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宇宙に虹、大地に黄昏 2巻

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「また面倒なのを引っ掛けられたな、ダーシー」
ピングリーは、デスクに向かう司令官の目顔を一視して、憂情をみせた。
ダーシーとは長い付き合いになるのだから、彼の感情のパターンだとか、機微が
なんとなくわかるのだ。
「まったくだ。それでいて、地球の奢侈文弱な文官上がり共は、有事になれば必ずこちらに頼って来るぞ。何せ新型の配備は無視しておいて、代わりに旧式の少数量産機を寄越すと言ってくるような輩だ。これでは、自分は仕事をしていませんと言っているのと同じだよ」
「少数量産機なら、正しく厄介払いというわけか」
「そういうことだ。本当に厄介だよ」
パイロット上がりで特権階級でもないダーシーは、市民の塵労も知らず、驕慢な態度ばかりの連邦官僚に疑念を抱いていた。
彼らのやり方は、自分の信じた正義とは異なっていたのだ。
しかし立場上として、そんなことを声を大にして言えるわけがないのが世間で
ある。
その思いは言動にいくばくか連動して、高官に尻尾を振ることを許さなかった
から、地球からこんな辺境まで、栄転という名の左遷をくらったのではないか、
とも思うのである。
堅物なわけではないのだが、不器用なのだった。