宇宙に虹、大地に黄昏 2巻
(こちらが何と言おうと、たった1機の所属不明機を捕捉すれば、攻撃はしてくるだろうな・・・そうだよな・・・コロニー側も同じだ)
そう思索したフォルティスは、自然と臨戦態勢に入っていた。
コロニーを囲む機体は3機で、ドム・タイプの機体がコロニーを恫喝して、残りの2機が周囲を警戒していた。
戦場を広く浅く捉えたフォルティスにとって、解決するのは簡単に見えていたが、
敵地であるというプレッシャーが、躊躇いを生み出していた。
所詮は、経験の浅い兵士である。
だからこそ判断が軽くて、尚更自分を投げうつ決断に頼った。
そしてフォルティスは、何の感慨もなく、ドム・タイプにビーム・ライフルを向けた。
「なんで!?それにコロニーの人たちの命がかかっているんだよ・・・?」
ルミナの一叫が耳朶をうった。
「何を・・・?」
発言した直後、自身の決断は重いのもなのだと気付かされた。
(俺はコロニーを単位として見ていたのか・・・? そうだ・・・あそこには数十万からの人々が住むんでいるんだ・・・それだけのことだが、それだけの重さなんだ)
つまり、自身の命と同列にみていたのである。それは当たり前のことなのだが、フォルティスは自分に対して唾棄したい気分になった。
ルミナは、そんなフォルティスを憐憫に思う。
自分に対して厳しいのは結構だが、無意識的に自他の価値に差異を付ける姿までを見たからである。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 2巻 作家名:アスキー