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セブンスドラゴン2020 episode GAD

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「そんなはずはない! ビル内部、周辺をくまなく探せ!」
 警察の徒労な捜査が行われるのだった。
 警察の包囲網をいとも容易く切り抜けた少女は、ひと気の無い裏路地に入ると、携帯を取り出した。
 アドレス帳を開き、通話を始める。
「わたしだけど」
『この番号……ターゲット『D 』か、何の用だ?』
 電話からは、変声器を通した応答があった。
「依頼だよ。戸籍の偽造のね」
『承る。国はどこがいい?』
「日本の東京でお願い」
『日本、それも東京……高くつくがよいか?』
「大丈夫。今日の報酬全部渡すから」
『本気か? お前に殺しの依頼をするのに百万ドルは下らないという話だが』
「日本円で一億、やってくれるよね?」
『フッ、最高の仕上がりにしよう。偽名だけ今決めてもらえるか? 取引のためだ』
「リアン、でお願い」
「おい、誰かいるのか!?」
 警察の声がした。
「今月中にお願い。それじゃ」
 少女は通話を止め、足早にその場から姿を消すのだった。

 Phase2 機関の暗躍者

 東京都新宿区某所にある殺風景な建築物。
 日本政府公認の秘密機構、ムラクモ機関の活動拠点がそこにあった。
 厳重な警備によってその事務所は周辺から隔絶されており、表向きは死刑囚の置かれる拘置所だとされていた。
 広大な敷地を擁しており、能力者の訓練場や生活施設も置かれている。
 能力開発の研究施設もあり、こちらには機関の者にも知られていない裏の研究所があった。
 まだまだムラクモ機関にはそれほど人員は多くないが、機密性が高い組織ゆえに、外部に出るには秘密の漏洩を防ぐために機関の重役を伴う必要がある。
 その禁を破ったとして、機関のS級能力者、トウジは、自室で始末書を書いていた。
 トウジは、第一回ムラクモ選抜試験にて一番の成績で合格し、今日まで能力の訓練を続けてきた。
 そのため、トウジも重役の立場にあるはずなのだが、単独行動を咎められている。
 これは、ある手違いによるものだった。
 ふと、トウジの部屋のドアがノックされた。
「私よ、いるわよね、トウジ?」
「……どうぞ」
 トウジの許可を得て、女が一人、部屋に入ってきた。
「トウジ、お疲れ様」
 入ってきたのは、スーツ姿の女だった。
 ブラウスを大きくはだけさせ、豊満な胸元を露出し、神職の者が身に纏うような外套を羽織っている。
 優しげな眼差しをした女であるが、トウジは彼女が苦手であった。
「ナツメ……」
 女の名は日暈棗(ひかさなつめ)といった。
「ごめんなさいね、私の力が及ばないばかりに、そんな始末書を書く羽目になっちゃって」
「全くだ。仕事を増やしおって、こちらは命懸けで欧州一と名高い暗殺者と戦ったというのに、この仕打ちとは……このところ、街に出たくても見張りが付く事に対する能力者たちの苦情も上がっている。この際施設の出入りは自由にしてもよいのではないか?」
「そればかりは秘密を守るためだから、従ってもらわないといけないわ」
「ふん、秘密など、お前たちのやっている研究くらいのものだろう。人為的に能力者を造り出すなど……」
「トウジ、その話は駄目。どこで誰が聞いているか分からないでしょう?」
「ナツメ、我らは力を司る一族の末裔だというが、そうまでして力を集めてどうするつもりだ?」
「決まっているわ。マモノ退治のため……」
 ここ数年の間に、東京には異形の存在が出現するようになっていた。
 小さな被害としては、食料を貪られること、大きな被害としては、人が襲われて怪我をさせられるというものだった。
 まだ死者が出るような被害は無いものの、東京都民には不安が広まっている状況にある。
 異形の存在は総じて、『マモノ』と呼称され、討伐の対象となっている。
 しかし、マモノの多くは、普通の人間では太刀打ちできない。小型のマモノであればまだ、一般人でも退治できることもあるが、それでも複数人を要する。
 大型のマモノ、人と同じ大きさになってくると、銃火器すらも通用しなくなってくる。
 そういったマモノを討ち倒すことができるのは、トウジのような力を持つ者、通称S級能力者と呼ばれる者だけだった。
 そして、そうした能力者を管理する役割を担ってきたのが、現在ナツメを筆頭とした日暈の一族であった。
 トウジが筆頭の鴫原家は、日暈の一族に代々力を貸してきた。かつては、日暈の一族にもS級能力者はいたのだが、今の当主、ナツメにはS級能力は備わっていない。
 力の管理をナツメが、その行使をトウジが行っていた。
「トウジ、私は一族の掟に従って、特別な力を持つ者を管理、統制する。そう、たとえどのような手を使ってでも……」
 ナツメは、一瞬表情を強張らせた。
「……さて、というわけでトウジ、またあなたに能力者のスカウトをお願いしたいんだけど、いいわね?」
 ナツメはすぐに、もとの優しげな顔に戻る。
「ちょっと待て。また仕事を増やすつもりか?」
「大丈夫よ。前は相手が相手なだけに、上層部に話を通せなかったけど、今度は大丈夫。真っ当な生活を送っている子だから、今データを送るわね」
 ナツメは、持っていたタブレット端末を操作し始めた。
「待て、勝手に話を進めるな」
 トウジの抗議はむなしく、トウジが開いているパソコンにデータが送られた。
「……全く、人の話も聞かないで……」
 トウジは頭を掻きながら、仕方なく送られてきたデータを開いた。
「うん?」
 送られてきたのは、非常に事細かに詳細されたプロファイルであった。
 名は、四季秋(しきしゅう)。都内の高校に通う十七歳の少女である。身長一六五センチメートル、体重五十二キログラム、生年月日は、二〇〇三年四月十四日 、血液型はO型である。
「これは……」
「どうかしたの、トウジ?」
「ああ、顔見知りでな。同じ中学校だった」
「あら、そうだったの。もしかして、付き合ってたとか?」
「馬鹿な事を……だが、四季がS級能力者だと? とてもそうは思えんのだが」
 トウジは、彼女の事はよく知っていた。
 運動神経に優れた少女であり、特にも武道に精通していた。
 剣道部と柔道部を兼部しながら、そのどちらとも全国大会を三連覇している。
 反面、成績はそこそこといった感じであった。
「彼女は、確かに部活動にて類い稀なる成績を納めていたが、それだけならば、身体能力A級といったところではないか?」
「そこはあなたの言う通りね。でも早とちりよ、トウジ。彼女は特別な力がある。同級生だったなら、彼女がどんな人生を歩んできたか、知っているんじゃないかしら?」
 彼女は、まだ小さな子供だった頃、大事故によって父母と兄弟姉妹を失っていた。以来祖父と二人で暮らしていた。
 授業参観日や体育祭など、父兄のやって来る行事には、祖父が必ず現れていた。これはトウジの記憶にも新しい。
「データをもっとよく見てもらえるかしら?」
 トウジは、言われるままにスクロールしてみる。
「何だと……!?」
 そこには、驚くべき事実が記載されていた。
 大事故に遭った時、車に同乗していた家族は即死の傷を負っていたというのに、彼女だけが全くの無傷であったとのことだった。