スマホを持つクロノ、改稿
ヤクラ「もうすぐここに騎士達がくるだろう。そうなったら我々は逃げるが、それまで言わねば命はないぞ…」
吐いても吐かなくも殺す予定…
クロノ達の知る事は少ない。洗いざらい話せばあっという間に殺されてしまうだろう。
ルッカ「このリュック見てください! これ未来の世界の道具が沢山あるんですよ? こんな住みにくい時代で暮らすより、未来に行きましょう。そうすればその怒りも消えて無くなりますよ? ほら! クロノも何か気の利いた事を言って!」
ヤクラ「ミライの道具?」
ヤクラはミライを土地名だと勘違いし、ルッカの荷物を漁った。
「それはドローンといってね。スイッチの所を押すとね、空に浮かぶの。」
ヤクラはコントローラーを操作してドローンを浮かせた。
「なぬ! これは凄い!」
ヤクラは子供の様にはしゃいだ。
「この様な魔具、ミライにはもっとあるのか?」
「ええ、あるわ。もっと凄いものが沢山…」
「ミライという場所、今からそこに案内しろ。」
ヤクラと魔族達は人間の姿に化け、教会から外へ出た。ルッカを先頭にゲートのある場所、トルース山へ向かった。
道中、騎士団とすれ違うがものの、ルッカはどうする事もできなかった。
○
クロノは居残りである。ルッカを言いなりにする為の人質としてミアンヌと共に残された。
魔族の男「ミアンヌちゃん…。まさか魔族を裏切るだなんて…」
ミアンヌ「あれはしょうがなかったのよ。カエルに脅されて手を貸すしかなかったのよ。」
魔族の男「カエル騎士のことか…。
魔族の男
(そもそも魔王様が気まぐれに呪いなんてかけるから…。それさえなければ今頃ミアンヌとオレは二人でデートを…)
ミアンヌは魔族の男にそっと耳打ちをした。
「私、カエル騎士と取引したの。安全な隠れ家を用意してくれる代わりに言いなりになったの。ねえ? 二人でそこに行かない?」
ミアンヌからのお誘い。男はヤクラのいない今がチャンスだと思った。
男は地下室から出ると、とある部屋のタンスの引き出しを開けた。引き出しにはガルディアの大臣がつめ込まれているが、男は大臣の事はどうでも良かった。
大臣が押し込められた引き出しの奥には、鋼鉄の刀がある。原作だと刀も大臣もこれみよがきしに宝箱に入っているが、それだとリアリティが無いということで…
男は刀を4本、腰に携え、ミアンヌの元へ向かった。
一本は自分の為、一本はミアンヌに為。一本はクロノに…。
敵を撹乱してミアンヌと共に逃げやすくする為にクロノに…
もう一本は折れた場合のスペアとして。
○
カエルは2階窓をぶち破り、リーネを抱えて飛び降りていた。
騎士団長と合流し、リーネを預け、クロノ達の元へ戻ろうとした時、ルッカとすれ違った。
ルッカの様子がおかしい。
大勢の人を引き連れている。
カエル「ルッカ、お前達も助かったのか?
ルッカは声を出す事ができなかった。周りにいる者全てが魔族であり、脅されている事を伝えるのは難しい。
ルッカはウインクで合図をした。
カエル「どうした? まさかオレに惚れたか?」
ルッカは繰り返しウインクをした。
カエル「ところで赤い髪の…クロノの姿が見えない様だが…」
その頃、クロノは日本刀を持ち走っていた。
ミアンヌカップルの逃亡劇に巻き込まれる形で、クロノは教会からの脱出に成功し、ルッカを追いかけていた。
クロノは人間に化けたヤクラの姿を覚えている。
迷わずルッカの隣にいる人間を刺した。
人間の姿をしている内は戦闘力が落ちる設定。ヤクラはクロノの攻撃で致命的なダメージを負った。
ヤクラは元の姿に戻って戦おうとするものの、直ぐ目の前には王宮騎士ナンバーワンのカエルの存在。
手負いのまま戦っても手こずるだけ。
ヤクラはルッカを口に加えると
手近な家に登り、屋根を飛び移りながらトルース山へ向かった。木々の真上を駆け抜ける。
ルッカの絶叫がやまびことなり、山々に響き渡る…
○
「おい!人間。お前の言っていた場所はこの辺りか?」
ヤクラの激しい動きとヤクラの口の匂いに、気絶していたルッカ。
「何にもないじゃないか!」
ヤクラは怒っていた。トルース山にミライという隠れ里があるものと思っていた。
魔力的な結界が張られ、人々の侵入を拒む魔族の土地があるものと思っていた。
だが、意識を張り巡らしても、周囲に結界が作られている様な魔力は感知できない。
「隠されたミライという場所…。ここじゃないのか??」
ヤクラはルッカのリュックを探った。
ヤクラは色々な道具のスイッチを押した。
ハンダコテ。虫よけスプレー、オイルスプレー。パソコン。
ヤクラはゲートホルダーのスイッチを押した。
ヤクラを吸い込む為の大きなゲートが開いた。
「な、なんだこれは!?」
ヤクラは驚き、手からゲートホルダーを落とした。
ヤクラの巨体のみがゲート吸い込まれる。
「で、でられーん!」
ヤクラは西暦2020年。ガルディア歴1000年の時代に降臨した。
もしヤクラが暴れ周り高速で動き回るなら人類になす術がないかもしれない。
だが、そうはならなかった。
マスコミは次元の穴に向かったルッカが、人命救助して帰ってくる。その事を期待してインタビューする準備をしていた。
世界は次元の穴から突如現れた異型の生物にパニックを起こした。
ヤクラは大量のカメラのフラッシュを浴びた。
ヤクラ自身、最初はヒビっていたが、自己紹介をし、敵意が無い事を表明した。
ヤクラはミライの土地が魔族達の世界だと思っていた。魔族として振る舞えば、全てうまくいくと。
マイクを向けられたヤクラは答えた。
「私はガルディアのトルース山からここに来ました。ミライの魔具を是非拝見したくて、伺わせて戴きました。」
喋る巨大ゴキブリ。ヤクラは果たして人類の脅威となるのか? 2020年は多様性が求められる時代。どんな形をしていても対話する力さえあれば人として認められるはず。
もしかしたら現代ではアイドル的なゴキブリとして芸能界に居場所があるかもしれない。
だがそんな夢も虚しく、ヤクラには軍隊が出動した。麻酔銃がいくつも打ち込まれ、研究施設へと運ばれていった…
○
一方、クロノとカエルは魔族と戦っていた。
ヤクラが正体を見せたのをキッカケにその他の魔族も本性を表した。
カエル達が応戦していると騎士達が集まり、魔族は逃げ出した。
クロノはルッカを追いかけて山へと向かった。 道中、馬車に乗ったマールが現れる。
作品名:スマホを持つクロノ、改稿 作家名:西中