鬼滅の刃 外伝(非公式) 〜永遠につづくきせき〜
小「では、昨日の夕方の話の続きを話させていただきます」
小「『鍵』にはいくつか種類があります」
小「鬼を滅する武器を『錬成』できるということは『鍛冶』の『鍵』を継承している可能性がまず考えられます」
小「あるいは、『鍛冶』ではなく、上位の『星』の『鍵』である可能性もありますけど」
仁「ほし? 恒星?」
小「そうです」
小「『星』の『鍵』は1つしか存在せず、戦闘特化型で、『錬成』以外にもバランス良く複数の機能が備わっています」
小「たとえば『治癒』機能は傷をふさいで止血したり骨折を短時間で治したりできます」
小「また、鳩尾を突き刺されるような攻撃を受けても、『緊急』機能によって短時間なら戦い続けられるようになっています」
仁「まさに戦闘特化型だな」
小「攻撃は最大の防御にもなりますんで」
仁「たしかに」
小「『星』の『治癒』の性能では手足がちぎれるような重症を負ってしまったら自分では治せませんので、支援型の『鍵』継承者に治してもらう必要があります」
仁「えっ!? その支援型の『治癒』の性能だと、ちぎれた手足も治せるのか?」
小「はい。死んでいない限りは治せます。その場にいれば…」
小「あと、もちろん、鳩尾を突き刺され、『緊急』機能が有効になってしまったときも、機能が有効なうちに治してもらう必要があります…が…」
仁(でないと死ぬな)
小鉄は言いにくそうに話す。
小「でも…すみません!」
小「本当は戦闘特化型と支援型の『鍵』はセットで運用するはずだったんですけど」
小「運用が計画通りに進まず、今となっては戦闘特化型と支援型が同じ世界にそろうことが保証できなくなっています」
小「仁太郎さんは間違いなく『鍵』継承者として相応しい人なんですが、『鍵』を追跡する仕組みがうまく機能していないせいで、仁太郎さんを見つけるのにも時間がかかってしまいました」
小「俺のミスのせいなんです」
仁(人間なら誰だって間違えるだろう。しかも、そんな大規模な仕組みなんじゃ、なおのことだ)
仁(もし、小鉄が見た目通りの子供ならば、俺は年長者として何か有意義な言葉をかけてやるべきだ)
仁(でも、小鉄は高度な科学知識を習得しているようだから、俺より年上で、大人なんじゃねえのかな…?)
仁「小鉄ってさ、何歳なんだ? 宏の肉体を借りているだけってんなら、ひょっとして本来の年齢と違ったりしてるんじゃ…?」
小「俺は10歳です」
仁「10歳!?」
小「宏君より3つ上ですね」
仁(驚いたな。芽衣子と同い歳なのに)
仁「大学で学んだんだよな?」
小「大学を卒業しています」
仁(天才なんだな。小鉄は)
仁(小鉄の時代の日本には飛び級制度があるのか外国育ちなのか)
小「『システム』の記憶領域の容量は、過去に実施された拡張によって、天文学的なスロット数を確保するに至っています」
仁(え? まったく想像がつかないコンピュータだな)
小「『システム』の各サービスを実現するためのエネルギーである『資源』も本来は充足しているのですが、俺が後から開発した『鍵』を運用するには不十分です」
仁(なるほど。限られた資源で工夫せざるをえなかったからか)
小「本当は『星』の『鍵』を量産できれば一番良かったんですが、より燃費のいい量産型の『鍵』で代替せざるをえなかった」
小「わかりやすく例えるなら、ガンダムを元にジムを量産したようなものです」
仁「???」
※この時代にはまだガンダムが登場していない
仁(きっと未来の科学の専門用語なんだろうな。さすが小鉄さん)
小「量産型の『鍵』で代替してもなお『鍵』の総数は世界線の総数と比べたら十分ではありません」
