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セブンスドラゴン2020 episode GAD

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「こいつらは合格した。もう機関の仲間も同然だ。それにトウジ、お前にはそいつの保護っつう仕事があんだろ?」
 トウジは、言い返せなかった。ガトウがもっともらしい事を言う時は、どれもこれもよく的を射ている。
「私、行きます! ナガレさん、でしたよね? 早く助けに行かないと!」
 シュウは、今すぐにでも助けに行くつもりでいた。
「よく言ったぜ、シュウ! リアン、お前も来るよな?」
「シュウちゃんが行くなら……」
 リアンは、乗り気ではなかった。仲間を助けに行く、などという事とは無縁の世界にいたため、その重要性が分からなかったのだ。
「リアン、次はお前の力、見せてもらうからな?」
 ガトウは既に、リアンを信頼しているようだった。何故そう簡単に人を信用できるのか、やはりリアンには分からない。
「よし、それじゃ行くぞお前ら! トウジ、お前はしっかりそいつを見てろよ!」
「仕方がない、すぐに追い付く。ぬかるなよ」
「心配いらねェよ、そんじゃ行くぜ二人とも!」
 ガトウは、シュウとリアンの二人を連れて上の階へと階段を駆け上っていった。
 トウジは、負傷した候補者の面倒を見るべく、その場から動かないようにしていたが、気がかりがあった。
ーーそれにしても遅い。救護班は何をやっている……?ーー
 選抜試験本部に救護要請をしてから、かれこれ十五分が経とうとしている。マモノの蔓延る異界に姿を変えた都庁といえど、二階まで来るのに五分とかからないはずだった。
 先のマーダーベアーとの戦いを見つけ、近付けなくなっているのかというと、そういうわけではない。もしそうなのであれば、殲滅を確認したら姿を見せるはずである。
 いよいよただならぬ事態が起こっていると判断し、トウジは外部に通信を行った。
「キリノ、俺だ。救護班はどうした? まだ来ないのだが」
 キリノからの返事は、妙に切迫したものだった。
「なんだと……!?」
 トウジは驚愕するのだった。

 Phase5 来襲の日

 ガトウに連れられ、シュウとリアンは都庁の三階にやって来た。
「な、何これ……!?」
 都庁は既に、マモノの闊歩する異界と化していたが、三階に上がると更に異様な風景が広がっていた。
「こいつァ……花、か? まさかこれは、咲いてるやつなのか?」
 真っ赤な花弁の謎の花が、コンクリート造りの床に根を張り、廊下に咲き誇っていたのである。
「二人とも、触らない方がいいよ。この花、毒がある。匂いを嗅ぐだけでも大変な事になるね……」
 リアンは、鼻に付く香りだけで、廊下に咲き乱れる花の毒性を感知した。
「リアン、それは本当か? だったらまずいな、ナガレの奴、無事だといいんだが……」
「ガトウさーん!」
 廊下の先から青年が駆け寄ってくる。
「ナガレ! 無事だったか」
 ガトウにナガレと呼ばれた青年は、顔に掠り傷を負っていた。
「命からがら、って所ですよ。っと、そちらの二人は?」
「あァ、こいつらか。ついさっき合格した候補者、シュウとリアンだ」
 ガトウが目配せすると、二人は軽く名乗った。
「四季シュウです」
「本宮リアンだよー」
「ご丁寧にどうも。オレは流浩二(ながれこうじ)、ガトウさんの後輩、って所だよ」
 ナガレも自己紹介した。
「まァ、オレたちゃもう仲間だ。挨拶はそんなもんでいいだろ? それよりナガレ、一体何があった? お前が尻尾巻いて逃げ出すなんて珍しいじゃねェか。その男前な面にまで傷つけてよォ」
「あれを見れば、さすがのガトウさんでも余裕ぶってられなくなりますよ! 向こうの部屋に閉じ込めておきました。早く行きましょう! あ、二人はこの先のエレベーターから屋上に……」
「いや、こいつらも連れていくぜ」
 ナガレは驚いた。
「候補者を連れていくんですか!? いくらなんでも危険じゃ、何かあったら……」
「トウジにも言ったが、オレらだけで日本中のマモノの相手なんざできねェ。後進の育成はやんなきゃならねェ事だ。そんなわけで連れてくぜ」
 ガトウの言うことはやはり正しく、ナガレはそれ以上何も言えなかった。
 しかしナガレは、シュウたちの意思を確認する。
「シュウさんに、リアンさんだったね? ガトウさん、こうなっちゃったら止められないけど、二人が嫌なら無理強いはしないよ?」
 シュウは答えた。
「行きます。私に戦える力が本当にあるのかまだよく分からないけど、みんながいれば、大丈夫な気がするんです」
 ナガレは、また驚かされてしまった。まだ高校生だというのに、シュウはずいぶんと肝が座っていると思わされる。
「ガハハ、まあ、そういうこった。シュウはあの四季教官の孫娘だしな。つっても、お前はあの人を知らねえか。まあ、何にせよ大丈夫だ。ナガレ、案内しな!」
「仕方ないですね……でも、危なくなったらガトウさん、二人を守ってくださいよ?」
 ガトウはやはり、豪快に笑いながら、大丈夫だと言うのだった。
 それからシュウたちは、ナガレに連れられ、彼を撤退に追い込んだマモノのいる部屋へとやって来た。
「ほォ、こいつは確かに手応えがありそォだな……!」
 ガトウをしてここまで言わせるマモノは、先にシュウたちが対峙したマーダーベアーすらも可愛く見えるほど、凄まじい姿をしていた。
 全長は約五メートルほどで、頭が天井に僅かに接している。首が長く、尾も長く、首から尾までを測れば十メートルには達すると思われる。
 足は短いが、自動車のタイヤほどの大きさの爪を持っており、腕を持たないが、膜の張った巨大な翼を持っている。
 そしてその頭は、人の脚ほどはありそうな鋭い牙が見え隠れしていた。
「こいつァ、まるで恐竜だな」
 ガトウが言うものの、シュウの心には、この目の前にいる存在の名が、どういうわけかはっきりしていた。
「これは、ドラゴン……」
「んァ? ドラゴンだァ?」
「確かに、これはドラゴンだね。シュウちゃんもそう思ったんだね」
「うん、どうしてか分からないけど、心の中に浮かんだの。ずっと前から知っているような……」
 リアンも同じように心に浮かんでいた。やはりずっと昔に、それも、物心ついた頃から知っているような感覚があった。
「まあ、呼び方なんざ、今はどうでもいいわな。シュウ、リアン! オレも手を貸す、奴を倒すぞ! ナガレ、お前は他の奴が間違って入ってこないように見張っとけ!」
 ガトウは、それぞれに指示を出し、刀を抜いた。シュウとリアンも続いた。
ーーこのドラゴンっていう化け物、さっきのマモノとはけた違いだね。これは、最初から本気で行かないと!ーー
 リアンは、シュウとガトウを一気に追い抜き、ドラゴンへと急接近した。
「リアン!? 突っ走るんじゃねェ!」
 ガトウの注意は虚しく、リアンはドラゴンの間合いに入った後だった。
 ドラゴンは咆哮を上げ、その牙でリアンを噛み千切ろうとした。
「遅いよ!」
「なんだと!?」
 リアンは既に、ドラゴンの後ろの空間に跳んでいた。
 リアンは、自らに宿る異能力の根元たるマナを毒に変え、ナイフの先に集中させてドラゴンに突き刺した。
「パラライズトキシック!」
 異能力による毒は、ドラゴンの固い鱗を貫き、一瞬にして全身に回った。