古代人とクロノトリガー
しかし大型ロボには弱点があった。一応はドローンであるから、ヘリコプターの様なプロペラ機が取り付けられている。
プロペラ関節部分を攻撃できれば、バランスを崩して勝手に自滅しそうだった。
マールのボウガンを打ってみるが効果は無かった。
ルッカはロープを探した。ボウガンの矢にロープを巻いて飛ばせば、倒せる気がした。
「ロープくらいいあるよ」
ドーム内の爺さんがロープを持ってきた。
爺さんはロープを矢にくくった。
ロープはプロペラに絡まり、ドローンはたちまちバランスを崩し始し自壊した。
「やったぞー! 若いのががやってくれだぞ!
ドーム内に歓喜が湧いた。
希望を失っていた人々が地下の様子を見にくる。
「あんちゃん達ありがとう!」 「ロボすごいーい!』
人々は我先にと倉庫を調べた。
しばらくすると歓喜が止んた。
湿気やカビで、食べ物は朽ち果ていた。缶詰めもすらも駄目だった。
何十年以上、手付かずのまま放置されていたのだろう。
唯一無事だったのは野菜や果物の種だった。
「ワシらはもう諦めておった。生きることをだ。しかし、、こいつらは諦めなかった。誰かに植えられる事をここで待っておったのだ。」
老人は子供達を見ていた。
絶望した世界で子孫を残す様な下らない親の存在、あるいは止むなく出産するしか選択肢の無かった哀れな女性。
現代人からすればこの世界に住むのは苦行でしかないだろうが、子供達は植物の種に興味津々
だった。
無いのが当たり前の世界で、そこで生まれた者にとっては
一粒の種ですら価値が尊い。
クロノ達は彼らを自分達の未来の子孫なのだと必死で認識しようとした。
彼らが不幸だという同情ではない。
中世時代の様にこの未来と歴史を変えられるかもしれない。
でも過去を変え、未来を変えたら、彼らの今この瞬間の笑顔も、全て存在しないことになる。
クロノ達が過去を変える価値と彼らの価値とを天秤にかけることは決してできない。
しかし、過去を変えるというのは、今時点の未来を否定し、天秤にかけていると同じく、比べる無礼をする行為の様に思えた。
要するにクロノ達は怖気づいた。
過去を変えるなんて未来人からすれば「遠慮はいらないからやれ」と言うだろうが…
ー謎の扉ー
倉庫の奥にには扉があった。
開かずの扉でクロノ達はなぜ開かないかわからなかった。
ドームの人々も試行錯誤をした。
ルッカはロボをチェックした。ドローンと戦って大きなキズは見あたらなかった。ロボ自身、加減していたのかもしれない。
帰る為のゲートホルダーもチェックした。
ひとつと壊れても代りになるものを用意しているルッカ。ゲートの安全性を調べる探査カメラにも異常がないかチェックした。
カメラにはゲートホルダーの機能があり、スイッチが入るか確かめる。
ルッカがスイッチを入れた瞬間、ゲートホルダーが光を放った。
突然の光で驚くルッカ。まちがってカメラのフラッシュボタンを押したのだと思い、ゲートホルダーのスイッチを押した。しかし、また光った。
ルッカが困惑している一方で、人々の騒ぎが聞こえた。
扉の前に人々が集っている。
ルッカがゲートホルダーのスイッチを押す度、扉が光る。
ゲートホルダーの機能と扉が共鳴し光あっていた。
「何これ、どういうこと?」
恐る恐る扉にゲートホルダーを近づけると、閉ざされていた扉が開いた。
どういうわけか、タイムゲートをこじ開ける為の周波数パルス波に反応して扉が開く仕組みになっている様子。
「扉の先はタイムトラベラーのみが入れ。という意味なの?」
ルッカはつぶやき奥の部屋に入った。
部屋には何もない。人が数人程度しか入れない狭い空間だった。しかし、そこは明らかに時空の歪みが見られた。
ルッカはクロノ達に集合をかけた。
どうやら未来人の中にもタイムトラベラーが存在したこと。この時空の先に何があるか確かめなければいけないことを説明した。
安全性を調査する為にルッカはゲートにシャッター予約をいれたカメラが吸い込ませる。しばらくしてロープを手元に戻す。
ゲートの中の奥をカメラが撮影しても何も映らなかった。
今までは問題なく何かが撮影できた。
「私の出番ですね」
ロボがゲートホルダーを手にとった。
クロノ達は不安が過ぎったが、先を知りたい好奇心もあった。
ロボはゲートに吸いこまれた。
ロボはゲートの先で生きてるのか死んでいるのか、
3分程経過し、ゲートが開きロボが戻ってきた。
「不思議な場所でした。ゲート先にいくつものゲートがあって、いろいろな時代に繋がっているのです。」
クロノ達は戸惑いつつも、頷いた。
マール
「ここからなら、ドームの人々を連れていけるよね? 弱っていて動けない人も皆連れてけるよね。」
ルッカ
「それいいわね。過去の時代に行けば食料に困ることなんてないんだし」
ー時の最果てー
ゲートを抜けた先に部屋があった
部屋の中にはいくつかのゲートがあり、部屋の縁から見える外の景色は無限に続く黒の世界。
部屋には扉があり、その扉を空けると、もう一つ部屋がある。
部屋の真ん中に黒いスーツをまとった老人が鼻ちょうちん膨らませながらスヤスヤと寝ていた。
マール「もしもしー
マール
「ここは一体なんですかー
花ちょうちんが爆発した。
「おや、こんなところに人がくるなんて珍しいのう。
ここは時の最果て、まあ、ゆっくりしていきなさい。」
ルッカ
「え? それだけ。時の最果ての説明は?」
老人は答えなく、また深い眠りについた。
マール
「どうするクロノ? 叩き起こす?」
時の果ての人
「そうじゃ。お主ら行く前にそこの扉に入ると良いよ。」
そう言って、老人はまた眠り始めた
クロノ達は扉を開けた。
部屋の中央に小さな生き物がいた。
「お、久し振りのお客さんね。僕の名前はスペッキオ。スペッキオの周囲を壁にそって3回まわると良い事が…ってあれ? 君たちもう魔法が使えるの? だったら後は練習だね。頑張って」
マール
「あなた魔法を知っているの? もしかしてジール王国とか知ってる?
スペッキオ
「ジールおうこく? スペッキオ、難しいこと判らない…
スペッキオも部屋の外にいる老人も呆けていて、まともに会話が成立しなかった。
クロノ達は諦めてゲートを調べることにした。
作品名:古代人とクロノトリガー 作家名:西中