古代人とクロノトリガー
ゲートはいくつかあり原始時代へと繋がるものもある。クロノ達が注目したのは『ホテルリゾートへけらん』へと繋がるゲートだった。
クロノ達はまだ知らなかったが、中世で魔族と人間の融和が実現し、現代のへけらんの住処である鍾乳洞は人気の観光スポットになっていた。
目玉のアトラクションは渦潮で、鍾乳洞の奥の渦潮に潜ると、隣の陸地(ルッカの自宅近辺の浜辺)まで、あっという間に連れて行ってくれる。この天然のウォータースライダーは世界中で人気があり、へけらんリゾートの観光収入はガルディア東部を潤わせ、現代でホテルが乱立するビジネス競争時代へと突入している。
ゲートはホテルのロビー行きで、クロノ達は現地のパンフレットを片手に、へけらんリゾートを楽しんだ。
○
クロノ達は中世のガルディアに来ていた。
サラ
「まあ、クロノさんにマールさん、ルッカさんお久しぶりです。それから貴方は…」
ロボ
「はじめまして、ロボと申します。
ジール
「鉄の生き物が喋っておるぞ
マール
「未来のロボットなの。
ジール
「千年祭での歌う奴といい、人間はなかなか凄いものを作るな。
マール
「あれはルッカが作ったの。ゴンザレスっていうの!
ルッカ
「まってマール、話がそれてるわ。
マール
「あ、そうだったごめん!
クロノ達は未来の世界がラヴォスに滅ぼされていた事を説明した。
サラ「え? 未来の世界が?」
ジール
「まさかラヴォス神がそんな事を…わらわはその様な危険なものに縋ろうとしていたのか…
サラ
「お母様、だとしたらジール王国の民たちは…
ジール
「信じたくないが、この時代の歴史に我らの歴史の記録が欠片も残ってないことを考えると…
サラ
「クロノさん私を未来まで連れてってくれませんか? この目でラヴォスの被害を確認させてください。」
ジール
「まて、お前はこの時代で魔族と人間を束ねる仕事が残っておるだろうが。戦争は終わったとはいえ、あくまで名目上のことだ。わらわ達が今この地を離れる訳にはいかん。
言い争っているとボッシュが名乗りをあげた。
ボッシュはサラやジールと比べると戦力が遥かに劣っていた。
〜時の最果て〜
ボッシュ
「こ、この気配はまさか!」
ボッシュは周りを見渡すと走りだし、扉の先にいる時の案内人の元へと走った。
ボッシュ
「お、お前さんハッシュか?」「よく生きておった。」
時の案内人
「はて? お前さんは一体…」
ボッシュ
「何を訳の分からないことを言ってるのじゃ!
ワシじゃよ! 弟のボッシュじゃ。
お前さんあれからどうなった? ワシがタイムゲートに飲まれた後、お主もタイムゲートでここに飛ばされて来たんか?」
時の案内人
「はて? 弟…、ゲート? ワシは、時を彷徨う者を人じゃが…」
ボッシュは気付いた。この空間全体からハッシュの魔力を感じる事を
ルッカ
「どうしたのボッシュ? 貴方顔色悪いわよ?」
ボッシュは思った。ラヴォスが生み出したタイムゲート、ハッシュが飲み込まれた先に恐らく出口は無かった。
時の狭間で永遠と彷徨い、肉体が朽ち果てる前に、せめて同じ様な被害者を出さない様にと、魔力空間を作り出した。時の中を彷徨う者を集め、案内する仕組みを作ったまではいいが、自身の記憶までは残せなかった。
スペッキオは飲まず食わずでも千年生きれる特殊生物。主人であるハッシュがこうなって、さぞ、寂しかったに違いない。
スペッキオ
「大丈夫。世話をしてくれる人がいた。もう100年くらい来てないけど。」
ボッシュ
「一体誰がお前さんの世話を」
スペッキオ
「ガッシュ!」
ボッシュ
「本当か! ガッシュがここに? ガッシュは今どこに?」
スペッキオはガッシュがやってきたゲートを指差した。
スペッキオが差したのは原始時代へと続くゲートだった。
「ここから良くごはんを持ってきてくれた。その後、こっちのゲートを良く通ってた。」
スペッキオは未来へのゲートを指差した。
〜未来のゲートの出口〜
ゲート前の扉、古代ジール王国のセキュリティシステムに使っていたの同じ模様の扉を発見したボッシュ。
ボッシュは悟った。
ガッシュは未来に飛ばされた後、どうにかして元の時代へ帰ろうとゲートの痕跡を探したに違いない。ゲートを開く装置かあるいは魔術を開発し、時の最果てへと続く道を見つけた。
最果てには原始時代から既に誰かが、やってきていたのかもしれない。時を彷徨う者が最果てにて保護され、そこから元の時代へ帰れたか、そこからどうしたかは分からないが、、きっとガッシュもそうだったのかもしれない。ガッシュは原始時代へと続くゲートを見つけたはいいもののジール王国へと帰る道は見つからなかった。
最果てから古代人の誰かが助けにきてくれるのを信じていたのかもしれない。
ジール王国の紋様を扉に残して、自身の存在に気付いて欲しいというメッセージを残したに違いない。
ボッシュとクロノ達は未来を手分けして捜索した。
南部の大陸のドーム内にヌウを発見した。
ボッシュ
「ヌウ? いや、普通のヌウとは違う。これは…
ボッシュ
「これはガッシュの魔力…あやつ死ぬ前に自身の意識をヌウの中に押し込めたな。」
ヌウには目的がプログラムされていた。
時の翼シルバードの制作とメンテナンスだった。
「ガッシュの奴、死して尚、研究をしておったか…」
時の翼、シルバード。
シルバードが行ける時代は時の最果てにあるゲートから行ける時代である。
シルバードは時の最果てとシステム的にリンクしていて、古代には行くことはできない。
今行けるのは原始、中世、現代、未来への4つだ。
○
ジール
「そうだったか…未来にはガッシュが、そして最果てにはハッシュが…」
ボッシュ
「とても残念です。」
ジール
「だがまだ終わった訳ではなかろう。ルッカ殿が開発したゲートを探す装置、あれがあるではないか。」
ジール
「ボッシュ、せっかくだからその装置で原始時代も調べてきたらどうじゃ?。どんな世界が待っておるのか、わらわは興味津々じゃが今はまだここを離れられん。」
クロノ、マール、ルッカ、ロボ、ボッシュは原始時代へと向かった。シルバードは三人乗りなので2回に別けた。
ルッカ
「なんだか騒がしいわね…」
ボッシュ達の場所から原始人の村へは少し離れている。
ルッカ
「…ロボ、ちょっと様子を見てきなさい。」
原始人は何やら宴の用意をしていた。
作品名:古代人とクロノトリガー 作家名:西中