時をかける女王
「手を貸しちゃう? 私達、魔法のやり方覚えたしめっちゃ強いよ!」
ボッシュ
「争いは好かんのじゃが…」
クロノ達が何色を示していると、外から悲鳴が聞こえた。
村人がエイラの元にかけよる
「大変だエイラ! 北の村に恐竜人が火を放った。しかもキーノを連れ去っていった。」
エイラ
「どうしてキーノが!」
「恐竜人のアザーラが言ってた。キーノを返して欲しければディラン城へ来いと。」
エイラには心当たりがあった。以前に村の近く森の中の恐竜人の巣穴に単独で攻め込んだことがあった。その際、親玉のアザーラに逃げられていた。エイラと親しいキーノを捕まえて、アザーラは復讐するつもりである。
「エイラ行く! ティラン城に乗り込む!」
ルッカ
「一人では危険よ!」
マール
「私達も協力するよ!」
ボッシュ
「ワシは酒の酔いを冷ましたい!」
一行はエイラに連れられ、北にある山からプテラに乗った。
ルッカ
「え? マジこれ乗るの?
マール
「だ、大丈夫かな…
ボッシュ
「ワシ、高いところ苦手じゃー!」
アザーラのいるティラン城は高さ1000m。そびえ立つ崖の上にあった。
外敵からの侵入を防ぐ為に建設されたのだろうが、この高さは人の足で容易に上り降り出来るものではない。この場合、恐竜人にとっての外敵とは人間だけを示す訳ではないのかもしれない。同族の恐竜人か、あるいはもっと異なる意図があるかもしれない。
空を飛ぶプテラもそうだが、高いところから離着陸できる方が生活の利に叶う。恐竜人がもし翼竜系統であるならば、高さ1000mの崖上は快適な生活拠点になるのかもしれない。
ルッカ
「少し酸素が薄いけど問題ないレベルね。」
マール
「なんで、こんな高いところに城があるのー?」
ボッシュ
(高いところ怖いー! でも酔いが覚める!)
6人が降りると、エイラは真っ先に門へと走った。
ルッカ
「まって! 一人では危ない!」
マール
「ねえ? 恐竜人ってどんか顔しているのかな?
ボッシュ
「…」
ボッシュはプテラに酔ってゲロをほんの少し飲み込んだ。
全員が城に入ると門が閉じて鍵が掛かった。
ボッシュ
「どういうことじゃ?」
ルッカ
「え? まさか自動ロック?」
マールとルッカが反作用ボムを使い、ロボがタックルしてみるがビクともしない。
ルッカ
「これが原始の科学技術なの? これってもしかして私達の時代よりも上なんじゃないの?」
マール
「恐竜人って一体何なの? 魔法使える様になったけど、自信なくなってきた。
ボッシュ
「気をつけるんじゃ。こんな丈夫な扉を作れるのなら、きっと武器等も作れるじゃろうて。」
5人が玄関でもたついているとエイラが立っていた。
エイラは既にキーノを救出していた。
エイラ
「どうしたんだ皆?」
ルッカ
「閉じ込められちゃったの…」
エイラは拳で門を殴りつけた。
ビクともしない。
ルッカ
「恐竜人を探して開けて貰うしか無いわね…」
一行は城の奥へ進んだ。
現代にもまだ存在しないエレベータにクロノ達は驚きつつ、城の上階へと進んでいく
最上階から向かいの塔へと渡り廊下が続く
ルッカ
「変ね…恐竜が待ち伏せしているかと思ったけど、誰も居なかったわね…」
マール
「ティラノサウルスみたいのが出たらどうしようかと思ってたけど、出てこなくて良かったよ。」
ボッシュ
(ワシはゲロが出なくて良かったよ…)
渡り廊下の先ではアザーラが空を見上げていた…
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■アザーラのミステリー
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アザーラはエイラを見ると、「少し早かったか」と呟き、塔の奥へと消えた。
しばらくすると、アザーラは巨石型のティラノサウルスの背に乗り現れ、エイラ達に向かって突進してきた。
廊下を埋めつくす程の巨体が、もうスピードで突進してくる。
反応の遅れたルッカとマール。
エイラが端に押し出してかぶさる。
地響きによろけたボッシュ。キーノが押し出して被さる。
ロボは立ち尽くし、クロノは巨石の足元にすべり混んで避けた。
ボウガン、ハンドガン、魔法で巨石に攻撃を加えるが全く効き目がない。
突進を繰り返すので、アザーラを魔法で狙うにも座標が合わない。
エイラは口笛を吹き、プテラが橋に近づくも、巨石の突進で誰一人乗る事ができない。
プテラは上空を旋回しながらエイラ達の攻防を見守っていた。
エイラは口笛を橋の下に向けて吹いた。
プテラがその意図を理解して、橋の下からクロノ達を受け止めようとする。たが巨石の吐く火でプテラ達は上手く立ち回れない。
突進しながら下に向けて火を吐くティラノサウルスは、首を下に伸ばしている。
その首にエイラが飛び乗り、アザーラに拳をぶつけた。
アザーラは吹っ飛ぶ事なく耐えた。
アザーラの周りには見えないバリアが張られているかの様にエイラの攻撃が届かない。
何度もパンチを加える。
エイラが驚いているとアザーラはニヤリと笑い、エイラを振り落す為ティラノを回した。
エイラがよろけて落ちそうになったが、
キーノが直ぐ後ろにいて支えた。エイラはパンチに夢中でキーノが後ろにいた事に気付かなかった。
「エイラ一人で無茶する。ダメ。」
二人は振り落とされない様に龍の背にしがみついた。
エイラ
「アザーラ! そこから出てきてエイラと勝負しろ!」
エイラ
「大地のおきて! 強いものが正しい! アザーラが言った言葉だぞ!」
エイラ
「隠れてるのは卑怯だそ!」
エイラが話している隙にプテラがクロノ達を助けようとするが、いつまた突進されるのか分からない中でプテラ達も尻込みしていた。
エイラ
「恐竜人、人間の言葉話せるのアザーラしかいない! アザーラ、どうして人間の言葉を話せるのに人間を襲うんだ!」
エイラ
「何故、人間と恐竜人、戦う必要がある!」
エイラが喋ろうとするとキーノが立ち上がった。
キーノ
「ずっと疑問に思ってた。
アザーラ、なぜ僕を殺さなかった。
僕をエサにして、城に皆を閉じ込める目的なら、僕を生かしておく必要なんて無かった筈だ。
それに…
僕達を殺すなら、なぜ、城に恐竜人がいないんだ。
アザーラ、君は最初から僕達を殺す気なんてなかった。
今だってそう。僕をいつでも振り落とせるのに君はやらない。
なぜなんだ?
君は僕達に何をさせたいんだ。」
アザーラ
「させたい?だと…」
アザーラ
「お前たち無力な猿に何ができるというんだ…
何もできない。何もできないんだ…」
キーノ
「キーノ分からない。エイラ、キーノも恐竜人と闘いたくない。戦わないということ、できる。
エイラ
「そうだ! アザーラが恐竜人、みんな、説得してくれれば、エイラもエイラの村のみんな、喜ぶ。」
アザーラは空を見上げた。
エイラ
「アザーラ、話しあおう!」
「まだ…見えないか…」
エイラの言葉にアザーラの声がかき消された。