セルジュがクロノ達とクロスする。
セルジュ自身、龍神が何なのか分からなかった。学校で習う授業にも龍神という単語が出てくるが、それは実在する生き物を示すものではなかった。信仰、観念的な存在として龍神を崇め信じる事でペンデュラムにエネルギーが貯まりエレメントとなる。
セルジュにとっては日常にエレメントがあり、その存在について疑問した事はあまり無かった。エレメント無しで外の人々はどうやって魔物等と戦っているのだろうか。
「ガルディアには人の脅威になりそうな魔物は殆どいないんだよ。」
マールによると、ガルディアの兵士達が人の脅威なりそうな魔物を退治してくれているのだそう。
ガルディア。今は1020年でガルディアは無かったのではないのか。ガルディア建国を記念したこの祭りも、亡きガルディアを惜しんで現地の人々が勝手に祭りをしているだけ。セルジュはそう思っていた。
だがマールはハッキリと今が1000年だという。
今が千年なら、自身は20年前にタイムスリップしてきた事になる。
そんなばかなことがあり得るのか。
「え? 今から5年後にガルディアが滅亡する?」
今日会ったばかりに人に話したところで信じて貰えるとは思えないが、誰かに相談せずにはいられなかった。
「パリポレ軍が攻めてきてガルディアはその占領下になる…」
マールは考え込んでいた。パリポレは南にあるガルディア領地の小国である。軍人がいるにしてもガルディアを攻め込む程の力は無い筈だった。たった5年で大国ガルディアを攻め込む程の力を持つとは想像しても有り得ないことであった。
セルジュもガルディアが滅亡する事になる詳しい経緯は知らなかった。
1004年にパリポレがガルディアに対して宣戦布告し一年続く戦争で、ガルディアは疲弊して降伏する。ガルディア33世と一族は名を改め、平民ガルディアとなり、パリポレの都市で戦争責任者として生涯にわたり身柄の自由を奪われる。
マールは考えていた。もしパリポレが戦争に勝つ力を蓄えるとしたら、エルニドに伝わる奇跡の力くらいしかないだろうと。
だがそれを素直に信じる事もできなかった。今日会ったばかりの青年のタイムスリップ話も。
海に流されてきたというし、記憶が錯乱しているのだろうかと思っていた。
「次にテレポッドにチャレンジしたい人はだーれ?」
ルッカの発明ブース。マールは気晴らしにテレポッドに乗る。
ルッカとタバンが勢い良くテレポッド起動する。ペンダントが反応し、空間が避け穴が開く。
マールの身に何か起きたのか。
マールが裂け目の穴に引っ張られていく。
会場は異様な光景にざわめいている。
「た、たすけて!」マールが言葉にした瞬間、赤い髪の青年が飛び出し、マールの腕を掴んだ。
だが青年も歪に引きず込ずられていく。
セルジュもマールの腕を掴み、引っ張り上げ様とした。だが、セルジュも引っ張られていく
会場にいた人々がセルジュと赤髪の青年の身体を掴んで引っ張りあげようとする。
タバン
「お、おい、ただ事じゃないことが起きてるぞこれ。」
電力系統を遮断した筈のテレポッドは動作し続けている。
ルッカ
「お父さん! 私達も!」
ルッカの発明ブースにいた人々の殆どが謎の穴に飲まれようとしているマールを助けようとした。
セルジュ達と会場にいた人達は時の最果てに来ていた。
最果ての老人
「ほっほっほっ。まあ、何とも賑やかなこと。
マール
「こ、ここはどこなんですか?
老人
「ここは時の最果て、時の迷い子がくる場所じゃて。お前さん方は大勢で時空を越えようして時の流れが不安定になったんじゃろう。それで時の出口が閉ざされて迷い人となったんじゃ。
マール
「おじいさんは、大丈夫なんですか。こんなところにいて。
老人
「まあ、普通の人間には無理じゃろうな。ワシは魔法が使えるから空腹を凌げるし。
マール
「ま?まほう? つかぬ事をお伺いしますが、いつからここに?
老人
「かれこれ10年じゃ
マール
「で、出口はないのですか?
老人
「あるよ。魔法を使えばゲートを開く事ができる。そこにある光から皆さん元の時代に帰れるじゃろうて。ワシが案内するから皆さん順番にそこに並んで…」
人々は老人の言われるまま並んだ。
老人が呪文を唱えると次々に人が光中へ消えていく。
セルジュ達の順番が来た頃
「そこの4人は居残りじゃ」
セルジュ、マール、クロノ、ルッカは最後に残された。
「お前さん達は魔法を使う才能がある。ついでに学んでいくと良かろう。」
老人はスペッキオのいる部屋に案内した。
スペッキオによりセルジュ達に古代人の知恵が授けさられ魔法を覚えた。
セルジュは無属性。主に念力系を覚え、空間操作能力に長ける。
マールは水属性。主に氷系を覚えるが、他にも基本資質として回復系統を覚えやすい体質。
ルッカ火属性。
クロノ天属性。
ルッカ「ねえ? これなんなの?
老人「それは1999年のラヴォスの日へと繋がるゲートじゃ。それには触らん方がええのう
ルッカ「ラヴォスって何なの?
老人はゲートの先で起こる映像をテレパシー的な技で見せた。
ラヴォスが世界を破壊していく。
ルッカ「た、大変じゃない! どうするのこれ!
老人「さあのう。どうする事もできんのじゃなかろうか…。
ルッカ「魔法が使えるのにどうにも出来ないの?
老人「ほっほっほっ。まあ、古代人が集結したら可能かもしれんが…
ルッカ
「古代人?
老人
「大昔にラヴォスによって滅んだ人々よ。あの時代は皆が魔法を使えたのじゃが、ラヴォスを甘く見ておった。油断している間に世界はあっという間に滅んだのじゃ。
ルッカ
「タイムトラベルすればいいじゃないの? 滅ぶ前の時代に。
老人
「どういう訳が古代へと通ずるゲートが開かんのじゃ。恐らくゲートが開かない様に誰かが向こう側で妨害しているのじゃろうて。
ルッカ
「それもラヴォスの仕業ということ?
老人
「断言はできんがのう。ラヴォスにもし時を操る力があるなら、古代人が力を合わせても勝てぬかもしれんな。
老人から過去の話を聞いていると光の中から人が現れた。
「おお、兄さん。時の翼の具合はどうじゃった?」
光から現れ、兄さんと呼ばれた老人は、ガッシュという。未来2300年でタイムマシンを作り、元の時代に帰ろうとしていた。
ガッシュ
「後は微調整するだけじゃ。必要な材料を得る為にボッシュのところに行ってくる」
ガッシュは光の中に消えてしばらくすると材料を持ち戻ってきた。これから未来へ行こうとしていた。
マール「ガッシュさん、未来ではガルディアはどうなったのですか?
作品名:セルジュがクロノ達とクロスする。 作家名:西中