小「だから、仁太郎さんのいるこの世界には仁太郎さん以外に『鍵』継承者がいない確率が高いです」
仁(支援は期待できねえか)
小「『星』の『鍵』のときも同様でした。記念すべき最初の継承者がある世界線の戦国時代に現れた後は一向に現れなくなりました」
小「ただ、彼は眷属を残しました」
仁「眷属?」
小「『星』の力を分け与えられた人達とその師弟達や子孫達のことです」
仁「へー」
小「『星』の機能の1つである『錬成』機能を独立して使えるようにしたのが『鍛冶』の『鍵』です」
小「『鍛冶』に備わった『錬成』機能と『星』に備わった『錬成』機能は全く同じ性能なので、仁太郎さんがどっちの『鍵』を継承しているかは分からないです」
仁「そんな低確率なんじゃ『星』ではなさそうだな」
仁(第一、俺は『錬成』しかできないんだからな)
小「少なくとも仁太郎さんは眷属ではなく『鍵』継承者なので眷属を増やせます」
仁「どうやって増やすんだ?」
小「仁太郎さんは『錬成』するときに独特の呼吸をしていると思いますが」
小「その呼吸法を可能な限り教えてあげればいいです」
小「但し、眷属だと必ずといっていいほど性能が落ちてしまうので仁太郎さんのような『錬成』はできないでしょう。刀を打つときに刀に力を込められるようになるだけでしょうね」
仁(鍛冶職人でないと眷属にしても意味ねえか)
小「先日、宏君が“キャッチボールしようね”と言っていた日に仁太郎さんが出会したのが鬼の始祖です」
仁「! おまえ 近くで奴を見ていたのか?」
小「はい…」
小「すみません。何もできなくて」
仁「しかたねえだろ。小鉄は科学者なんだから」
仁「それに、その体が宏から借りてるだけだってんなら、宏を死なせるわけにもいかねえ」
小(俺が近くの医者を呼びに走っている時に、仁太郎さんに一瞬で追い抜かれてしまっていた)
小(役に立てなかった…)
小「鬼の始祖を倒さなければ、この先も多くの人の命が奪われることになる…」
ポン 仁太郎は小鉄の頭に手を置く。
仁「俺に任せておけ」
小「えっ?」
仁「鬼の始祖だか何だか知らねえが」
仁「この宿海 仁太郎様の手にかかりゃぁ、一捻りだぜ」
小「まさか仁太郎さんアナタ一人で倒しに行く気じゃないでしょうね?」
仁「あんなの俺一人で十分だろう。なんなら今からでも退治しに行ってくるぜ」
小「いやいや仁太郎さんアナタそんな無茶ですよ何考えてるんですか馬鹿なんですか」
小「鬼の始祖というのはですね、『星』の『鍵』継承者が精鋭の眷属たちを引き連れて討伐するのが理想なんです 本当は!」
小「可能な限り日中に!」
仁「そんな悠長なこと言ってて、奴に逃げられでもしたら、どうする」
小「それは心配ないはずです。なぜなら、この世界線の鬼の始祖は鬼になってからの日が浅く、まだ配下の鬼をそれ程は増やしていなくて、逃走に適した部下もいないからです」
仁「奴はいつ鬼になったんだ?」
小「ほんの70年程前に過ぎないと考えられます」
仁(70年は長いと思うが…?)
小「だいたいアナタ奴の居場所をご存じないでしょう」
仁「おやァ、小鉄君、もしやキミ 奴の根城を知っていたりするのかなァ?」
小「!」
小「いや、本当に! 今、行くのは絶対に駄目なんですよ!! しかも、今から行ったら、夜になってしまいますよ!!」
仁「わかった わかった。今はまだ行かないから教えてくれ」
小「本当ですか?」
仁「おうともさ!」
仁「念の為、頭に入れておきたいだけだよ☆」
〇町並み(夜)
仁太郎が歩いている。
作品名:鬼滅の刃 外伝(非公式) 〜永遠につづくきせき〜 作家名:鈴木蓮一郎