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宇宙に虹、大地に黄昏

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曲折を経て、ユータがプラットホームの方へ流れていくと、一足先に帰投した先輩2人が待っていた。
「おつかれさまです。今の操縦、どうでした?」
「筋がいい。これなら、近いうちに実戦訓練に移っても大丈夫だ」
「後輩が優秀な奴ばかりだと、ちょっとショックだよ」
そう付け足した年上の青年は、赤く染まったくせっけを四方に散らしていた。
「ジャックは、ここの誰よりも射撃が正確じゃないか。それは揺るがないだろ?」
ジャックの隣のフォルティスは、自分も当事者である自覚があるようで、言葉を選んでいるようにみえたが、追従は得意なのであろう。そんな謙虚さがあった。
こういった入り込んだやり取りが尊敬する先輩とできるならば、パイロットに志願した甲斐があったものだ。
だから、この空間を共有できている自分が誇らしかった。
「よーし、お前がこの訓練をマスターできたら3人でリレーやるぞ。フォルティス、お前にはまだ負けないってとこ見せてやるよ」
「そのころにはユータが頭角を現して、ぼくらを追い越すかもしれないな」
(やはりフォルティスさんは追従が上手だ。それでジャックさんが盛り上げて、2人の会話が円滑に進むところも、見習った方がいいのかな)
ユータはそう思いつつも、これがチームか、と形而上的な感想を抱くくらい、素直な青年なのである。
だから、チームに入れる時を心待ちにしていたが、自分は恐らく彼らとは別のチームに入ることになろう、という予測に寂しさもおぼえていた。
それでも彼らとばかり接しているのは、自分が入ることになるチームの2人、つまりリディアとコリンズは、歳も離れているし、経験が違いすぎるからと敬遠がちになっているからである。
「僕もできるだけ早く身につけられるよう、がんばります」
「ユータは優秀だから大丈夫さ。なんなら、ぼくの出番などもう無いかもな」
「まさか・・・けれど、フォルティスさんにも負けないつもりですからね!」
フォルティスはユータの堂々さ加減に、つい空返事をしてしまった。
(こういう奴がいる世界なら、悪くないと思えるよ・・・)
つまり、ユータの実直さに対して、自分の諦めを直視したからである。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 作家名:アスキー