時をかける女王
そんな中、魔神機計画が浮上し、ダルトンは目の色を変えた。国への謀反よりもラヴォスのチカラを利用することに意識が向いていたダルトンの気まぐれにより王宮は血に染まるのが避けることができていた。
ボッシュ
「つまり、海底神殿の魔神機計画は王宮内の秩序を安定させるのが目的じゃった。ジール様の不老不死願望も勿論あるが、その本目的はダルトンの望む魔神機計画を強く進める意思を示す為のものじゃった。」
ボッシュ
「ジール様がサラ様やジャキ様に冷たい態度を取られていたのも、王宮の弱みをダルトンに見せつけることで油断させるのが目的じゃった。
ダルトン派にジャキ様やサラ様に人質としての価値が無いかの様に思わせておけば、いざという時に危害を加えられることも無い。シール様はその様にお考えになっておったのじゃ
ジール
「ボッシュ! 喋りすぎじゃ! わらわの努力を無駄にしておって…」
ボッシュ
「いつまで演技を成されるおつもりか。もう王国は無いのですぞ。」
ジール
「今更まともな母親の態度をとれというのか? そんな事をしても、わらわが惨めに成るだけじゃ。王権とは名ばかりの惨めな王の姿を子供達に見せろというのか?」
ボッシュ
「もう良いではありませんか。たとえあの時代に帰っても、ダルトン達の手の中で踊らされる人生ですぞ?
ジール
「しかし、わらわには王国を捨てる事はできん。ダルトンが王権を得てしまえば、いまよりも地の民への仕打ちが酷くなるのだぞ。
ボッシュ
「しかし、それではジール様ご自身の人生が…
ジール
「わらわの人生をお主が決める権利はないぞ」
サラ
「いい争ってるところ悪いけど、私達これからどうするの? ガルディアにジャキを連れて行っても大丈夫なの? きっと魔族王が来たって思われて、大変な事にはなるのではないの?」
ジャキ
「その心配はあるだろうが、人間は我らの敵ではない。案ずることは無いだろう。」
サラ
「じゃき! 貴方、なんて酷いこと言うの! この後に及んで力で解決しようとするなんて最低です!」
ジャキはあたふたして取り乱した。
ボッシュ
「しかしのう、話せば分って貰えるというものでもないからのう。」
ジャキ
「ならばこうすれば良かろうが!」
ジャキは自身をカエルに変身させた。
ジャキ
「以前に何度か人間をカエル姿に変えてやった事があった。カエルの騎士が魔族軍を掃討したこともあったから、この姿なら人間も受け入れるかもしれん。魔族に人間の姿に変えられた哀れな兵士という事にしてくれ」
サラ
「ジャキ! 貴方、人々になんて事を! あれ程、人に向けてみだりに魔法を使ってはいけないと教えてきたのに!」
ジャキ
「一応、手加減はした。傷付けないように戦力を奪う。だからこそのカエル姿だ。」
サラ
「言い訳するの!? そんないい加減な大人になるなんて、ああ、お姉ちゃん悲しい!!」
ジャキはサラの説教を聞き、ちじこまっていた。
「いい? カエルにした人間を探し出して必ず元の姿に戻すこと。」
ジャキ
「判ったよ姉上…。(それにしても40過ぎた年上に対して言葉がきつくないですか? 私もう母上と同じくらいの年齢上なんですけど…)」
ジール
「いい争ってるところ悪いけど、一旦ガルディアに戻らんか? 魔王城ってジメジメしてなんかイヤじゃ…」
サラ
「待って! 私たち、ガルディアと魔王軍の和平交渉するって約束してたの忘れてた! 人間の領土に攻め込まない。魔族が人間を食べないこと。そういう約束を魔族としないといけないのだったわ。
ジャキ
「えー!
サラ
「えー!って何よ! 貴方一応ここの王様でしょうよ。魔族を導く責任と義務があるでしょうよ!
ジャキ
「えー!」
そんなこんなで魔王軍との争いは終わり、一行はジャキを残してガルディアへと戻った。
これからジャキは魔族を説得する仕事をし、サラ達は和平交渉の調印書を持って行き、ガルディアと交渉しなければならない。
人間側は酪農や農産業技術を魔族の文化に持ち込んだり、魔族側は人間を襲わない様に教育したり、互いに我慢するところはあったが、ちゃちゃくと丸く収まっていったのだった…
サラ達が尽力をしていると間、
マールは一人、元の時代へ戻り、クロノの無実を主張した。
王宮はマールの熱意に押され、クロノの罪を不問とし、一方、ルッカはサラ達が元の時代に帰れる様にゲートを探し出す機械を作る事に没頭していた。
ルッカ
「やった! ついに完成したわ!」
ルッカが試作機のスイッチ押して完成を確かめると、ガルディアのマールに報告へいった。
その道中、森の中で試作機が反応し、もう一つの時空の歪みを見つけたルッカ。
ルッカは恐る恐る小型をロボットをゲートの中にほおりこむ。
カメラでゲートの向こう側を確認すると。
「大丈夫そうね…」
ルッカは一人では心細い。
クロノを呼び出しに行き、ゲートの先へと向かった。
その光景を城の窓から見ていたマールは
「ねえ? 二人共私を置き去りにしてどこ行こうっての?」
ルッカ
「マール、このゲートの先はどうなってるのかはわたしもまだ分からないの。王女である貴方を危険なところには行かせられないわ」
マール
「そんなこと知らない! 私はまた二人と冒険したい! だからついてく!」
ルッカの持っているゲートホルダーを奪ったマール。
「ダメだってば!」
ルッカがすかさず取り返すと二人は取り合い、もみ合いになった。
クロノがそれを諫める様に割ってはいると石に躓いて転げた。三人とも倒れこむと、いつのまにかスイッチが押され、いつのまにゲートの中に吸い込まれていった。
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■14話
ジールとサラの出番は殆どなし
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未来から帰ってきたクロノ達は中世のガルディアに来ていた。
サラ
「まあ、クロノさんにマールさん、ルッカさんお久しぶりです。それから貴方は…」
ロボ
「はじめまして、ロボと申します。
ジール
「鉄の生き物が喋っておるぞ
マール
「未来のロボットなの。
ジール
「千年祭での歌う奴といい、人間はなかなか凄いものを作るな。
マール
「あれはルッカが作ったの。ゴンザレスっていうの!
ルッカ
「まってマール、話がそれてるわ。
マール
「あ、そうだったごめん!
クロノ達は未来の世界がラヴォスに滅ぼされていた話を説明した。
サラ「え? 未来の世界が?」
ジール
「まさかラヴォス神がそんな事を…わらわはその様な危険なもに縋ろうとしていたのか…
サラ
「お母様、だとしたらジール王国の民たちは…
ジール
「信じたくないが、この時代の歴史に我らの歴史の記録が欠片も残ってないことを考えると…
サラ
「クロノさん私を未来まで連れてってくれませんか? この目でラヴォスの被害を確認させてください。」
ジール