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鈴木蓮一郎
鈴木蓮一郎
novelistID. 68389
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鬼滅の刃 外伝(非公式) 〜永遠につづくきせき〜

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 ドクン 仁太郎は走馬灯を見る。その記憶は仁太郎にとどまらず、初代継承者にまで遡る。技の極地を目の当たりにする。

〇野原(夜)
初「お労しや」
初「兄上」

〇鬼の始祖の屋敷
 仁太郎の流麗な太刀捌きによって鬼の腕が斬られる。
 ビタンッ ボロ… 斬られた鬼の腕が床に落ち、消滅する。
鬼(なんだ。この痛みは)
鬼(斬撃を受けた所が灼けるように痛む)
鬼(先ほどは、わざと頸を斬らせてやったが、腕を斬らせてやるつもりはなかった。この剣士の力では斬れぬ硬度のはずだった)
仁(この男(眼前の鬼の始祖)を倒すために『鍵』を継承したのだと聞かされても)
仁(ついさっきまでは実感がなかった)
仁(でも)
仁(今ははっきりとわかる)

〇田んぼ
 “うた”(17)はしゃがんでカエルを見ている。
 ピョコッ カエルが初代(17)の手の上に乗る。
 初代はカエルを“うた”の手の上に乗せてやる。

〇鬼の始祖の屋敷
鬼(あの姿…)
 仁太郎の額には炎のような模様が現れている。
 仁太郎の握る日本刀の刃が赫くなっている。
鬼(鞘に収まっていたら見落としていた。警戒すべきだ)
 仁太郎は傷口を押さえるのをやめている。
鬼(止血できているのか? 何をした?)
仁「失われた命は回帰しない」
仁「二度と戻らない」
 ギュル 鬼の右腕が再生する。
仁「生身の者は鬼のようにはいかない」
仁「なぜ奪う?」
鬼「…………」
仁「なぜ命を踏みつけにする?」
仁「何が楽しい?」
仁「何が面白い?」
仁「命を何だと思っているんだ」
鬼「お前は“自分より下位の生き物に頭を下げ、血を分け与えてもらえ”とでも言うつもりか」
鬼「なぜ私の方が頭を下げねばならぬ」
仁「人間だったろう。お前も」
仁「かつては」
仁「痛みや苦しみに踠いて涙を流していたはずだ」
鬼「昔のことなぞ覚えてはおらぬ」
鬼「重要なのは鬼が生態ピラミッドの頂点捕食者であるということ」
鬼「鬼は老いない」
鬼「食うために金も必要ない」
鬼「病気にならない」
鬼「死なない」
鬼「何も失わない」
鬼「そして全ての鬼を率いる この私は」
鬼「何をしても許されるのだ…!!」
仁「わかった」
仁「もういい」
 仁太郎は鬼に突進する。
鬼(あの赫い刃を近付けるのは危険だ)
 ヒュガッ 鬼は仁太郎に渾身の攻撃をする。しかし、仁太郎は余裕で回避する。
鬼「!?」
鬼(なぜ避けられる)
 鬼は血鬼術を使ってみる。しかし、仁太郎には効果がない。
 ヒュガガッ 鬼は無数の刃で仁太郎を斬ろうとする。しかし、仁太郎にかすりもしない。
鬼(これは本気で相手をせねば…)
鬼(仁太郎だけを狙って全力を出すのであれば屋敷の損壊は許容範囲内だろう)
 ガガガガ 鬼の空振りによって屋敷の床や壁が破壊されていく。
鬼(目で追えぬ…!!)
 いつの間にか、鬼の周囲には仁太郎が12人いる。仁太郎の移動が速すぎて分身して見えているのだ。
 仁太郎の眼光と鬼の目が合う。
 ゾッ
鬼(狩られる)
鬼(逃げねば──)
 と、即断しようとする。しかし、間に合わない。
 ゴオッ 12人の仁太郎が鬼を斬る。
 鬼の体がバラバラになる。
鬼(体が…再生しない!?)
 ボロ… 鬼の肉片が消滅し始める。
鬼(なぜ再生しない!?)
鬼(なんなのだ、あの刃は!?)
仁「あいつら(芽衣子と鉄男)はな、俺が作った晩飯を食うはずだったんだよ」
鬼(そんなくだらぬ理由で!!)
鬼「私はもっと生きられる!!」
鬼「再生しろ!!」
鬼「再生しろ!!」
鬼「まだ足りぬゥゥァァアア……!!」
 ボロォ… 鬼が完全に消滅する。
 ダンッ ズル… 仁太郎は壁にもたれかかりながら倒れる。

