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宇宙に虹、大地に黄昏 プレアデス

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「人に訊くのであれば、君にも考えがあるということだな?」
フォルティスは平静を装い、険悪さを取りさらうことを意識した。
「はい。確かにコロニーを独立させれば、利権を振りかざし、惰眠を貪ってきた連中もいずれ環境汚染によって自らの行いを悔いることになるでしょう。しかし連邦政府には、不法居住者によって組織された軍を問答無用で排除したという過去があるのです。そんな連中は、スペースノイドが独立するとあれば、力ずくで従わせようと考えるというのは明らかなのです。それでは、1年戦争のような戦乱が再び巻き起こったとしてもおかしくはありません」
フォルティスは、人に意見を訊けば、返すというのが礼儀だと思っていたから、行動に移した。レインズの方は、彼の年相応とは言い難い物言いに関心を持った様子だった。
「ですから、そのような行いをする政府に対しては、制限を与えればいいのです。つまり、連邦政府に対抗できる組織の擁立です。しかしこれは、中央閣僚の打倒を目標とするものではありません。たとえ閣僚を打倒したとしても、特権階級は腐るものなのです。だから、相応の武力を持つ対抗組織を存在させ、権力分立の形をとって牽制する、というのが理想です」
「コロニーが権利を主張すれば、また戦争になるというのか?」
「そうです。それは、あなたも理解しているはずですね?」
レインズは黙り込み、表情一つ変えなかった。薄闇の中、誰もが静寂につつまれると思った。
「でもさ、それじゃニュータイプの否定でしょ?」
ここへ来て、初めてルミナ・エレクトラが口を開いた。一方フォルティスは、聞き馴れない単語を耳にして、関心した。
「誰もがニュータイプになれるなら、こんな小細工は必要ないよ。だから、そこまでは世界が保たれている状態にしたいのさ」
「一つだけ質問をさせてくれ。つまり、君はニュータイプが現れると信じているのか?」
レインズは、青年の曖昧な表現を理解することができず、問いただしていた。
「信じてはいます。そうでなければ宇宙にオーロラは現れません」
「アクシズ・ショックか・・・」
と発したのはレインズで、
「オーロラって、命の光・・・?」
と発したのはルミナである。フォルティスは、その感性を理解することができなかったから、受け流した。
「人類は、資本主義という近代社会を得ることで、領土戦争から脱却することができました。代わりに、経済戦争が巻き起こり、植民地主義が発生したのです。それは人類の発展に大きく貢献し、技術はめまぐるしい速度で進歩しました。しかしそれは人類史上最悪の戦争を招き、地球に瀕死の重傷を負わせる結果となったのです。だから今後は、人々が競合する時代を終わらせ、協同していけるようにしなければなりません。それができれば、人類は真実ニュータイプになると考えています」
(自分が話す側にまわるというのは、疲れる・・・)
ここへきて、キャプテンなる人物の話を聴きに来たという事実を思い出し、柄にもないことをした自分を恥じた。
「そうか・・・。まさか、君から理念の話を聞けるとは思わなかったな。思いは違えど、よりよい方向を目指す話を聞けるというのは嬉しいことだ。ありがとう」
レインズは、感嘆とした表情をしていたが、納得はしていないという態度が見て取れた。
そうだろう。大義を妄信する人間の思想を変えることは、簡単ではないのだから・・・。