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宇宙に虹、大地に黄昏

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メッセニア戦争


マカリアの居住ブロックは、太陽電池と一体になっている。
その規模は小都市ほどであり、すべての施設が太陽電池から電力の供給を受けて
いる。電気は自給できるし、水は再生させているというので、人々の長期滞在を
可能にしているのである。
このブロックは、中央ブロックを中心として休むことなく回転を行っていた。
これは慣性重力を発生させるための機構だが、マカリアは宇宙世紀初頭に造設されたものであり、1Gの重力帯を完成させるには至らなかった。
しかし、そんな環境であっても、空気循環用の植物や小さな農園があるのだから、生活には事欠かないのである。
その中、リフト・グリップにつかまりシリンダー内部を流れる青年2人は、
クロノグラフ所属のパイロット、ジャックとフォルティスである。
「ライフルの装備まではオートに任せて、それ以降は両方使うんだ。姿勢制御はオート、推力コントロールはマニュアルって具合だな」
ジャックは、実戦経験に富んではいなかったが、それでもフォルティスよりは多いのである。
そういう事情と、同じ部隊のメンバーという状況が重なり、顔を合わせればモビルスーツの話をする仲になっていた。
そこへ突如、居住ブロック全体に警戒警報が鳴ったのである。
その警報に周囲のクルー達がどよめいた。居住ブロックだけではない。マカリア全体が騒然とし始めていた。
そんなクルー達をよそに、ジャックが最寄りのインターカムで管制ブースへと照合すると、哨戒飛行をしている機影を捉えたという報告が入った。
「狩りは連邦の十八番だからな」
ジャックは怒号をとばすと同時に、体を翻していた。
「エース!さっさとついて来い!」
ジャックの叫び声は癇に障ったが、彼の方が場慣れしているのは理解していたから、自らの憂き身に惻隠しながらも、従った。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 作家名:アスキー