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セブンスドラゴン2020 episode GAD

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 トウジらが話している間にドラゴンは、彼らの存在に気が付いて、攻撃態勢になっていた。
「俺が先陣を切る。本宮、お前は追撃しろ!」
 トウジは、マナを変換して魔法弾を作り出し、ドラゴンの眉間に向けて撃ち出した。
 普通の銃の弾丸ではびくともしないドラゴンでも、魔法弾なら効果があった。
 トウジは更に追い打ちをしかける。
「燃え尽きるがいい!」
 マナを炎に変え、ドラゴンの周りを囲むように放った。
 退路を失ったドラゴンは、炎に巻かれて苦悶の声を上げる。
「今だ、本宮!」
 言うが早いか、リアンは既に動き出しており、高空へと跳躍し、毒の刃をドラゴンの首に突き刺した。
 リアンの麻痺毒が効き、ドラゴンは体の自由を失って崩れた。
「トウジくん、まだあいつ生きてるよ!」
「一旦下がれ! 俺が止めを刺す!」
 リアンがドラゴンから離脱したのを確認し、トウジはマナを増幅して、ドラゴンの周りの炎の勢いを強めた。
「灰になれ!」
 炎の渦は一気に火柱となり、ドラゴンの体を焼き尽くした。
 ドラゴンは、マナによる魔法によって息絶え、地に倒れた。
「終わったな……」
 トウジは、大きく一息ついた。
「これからどうしようか? わたしは別に気にしないけど、シュウちゃんはさすがに、この死体の山にいたくないでしょ」
「そうだな……」
 トウジは辺りを見渡した。
 惨状を作り出したドラゴンこそ退治することができたが、様々な死に方をした屍は相も変わらず転がっている。生存者がまだ残っているとは思えなかった。
「帰投するぞ。生き残りがいない以上、ここに残っている意味はない」
「だよねー、じゃあ帰ろうか。シュウちゃん、大丈夫?」
 シュウは震えていた。死屍累々の風景におののいていたのもあるが、シュウは、言い様のない重圧のようなものを感じていた。
「シュウちゃん?」
「そっとしておけ、四季は一般人だ。俺たちのように人死にに慣れていないんだからな」
 トウジは、肩を貸そうとシュウに手を差し伸べた。しかし、シュウはなかなかその手を取ろうとしない。
 シュウは、空を見ていた。彼女の目には、謎の存在が飛翔しているのが見えていた。
「おい、しっかりしろ四季。いつまで呆けているつもり……」
 突如として、トウジの籠手の端末が警報音を鳴らした。同時に通信も届く。
『トウジ、聞こえるか!?』
 端末から届いた声は、ガトウのものだった。
「ガトウか。どうしたのだ? 警報が鳴ったが、一体……」
『僕が説明します。トウジ君、二人を連れてすぐにそこから避難してください! 超強力な敵対反応が都庁上空に急接近しています!』
 キリノが切迫した様子で状況を説明した。
「なんだと!?」
「あ、あれ……何……!?」
 シュウが震える手で空を指さした。
 トウジとリアンはその先を見て驚愕した。
 渡り鳥が群れをなして飛行するように、大群で空を行くものがいた。みるみるうちにその大群は都庁へと迫ってくる。
「ど、ドラゴンだ……!」
「すごい数……!?」
 リアンやトウジが倒したのと同じ個体のドラゴンを連れ、中心に倍以上の大きさのドラゴンが迫っていた。
 夥しい数のドラゴンの襲来は、下の都庁前広場のキリノらにも見えていた。
『な、なんだあの数は……!?』
『て、撤退! 早く撤退を!』
 通信越しから慌てた自衛隊員と思われる声がする。
『トウジ、シュウ、リアン! 何をしてる!? 早く逃げるん……!』
