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遊戯王 希望が人の形をしてやって来る

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神代璃緒の章

メラグ、いや璃緒は言った。
「ナッシュは…凌牙はどうなったの。」
「私はそれに答えるコトが許されていない。」
「そう…なら私は『凌牙と共にある未来』を選びますわ。」
「いいのか。もし彼が転生を選ばなかったら、君も闇を彷徨うことになる。」
「構いませんわ。たとえ地獄でも、共に在れるなら。」
そう言い切って、彼女は迷う事なく橋へ向かう。
「そうですわ。私が大切な相手ともう一度一緒にいられる可能性をくれた貴方に、お礼に一つ私の秘密をお伝えしましょう。
今他に差し出せるものもありませんから、話のタネ一つでご勘弁下さいな。」
そう言って彼女は一度だけ振り返った。
「『璃緒』、という字は、瑠璃(るり)や玻璃(はり)、つまり宝石を指す字。転じて、貴重で大切なものを指しています。
『大切なもの』と一『緒』にいられるように。今世でわたくしがお母様に頂いた、凌牙にも告げていない名前の由来です。」
彼女の微笑みは、氷の女と呼ばれるには随分と暖かいものであった。
「結局ね、最後の最後で捨てられなかったのよ。この名前。
だって、最後に人間の心を捨てようとしたその時に、何度も何度も呼ぶんですもの。
彼の気持ち、デュエルを通して確かに伝わってきた。
迷惑でしたわ。そして同じくらい有り難かった。
涙が溢れた時に悟ったわ。どんなに言葉は偽れても、心は偽れないの。」
私は凌牙と共に往くわ。そこが地獄でも。
けれど、できることならもう一度、この名前と生きたい。そう思わせてくれたのは、彼だったわ。
そうして今度こそ振り返らず、彼女はふわりと微笑んで最愛に会いに橋を渡って行った。


ドルべの章

ドルべは頷いた。
「ならば私は、『友と笑い合う未来』を望もう。」
「いいのか。もしも彼が転生を選ばなかったら、君も闇を彷徨うことになる。」
「私は信じている。そして願っているのだ、友の幸せを。
私は今度こそナッシュが、我が友が、心から望む選択が出来ることを祈っている。
私たちにはどうしてもナッシュが必要だった。けれども、だからこそ、ナッシュが決定的にバリアンとして他と道をたがえたきっかけが、私が彼の記憶を呼び覚ましたことである事実を、私は忘れてはいない。
私は、どんな茨の道も共に歩く事こそが友情だと思っていた。
けれども、もし次があるのなら、友を茨でなく幸福な道に送り出してやりたい。
彼は責任感が強いから、自責から本意でない道を選んでしまわないか心配だが…まずは友である私が、彼が幸福を掴むと信じなければ。」
そうして彼は、そこに目指すものが確かにあると確信しながら歩いて行った。
「そう、アストラル、君も。友と笑い合える未来を掴めるといいな。」