宇宙に虹、大地に黄昏
フォルティスはメカニック・ブースへ向かうと、パイロットスーツへ着替え始めた。
その最中にも窓ごしにプラットホームを見やって、目立った動きがないことを確認すると、ベースジャバーの停留してある方角へと流れていくのだ。
このベースジャバーは前回補給がきたときに受領したものだ。しかし、特に出番があるわけではなく、格納庫に眠っていた。それを一度訓練で使いたいと言ったのはユータだった。
それは、フォルティスにとって好都合だった。
訓練でベースジャバーを使うのはイレギュラーなことだったが、コクピットにすべりこむと明かりは灯っており、メインの動力が起動されていた。硬直的な組織であれば、こうはいかなかっただろう。
少し嬉しくなるが、それと反比例して申し訳ない気持ちにもなった。
ゆったりとメイン・エンジンの臨界を上げながら、エア・ハッチへ向けて低速に走らせてやる。
ここまでやれば、あとはオート・パイロットがはたらいて、マーカーを付けたポイントで待機してくれるだろう。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 作家名:アスキー