。あ、そうなんですか。で、きっとみんなに恨まれているだろうから、俺たちが全滅してもきっと墓なんか、建ててくれないに違いない、それが嫌なんだ、ということですか。
 なるほど。あなた方は私たちモンスターだけでなく、冒険者のかたがたにもえげつないことをしてきたんですね。確かに街の人々や他の冒険者に恨まれていたら、お墓を建ててはくれないかもしれません。でも、それも今までやってきたことのツケだと思います。観念して迷宮で朽ちていきましょう。そういう生き方も決してかっこ悪くはないじゃありませんか。

 で、私、友好的なんですけどどうします?

 今からでも悔い改めたいので、立ち去らせてくれ? 分かりました。じゃあ、一から出直して皆さんにお墓を建ててもらえるよう、今後は気を付けてくださいな。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