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連行された後、ひとり司令室に呼ばれたフォルティスは、司令官らしい人物と対面することになった。
司令官は、ダーシーと名乗った。
「おまえが、あのモビルスーツを操縦していたのか」
「ええ。操縦というほど、充分なものではありませんが」
緊張したフォルティスは、強気に答えてみせた。
「一目見たときは女かと思ったが、いい声をしてるじゃないか」
フォルティスは決して体格がよいわけではない。それに、丸みをおびた髪型にしていたこともあって、シルエットは女性にみえた。
首元に届きそうな長さでそろえられた髪は、時として表情を隠してくれたし、輪郭を曖昧なものにするのだから、気に入っていた。
そう回想させる余裕を与えたのは、フォルティスの緊張をほぐすためだ。
「あの子供のことだが、すりあわせだけは行わせてもらう。貴様が隠さず話してくれれば、それ以上はしないと約束するってことだ」
「言わなければ、好きにできるものを・・・」
「俺だけ正直に言わないというのは、フェアじゃないだろ？」
「余裕の表れですね。見習いたい」
「教えてやってもいいが、それは後だ。気になることがあってな。どうして残骸まで利用するような戦い方ができたんだ？」
「偶然勝てただけです。こっちが待ち伏せしていたら、奴が来た」
「パイロットでなかったからこそ、偶然がおきたか・・・？しかし、それでは敵を撃てた理由にはならないと思わないか？」
「ぼくが、素人ではなかったとでも言いたいのですか？」
「少しは考えたが、そこまでじゃない。そもそも、お前達はどこから来た？」
「・・・・・資源衛星からです。正確な位置は、ぼくも知りません」
「お前の言うことが正しければ、あのモビルスーツは拾い物か。それで、理由は何だ？」
「出てきた理由なら、飽きですよ。衛星には何もないし、食事も切り詰めなければならない。それで人一倍わがままな子と逃げたんです」
「お前は、そんな理由で行動する人間か？」
「さあ・・・・・まだ子供だということは否定しませんよ」
「素直だな」
フォルティスはダーシーの一言を聞いて、その自己評価は落ち着いたものであったと気付いて、内心で焦った。
直前に発した言葉を、自分で信憑性に欠けるものにしてしまったのだ。