先生の言葉 全集
52.本当のレア
皆さん、こんに……、ちょ、ちょ、ちょっと!
あのう、顔を合わせた途端に舌打ちしてするのはやめてもらえませんか。いくらモンスターでも傷つきます。そりゃあ、確かに10階で手合わせするには、物足りない相手かもしれませんけど、私も一生懸命やってるんです、一つお願いしますよ。
でも、おまえは宝箱を落とさないじゃないかって? まあ、そうですね。師匠がいれば話は別ですが、基本、私だけのときは宝箱は持ってません。そんなことを聞くということは、あれですか。あなたがたは、何かご所望のアイテムでもあるのですか?
ほう、ふむふむ。あの銀色のピカピカの小手ですか。まあ、確かにあの小手はレアではありますね。けど、そこまで必死になって追い求めるほどのものではありません。店売りの銅色のやつでも十分だと思いますよ。
え? でも、小手以外は全部そろった? いわゆる三種の神器も、かっこいい名前の胸当ても、悪しか装備できない剣や短剣やよろいも、忍者になれるあの短刀も、触ると冷たい鎖かたびらも、最強の盾も、全部、手に入れたのに小手だけが全く手に入らないんだ、と。
そうですか……。それで危険を犯して、強敵を探し求めているわけなんですね。まあ正直、こればかりは、あなた方自身でどうにかできる問題ではないですし、私たちモンスター側だって、あなた方がほしがっているものだけを調達するわけにはいきませんからねえ。確かにできることといえば、宝箱の中に忍ばせている可能性のある強敵を、探し求めるしかありませんねえ。
そういうことなら、逃げるのも致し方ありませんね。次のモンスターが、お望みのものを持っていることをお祈りください。それでは。
さて、玄室の守備も終了の時間です。お次の方は、と……。
お、ハイマスターさんじゃないですか。相変わらず頼もしいですね。じゃあ、よろしくお願いいたします。
…………。
あの、つかぬことを伺いしますが、今日、お持ちのお宝は何ですか? ええ、豪華な革よろいと銀の小手? ああ、そうですか。いや、聞いてみただけです。何でもないんですよ。では、さようなら。
……さっきの冒険者の皆さん、ハイマスターさんに勝てれば銀の小手、手に入るなぁ。チャンスだけど、ハイマスターさんもとても手ごわいし、仮に勝てても宝箱のわな解除にしくじるかもしれないし、まだ分からないか。
そして、もっとレアなアイテムが2種あるんですが、それは次に会った時にお話しましょうか。