先生の言葉 全集
47.ペット
どうも、こんばんは。
何か、相談があるそうですね。ぜひともお伺いさせてください。ふむ。この間、やっと第3階層に足を踏み入れた? ほう。それはおめでとうございます。でも、3、4階層で命を落とす冒険者は非常に多いですから、気を付けてください。
実はそこで、とてもかわいいモンスターに出会った? 3階でですか。はて、あそこにかわいいモンスターなんていたかなぁ。ええ。ぱっと見はきたないイヌだけど、たくましい顔つきだし、じゃれついてくるところなんかはとてもラブリーだって?
ああ、なるほど。コヨーテさんですか。まあ、確かに野生動物ですからたくましい顔つきかもしれませんが、かわいいというのはどうでしょうか。申し訳ありませんが、やっぱりきたないイヌだと思いますよ。
え? あんまりかわいいから、一匹ペットにできないかと思ってる? ちゃんと洗って清潔にしてあげたら、もっとかわいくなるだろうし、一緒にロイヤルスイートで寝たいって? それで、あのコヨーテを実際に飼えるかどうか、私に相談しに来たと言うんですか。
うーん。ペットですか……。
まず懐くかどうかでしょうけど、たまに友好的なコヨーテを見かけると他の冒険者の方が言ってましたから、個体によっては懐く可能性もあるでしょう。ですが、友好的だとしてもやはりモンスターです。攻撃的な一面は当然持っているでしょうし、何より彼らは遠ぼえがとてもうるさいと思います。一匹で孤独なコヨーテが思いっきり遠ぼえしたら、きっと怒られてロイヤルスイートを追い出されてしまいますよ。ですから、あまり飼うのはおすすめできません。飼うならせめて、馬小屋前提のほうがいいでしょうね。
あ、そうだ。ちなみにもう1階層降りて4階に行ったら、正真正銘イヌのモンスターに出会うことができますよ。アタックドッグっていう名前の、こちらもなかなか手ごわいモンスターなんですけど、彼らならしつけ次第でどうにか飼えるのではないかと思います。まあ、あなたのお気に召すかどうかが問題ですが、そこは4階に降りてみて実際にお会いしてみてください。
しかし、冒険をしながらペットを飼うという発想はなかったですね。でも、もしかしたらこれから先、知能の高いイヌやネコのような種族と一緒に冒険をするパーティも出てくるかもしれませんね。
え、そんなわけないだろうって? あっはっはっは。やっぱり、そんなことはありませんか。少し考えすぎてしまったようです。