高等部男主
学外研修
「詩、なんだか嬉しそう」
目の前でふわりと笑う##NAME1##。
「まあな。
学園に来てからこんなふうに外に出るの初めてでさ。
外と言えば、いつも任務だったから」
正門前には、##NAME1##以外にも志貴と鳴海、殿内や棗、流架、翼の姿。
そして櫻野も来ていた。
「ごめんな。
また、そばにいられなくなる」
目の前にいる##NAME1##しかわからない、詩の揺れる瞳。
「何いまさら言ってんの。
私は大丈夫だから。
それに、今日の見送りはぜんぜん心配じゃない。
詩は、詩のために。
もう誰かのためとか思わなくていい。
いってらっしゃい」
その笑顔が、美しくてみとれてしまう。
明るく送り出してくれる##NAME1##。
そして、学園のみんな。
「いちゃつくのも大概にしろよな」
棗は相変わらずだけど。
「こーら。
自分が蜜柑と会えないからってヤキモチやかないの」
殿内がなだめるが、それは逆効果。
ぼっと炎が出る音と殿内の悲鳴がきこえた。
詩はそんな光景をみて思わず笑みがこぼれる。
だいすきな学園、だいすきなみんな。
あたりまえの日常。
ふと、櫻野と目が合った。
何を言わずとも、彼とは気持ちが通じ合う。
新たな旅にでよう。
新たな戦いの準備をするために。
絶対に、友を救うんだ。
櫻野は頷いた。
「気をつけて、詩」
鳴海もまた、詩に声をかける。
「ああ。
危力のやつらのこと、頼むな」
「そこは心配に及ばないよ。
棗君が危力系代表を了承してくれたからね」
笑顔の鳴海と対照的な棗。
「別に、お前のためじゃねえし」
ぼそっと言った棗の言葉も、彼を知ってる身からするとその反対の意味に聞こえてしまう。
「わかってるって」
笑って詩はわしゃわしゃと棗の頭をなでつける。
うざったそうにするその顔も、しばらくみれなくなるのは寂しいかもしれない。
「詩、時間だ」
志貴の言葉に頷く詩。
「志貴さん、いろいろありがとう。
俺、なんて感謝したらいいか...」
「君が気にすることはない。
こちらとしても確かめたいことがあったし、君が適任だと思ったからこうして実現できた。
だが、くれぐれも慎重に」
志貴の言葉が身を引き締める。
「はいっ」
詩は元気よく返事し、みんなに手を振って正門をくぐる。
いつもは憂鬱だったこの門をくぐるとき。
しかし今は違う。
鳥かごから自分の意思で出て行く鳥の気持ち。
この先何が待ち受けようと、大丈夫。
空はこんなにも広いのだから。
「詩ーーー!
気ぃつけろーーーーっ」
最後にそう、元気な翼の声が響いた。
詩は大きく手を振った。