先生の言葉 全集
54.君主はいかにあるべきか
ロードが使えない?
いきなり部屋に入って来たかと思ったら、のっけから過激な発言をしますねえ。何を根拠にそんなことをのたまうんですか?
あーあ、ほら、ロードの方、そこで泣いてるじゃないですか。影でコソコソ言うのも、良くないことですが、おおっぴらに本人の前で言うのも、褒められたものではありませんよ。ならば、ロードの使えないところをちょっと話してみてください。ここではき出せば、スッキリすると思いますし。
ええ……。まず速さがない、力もない、体力もない、だから前衛に置いとけない。信仰心がない、だからろくに魔法も覚えない。戦闘では、本当に立っているだけ?
……えらい言いようですね、そりゃ、彼も泣きますよ。まだある? その癖どこか偉そうにしてるし、レベルも上がらないし、一人だけ年上だし……。
……ようやく終わりましたか。どうです、少しはスッキリしたでしょう。ではすみませんが、私は少しロードの肩を持つ発言をさせていただきます。
まず、生物には2種類いるんです、早熟な方と大器晩成な方が。で、皆さんのような早熟な方々には、なかなか気付かない情報を、大器晩成の方は得ているんだと思います。だから大器晩成なんですよ。そういう方が結果を出し始めるのは、確かに遅いと思いますが、早熟の方が得ていない情報を、どんどんと蓄積しているわけですから、やがてすごい能力が開花する可能性があるんです。ロードは、そういう方にうってつけの職業で、レベルが十分に上がったときほど力を発揮します。だって僧侶魔法を使う戦士ですよ。これだけでも十分、すごそうじゃありませんか。
ですから、偉そうだという批判、これは改善したほうがいいかもしれません。でも彼らは、皆さんとは違うものを戦闘で感じ取っています。違うものが見えている上に、まだ発展途上なだけなのです。後、勘違いしないでほしいのは、だからといって、彼のほうが優秀だとは思わないでください。素早く技術を覚えるという早熟の能力も、負けず劣らず素晴らしいことです。ただ、個性の違いです。
ですから、言うなれば、今は早熟な皆さんが、大器晩成の彼を守るべき時なんです。でもこの苦しくてつらい時期を経ることができれば、そこには頼りになる仲間がいることでしょう、それまでの我慢です。
じゃあ、その時期がなるべく早く終わるように、修行を付けてやってくれないかって。ええ、もちろん私で良ければ協力させていただきますよ。