 ガトウの声を最後に通信は途切れてしまった。空を飛ぶドラゴンに通信用のアンテナを破壊されてしまったのである。
 そうしている間に、群のリーダー格の巨大なドラゴンが、シュウたちのいる場所に下り立った。
 全身が赤く、装甲のような鱗を持ち、その翼は鋼鉄の板を繋ぎ合わせたような形をしていた。
 両腕両足の爪は大木のように太く、やはり鋼のような色をしている。
 深紅の巨大なドラゴンは、息を一つ大きく吸い込むと、その巨体にふさわしい咆哮を上げた。
 咆哮を上げた口から衝撃波が発生し、地面に転がっていた死体が吹き飛ばされていく。吹き飛んだ死体は、空にいるドラゴンが咥え、そのままバリバリと喰らった。
「……ぐっ! なんという咆哮だ、聞いただけで体が痺れる……!」
「……これは勝ち目は薄いね。けど逃げるにしても……」
 深紅のドラゴンが空から下りると同時に、辺りには、都庁の三階で見たものと同じ花が咲き乱れていた。
 触れるだけでも命に関わりそうな毒を持つ花に退路を絶たれてしまったのである。
「やるしかないようだな……!」
 退路を失った以上、ここから生き延びるには戦って打ち倒すしか方法はなかった。
「わたしが先に行くよ。いくら相手が大きくても、急所に毒を打てば倒せるはずだよ」
「それに賭けるしかなさそうだな……本宮、俺はありったけのマナを使って奴に攻撃する。時間を稼いでくれ!」
「言われるまでもないよ!」
 リアンは、その俊足で一気に間合いを詰める。同時にマナを麻痺毒へと変換し、ドラゴンの装甲の隙間から首に向けてナイフを突き立てた。
ーー捉えた!ーー
 狙いは外さなかった。ここを突けば、如何なる相手であろうとも全身を麻痺させる事ができる。そのはずだった。
「そんな!?」
 リアンのナイフは、深紅のドラゴンの皮膚を貫くことができず、パキッ、と容易く折れてしまった。
 深紅のドラゴンは、首に乗っているリアンをまるで虫を払うように振り落とした。
 リアンは着地すると銃を抜き、深紅のドラゴンの眼を狙って発砲した。
 しかし、弾丸よりも硬いドラゴンの眼は、銃弾すらも弾いてしまうのだった。
「トウジくん!」
 最早攻撃手段のなくなったリアンは、トウジを頼る他なかった。
 しかし、トウジの魔力はまだ十分ではなかった。
「是非もない、か……!」
 トウジは、深紅のドラゴンに手を向けた。
「本宮、下がれ! 巻き込まれるぞ!」
 リアンが攻撃線上から外れたのを確認し、トウジは魔法を放った。
「灼熱よ、焼き焦がせ!」
 魔法によって生み出された炎が一気に広まり、深紅のドラゴンを包み込み、炸裂して大きな火柱が上がった。
「どうだ……!?」
 マナを一度に消費したため、トウジは息を切らしながら煙を見る。
 次第に明らかとなってくる煙の先には、やはりというべきか、深紅のドラゴンが立っていた。
「バカな、全く効いていないと言うのか……!?」
 深紅のドラゴンにダメージはほとんど見られなかった。
 トウジが呆然としている間に、深紅のドラゴンは口を開き、火球を作り始めた。
「あいつ、何かする気だよ!」
 火球はどんどん大きくなっていく。深紅のドラゴンの顔の大きさをも超え、火球はトラック一台ほどの大きさまで膨らんだ。
「デコイミラー!」
 トウジは、自身に残ったマナを全て使い、あらゆる攻撃を受け止めるバリアーを張った。やがて巨大な火球は、トウジたちに向けて放たれた。
 凄まじい熱量を持った大火球は地面を焦がしながら突き進み、トウジのバリアーとぶつかり合った。
 トウジのバリアーは、あらゆる衝撃を吸収することのできるはずであったが、大火球の勢い全てを吸収する事はできず、破られてしまった。