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クロノ・トリガー『全体的にハリウッド映画を意識したもの』

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クロノはふるえていた。400年前にタイムスリップしたかと思ったら、別世界に転移していたのだから。

元の世界に帰る方法があるのか、心配になった。

 

マール

「クロノ、大丈夫だよ。きっと天才ルッカが助けに来てくれるよ。

 

 

マール

「でも、またクロノみたいに町の人達に捕まったら大変だから。私達が飛び出してきた山に戻ってみよう。ルッカを待っていようよ。

 

マールがそう言って外に出ようとした瞬間、光り包まれた。

 

困惑するマールとクロノ。

クロノがマールに触れようとするとすり抜けた。

マールはクロノの前から消滅した。

 

クロノは夢でも見ているのかと思い込み、ベットに座り横になった。

安定しない思考を物思いにふけることで解消しようとした。

 

異世界に来てマールが消えた。

タイムスリップしてマールが消えた。

王妃と間違われてマールが消えた。

本物の王妃は一体何処に行ったのだろうか?

 

クロノはそれらの疑問を頭の隅に置き、

マールの言葉を思い出していた。ルッカも自身と同じ様に魔族に間違えられるかもしれない。

 

ルッカがこの世界に来るかもしれない可能性を考慮し、クロノは最初にこの世界に出現した場所(山)へと戻った。

 

 

 

ールッカー

 

「あのバカ、カッコつけて無茶しやがって…」

ルッカは悔やんでいた。クロノを実験に協力さえさせなければ、あの様な事故に巻き込ませることはなかった。

最悪死んだかもしれない。ルッカは放心状態でマスコミにカメラを向けられていた。

 

マイクを向けられ、事故原因のコメントを求められ、デリカシーのない言葉が浴びせられる。

ルッカにはその言葉は耳にも届いていなかった。

ルッカはクロノが消失した場所に落ちているペンダントを眺めていた。

 

 

 

ークロノー

 

一時間程待っていると空間が避け、その穴からドローンが現れた。

ドローンにはロープとカメラが取り付けれていて、クロノの顔が撮影された。しばらくするとドローンが引き戻され、またしばらくすると、ドローンが戻ってきた。

 

ドローンにはメモが貼り付けてあった。

「クロノへ。ドローンの紐を身体に巻きつけて。引っ張り上げるから。」

 

クロノはロープを身体に巻きつけると、ロープを引いて合図をした。空間の裂け目をゆっくり進んで行った。

 

クロノが元の世界に帰るとマスコミからフラッシュを大量に浴びた。

マスコミは【少年が次元の穴が吸い込まれ死亡!】という記事を【少年が次元の穴に吸い込まれるが生還!】という記事に差し替える為に、忙しくしていた。

 

 

ルッカ

「…この様にある特殊な波長を出す装置を使えば空間の歪は開き続けます。これによる消費電費は実質0であり、任意の目的地までワープすることができるのです。であるからして、この研究の注目されるべきポイントは次元の歪同士の繋がりがどの座標と結ばれるのか関係性を特定し…」

 

 

ルッカはまるで事故の全てが終わったの様なスピーチをし、会場を諌めていた。

マールの存在を忘れているかのように。

 

 

〜ルッカの家〜

 

「え? マール? 誰のこと?」

 

「クロノの前には誰もテレポートにチャレンジしなかったわよ? みんなビビって挑戦しないからクロノがデモンストレーションして見せたのでしょう?」

 

「それにしてもクロノ、変わったペンダント持っていたわよね。あれが事故の原因になった訳だけど、あのペンダントがあったお陰で帰ってこれたのよ。もしあれがゲートの向こう側に行ってたら、今頃クロノは見知らぬ土地で…

 

 

「ペンダントに使われている鉱石の波長がゲートを開くキーになってたから、その波長を再現するだけだったから簡単だったけど…不思議よね…あのペンダントだけはゲートに飲み込まれないのだもの。クロノが残したあのペンダント、一体何なの? 

 

 

おしゃべりなルッカを遮る様にクロノは今日あった出来事を伝えた。

 

ルッカは魔族等の話は半信半疑で聞いていたが、王妃に関して考えを述べた。

 

「400年前の王妃といえば、リーネマンデラガルディアね。歴史ネットによるとリーネマンデラは王妃に即位後、盗賊に襲われて誘拐される。、当時護衛をしていた7人の兵士は盗賊に殺されるか行方不明になってる」

 

「興味深いのは、リーネ王妃が誘拐されて3日後に盗賊のアジトから逃げ出し、街をふらふらしているところを兵士達に保護されるも、なぜがその日にもう一度、行方不明になる。だけどそこから3日後、リーネ王妃は盗賊のアジトから脱走し王宮に戻ったという。盗賊のアジトとされていたのが聖マノリア教会で…」

 

 

「マールとリーネの顔が瓜二つで、リーネと間違われ、マールは王宮に入った。その後、クロノの前から光に包まれてマールは消えた…

ありえるとすればリーネの子孫がマールだった場合ね。リーネそっくりなマールが現れた事でリーネの捜査が打ち切られてしまう。リーネは誘拐されたまま殺される運命を辿り、未来に生まれる筈だったマールが存在しないことになって、クロノの前から消滅した…。色々と疑問点があるけど、クロノのいう魔族の話も、もしかしたらこの誘拐事件に関連してくるかもね…」

 

「魔族が人間に化けられるなら、リーネを誘拐した後、リーネの顔を研究してそっくりに化ける事が考えられるわ。リーネに化けた魔族が王宮に入り込む計画があって、その計画途中だとしたら…。」

 

「魔族にとってリーネの顔を研究し終わるのが今から3日後…になるかしら? リーネが殺されるのもその日という事に…」

 

 

 

 

クロノは立ちあがった。

 

「ちょっとどうするのクロノ! まさかあのゲートをくぐって助けに行く気? 

 

クロノは頷いた。

 

「その顔はマジね。なら今すぐにでも準備しないと。3日後にリーネが死ぬと言ったけど、あくまで推測でしかないもの。今すぐに行動しないとね。」

 

ルッカは大きなリュックに色々詰め始めた。

 

「勿論私も行くわよ! 異世界? タイムスリップ? ワクワクが止まらないわ!」

 

 

ルッカはアンティークとして飾られていた刀をクロノに渡した。

 

「向こうの世界は銃刀法違反なんてないんでしょ? だったらどれだけ武装してても文句は言われないわ!」

 

 

ルッカとクロノはゲートへと飛び込んだ。

 

 

 

夜、山中。2人は懐中電灯を頼りに進んだ。

 

電気を消すと全く何も何も見えなくる。月明かりさえない林の中を降りていく。

 

街には各所に松明があり、山を降りると懐中電灯が無くとも道に迷う事は無かった。

 

2人は酒場に入りマノリア教会の場所を聞き込みをした。

 

「お、お前は昼間の怪しい奴!」

 

クロノは男達に取り囲まれた。