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Angel Beats! ~君と~ 夏休みのユイ編

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「…ん?何か風すごくないか?どっから来て…?」


手がユイの手に触れた時、腕が全体的に謎の風に当たった。


「これ内側に扇風機付いてるんですよ。熱中症の対策に良いらしいですよー」


ユイが傘を肩に担いでみせると細いプロペラが回っているのが分かった。風の勢いが強く、ユイの髪が舞っている。柄の部分に小さいボタンがあり、そこで点けることが出来るのだろう。


「ふえーふふしぃ~。あぁひおひれてくふあい?」


関根はくわえたパイナップルを飲み込み、ユイの元へ行こうとする。


「いいですよー…うわっ関根さん何かあったかい!大丈夫です?」


ユイを真正面から抱き付き、風を堪能する。

抱き付く関根の体温がかなり高く心配になる。一方で関根はユイの冷たい場所を手で探し、最終的に頬に辿り着くと軽くつねりこねくりまわした。


「もー同年代なら敬語はいらんよ」


「えー、遊佐さんはどうなんです?」


「私は好きで言ってるので」


「あーまた敬語ぉーユイにゃん」


「ユイは関根と違って真面目だからな」


「なにお~!?」


「それはそれで個性なのでよろしいのでは?」


「ゆさゆさフォローになってない!」


十分こねた後はユイの横に立つ。頭から涼しい風が来て快い。上を向いて、あー、と試しにやってみるが、宇宙人の声にはならなかった。


「あ、そうだ遊佐さん!似合ってますか、これ」


「…」


手は傘とアイスで塞がっているため、体を揺らして制服の感想を求める。遊佐はアイスクリームを食べながらユイを見る。

スカートは膝丈と丁度の位置に、成長の見込みを考えて裾は肘のところまで少し長めにされていた。

似合ってる以前に遊佐は自分と同じ制服を着ているので、どう反応していいか少し考慮してみる。


「…違和感がありますね」


「え?」


「ユイにゃんさんらしくない、と思いまして」


あれこれ思いついてみたが、一つの結論にたどり着く。


「ええ?」


らしくもないと言われても、今まではパジャマのままでほぼ生活してたし、制服だって初の御披露目であって遊佐の言っていることが分からなかった。


「あー確かにねえー。ユイにゃんさ、スカート短くしなよ」


「でも校則が…」


「うちの先生そんなんで注意する人じゃないぜ?俺だってずっとネクタイ無しでもお咎め無しだし、なあ」


「TKさんに至ってはワイシャツ着用せず、ブレザーを着てますし校則なんてあっても無いみたいなものです」


「あれだね。始業式とか卒業式にはちゃんとしてれば良いって感じだもんね。よくあるクソマジメな体育教師雇っていないし、助かるわ~」


ただ、顔がごつく声が低くて怖い教師が居るが、普通に優しい。

学園祭の見回りに存在感を放つだけの為に居るようなものだ。


「へー、だから遊佐さん私服なんだ…」


「それは流石にいけませんよ。お買い物から帰ってきたばっかりです」


「ゆさゆさこの辺に住んでたの?」


関根は入江の家に行ったことはあるが、入江以外の女子達の家に行ったことがない事に気付く。機会があればお泊まり会をしてみたいものだ。


「住んでるも何も、」


左手で旧校舎を指す。


「あそこの裏にある寮に住んでます」


「りょう!?学生が住めるヤツか!?」


旧校舎から暫く歩くとその建物がある事は分かっていたが、何の為にあるのか、この高校ではそういうのがあるので気には止めていなかった。

しかし学生寮であることには驚いた。


「それ以外に何があると言うのですか」


「ゆさゆさって案外近くに居たんだ…」


「試験段階だそうで一部の生徒しか分からないそうですよ」


「試験段階って?え、何それあたし達聞いてない!」

関根はショックを受けた。

学校に何度遅刻しそうになったことか。寮があるなら話を面倒くさがらずしっかり聴いておけば良かった、と後悔した。


「知ってるのは私を含めて3人です。関根さんに日向さんや他の皆様は家が近いのでそう言った話は来ていないのでしょう」


「遊佐さんの他に二人…?誰なんでしょう」


「貴女方がよくご存知のゆりっぺさんと岩沢さんです」


「な、なんだってええええええええええええ!!?」


「バンドメンバーでさえも知らなかったのですね」


「ちゅーか校内に生徒が潜んでいたなんて誰も思わんわ…。だからゆりっぺのやつ時間ギリギリに教室に来る訳だ……」


思い当たる節が何個かある。

忘れ物を取りに行ってくるだとか、昼食は家で食べてくるだとか、寝てくるだとか、意味が分からないことを言ってはいたが、まさか本当に家へ帰っていたとは思いもしなかった。


「岩沢さんは…全く知らなかった…。っていうか練習ばっかやってたよ…知らないよぉ」


頭に手を当て思い出す。岩沢の頭は音楽だけで出来ているものだと。


「もう戻ろう。情報がいっぱいで疲れた」


「遊佐さんのアイス溶けちゃいますもんね」


「はよう帰ろ帰ろ!あ、これもらっちゃってもいいよね!」


「どうぞ多目に購入しましたので」


「アイス食べてもあちぃな…ユイ入らせてくんないか」


食べ終わった日向はアイスの木の棒を噛みしめ、染み込んだソーダを味わう。だが、唾液が出るだけで口の中が渇くだけであった。


「だめだめ!今はあたしが入ってるんDA!日向が入ったら狭くなっちゃうでしょ!暑苦しいでしょ!」


「んなケチ臭いこと言わずにさ関根、頼むよ」


「大体!いつも引っ付いてるでしょうが二人とも!その分あたしとユイにゃんくっついてもいいでしょ!」


「それは関係無いだろ!!そ、それにだ、いいいいつもその、えーっと……くっついてるわけないだろ…」


あからさまに木の棒をガジガジとかじり、目を泳がす。関根はそれを見てニヤリとし確信した。


「引っ付いてんだな!!?ったく、あたしの知らないところでイチャイチャしやがって、娘は絶対おまいになんかやらんぞ!」


ユイを日向に取られまいと言わんばかりに抱き締める。関根はユイの顔が少し赤くなってるのを見逃さなかった。日向はバレたことを認めたくなく傘に入るのを諦め、遊佐と関根は二人の様子を楽しみながらアイスを食べるのだった。

帰ると案の定、皆がほぼ同じ反応をした。










関根

「ゆいにゃーんひなっちと~、AからZどこまで進んだんだ~よ」


ユイ

「え、えー?ぜっと…?って何ですか?」


日向

「こーらユイを困らせんなよ」


関根

「ふっふーん、AからZはー……」


ユイ

「うんうん」


関根

「何だろう?」


遊佐

「知らないで使っていたのですか」


関根

「うん!」


日向

「適当なやつめ」


関根

「そんな言うんだったら日向~知ってんのかい?」


日向

「分かんねえよ」


関根

「えー。でもXYZは知ってるぞ!駅の黒板に書けばどんな依頼でもこなしてくれるやつだ!」


日向

「黒板って…今ねえよ。無くなっちまったよ」


遊佐

「古いですね。よく御存じで」


関根