〇路上
 仁太郎(11)と芽衣子(7)は手を繋いで歩いている。
 芽衣子は楽しそうに喋っている。
 仁太郎は芽衣子の話を聞いている。

〇鬼の始祖の屋敷
仁(俺も芽衣子と過ごせて幸せだったよ)
 仁太郎は心安らかに息をひきとる。

〇遠景
 鬼の始祖の屋敷から離れて行く。雲を抜けて行く。

〇宇宙
 青い地球が見える。
 地球に寄っていく。埼玉県を拡大していく。

〇路上
テ「2123年」
A「あっ、松雪君だ!」
 と、女子中学生Aが言う。
B(…ってことは、宿海君もいる!?)
 と、女子中学生Bは女子中学生Aと同じ方を向く。
 はぁ…
AB(今日も素敵だなぁ)
 女子中学生A,Bの視線の先には、何人かの、高校生と中学生が歩いている。宿海姉弟や松雪姉弟などの6人である。
鳴「もーやんなるわよ、ほんと」
 と、宿海 鳴海(17)。
莉「それで、急遽、鳴海が保護者として行ってきたのね」
 と、松雪 莉子(17)。
 けっ
仁「むこうがケンカ売ってきたんだよ」
 と、宿海 仁太郎(14)。
鉄「大人の格闘家相手に勝っちまうなんて、やっぱ、じんたん つえーよ!!」
 と、久川 鉄道(14)。
 げしっ 鳴海は仁太郎の頭にチョップする。
鳴「次はもう行かないからね!」
集「小学生の頃から変わらないな、じんたんは」
 と、松雪 集(14)も呆れる。(どことなく嬉しそうにも見える)
仁「変わってんだろ。背とか」
莉「そうねえ、集と同じくらいかしら」
 仁太郎は背筋を伸ばして集と並んでみせる。
鳴「ユキアツ君も175cm?」
集「176cmです」
仁(1cm負けた)
鉄「ま、背に関しちゃぁ、俺が一番変わったかな!」
 と、鉄道も並んでみせる。
仁「ぽっぽはでかくなりすぎだろ」
集「まるで熊だな」
 へへっ
鉄「それはやっぱマスコット的な熊ちゃんかな?」
《「くまちゃん!」》
芽(くまちゃん…)
 最後尾の本間 芽衣(14)は既視感を覚える。立ち止まる。皆と少し距離が離れる。芽衣の横を通行人が通りすぎる。通行人は芽衣がまるでそこに存在していないかのように芽衣に気をとめない。
莉「どうしたの、めんまちゃん?」
鳴「靴ずれしたの?」
芽「ううん。大丈夫」
 芽衣は再び歩き出す。
 ナデナデ 莉子は芽衣の頭を撫でる。
 ナデナデ 鳴海も芽衣の頭を撫でる。
鉄(ああ、めんま 今日は新しい靴を履いてるんだな)
集(めんまは今日も美しい)
集(きっと明日も美しいぞ)
仁「…便秘か?」
集「…………」
芽「便秘じゃないし!」
鳴「そりゃ私のことだもんねー」
鳴「──って何言わすんじゃ!」
 べしっ 鳴海は仁太郎の頭を叩く。
仁「あんまり頭を叩くなよな。ハゲたらどーすんだ」
鳴「大丈夫 大丈夫。うちの家系はハゲないから」
仁「いやいや、ひいひい爺ちゃんはハゲてたんだぞ」
鳴「ひいお爺じいちゃん(仁太)以降はハゲてないし、仁太郎はひいお爺じいちゃんの生まれ変わりということで家族の見解が一致しているから大丈夫だよ」(似すぎ!)
莉「私達全員 曾祖父母の生まれ変わりかもしれないのよね」
芽「私はひいお爺じいちゃん(聡史)のお姉ちゃんの生まれ変わりなんだって」
集「父さん達の冗談を真に受けたら駄目だよ」
集「さすがにそんな奇跡は起こらないだろう」
集(意図的に誰かが繋いでくれない限りは)

***

    あとがき

 本作の権利は「鬼滅の刃」の原作者である「吾峠呼世晴」先生に帰属するものとします。