原作アレンジ、クロノトリガー
「実は私達はこの剣を中世の時代から持ってきたの」
マールはこれまでの経緯を説明した。
ボッシュ
「そうか…。やはり、あの空間の裂け目は時を繋ぐものじゃったか…
なんとなくそんな予感したんじゃ。
お主らに出会ったあの日、ワシはその事を聞くためにお前さん達の帰りをあそこで待ったんじゃが…
ワシは聞く事を躊躇った。
マール
「どういう事なんです?
ボッシュ
「もしお主らがタイムトラベラーならワシは過去に戻ろうとする。でもその時代がどんな悲惨な事になっとるのか想像したら、その現実と向き合うのに恐怖したんじゃ…」
マール
「恐怖? ボッシュさんは中世時代から現代に来たタイムトラベラーなんですか?」
ボッシュ
「年代は詳しくは分からんが、多分、中世よりずっと昔だと思う。ジール王国という場所からここに飛ばされたんじゃ
マール
「飛ばされた?
ボッシュ
「お主らか言っておった未来を破壊したラヴォス。そのラヴォスに飛ばされてこの時代にきたんじゃ。
マール
「ラヴォス? ラヴォスは中世より前の時代にもいたの?」
ボッシュ
「ジールでは現代でいうところの魔法、いわゆる超能力を使える民が多くおった。国はその力を使い、ある時、地中深くに眠るラヴォスの存在性に気付いた。その強大なエネルギーに目をつけ、魔学的にエネルギーを抽出しようと試みたんじゃ。
しかし制御できんかった。エネルギーを取り出そうとする人間を敵視したラヴォスは暴走しはじめた。ラヴォスの膨大なエネルギーは時空を歪ませ、タイムゲートを生み出した。ワシはそのゲートに飲み込まれ、気付いたら今の時代に来ておったが、ワシ以外の人々はどうなったのか…。
この時代でジールの民を懸命に探したが…
お主らが、時を超えられるのであればジールの人々を見つけたら教えてくれぬか。もし、ジールへ行ける様であればワシもその時代へ連れていっておくれ。」
マールは頷いたあと思い出した様に言った。
マール
「実は私達、時の最果てという場所で、魔法を使えるスペッキオという生き物に出会ったの。
ボッシュ
「スペッキオ? 見てみないと、わからぬが…」
マールはボッシュを連れ、千年祭のゲートから消えた。
マールは時の最果てにボッシュを連れていった。
ボッシュはゲートを抜けると何かを感じ扉の先へと走った。
時の番人の元へ走った。
ボッシュ
「お前さん、もしかして、ハッシュか?」
時の最果ての番人
「だれじゃお主は? 確かにワシの名はハッシュじゃが…
ボッシュ
「弟のボッシュじゃよ。ほら、忘れたのかこの顔を!
ハッシュ
「はて? ボッシュ? 聞き覚えがある様な、無いような…
ボッシュ
「ハッシュ! ジールで何かあったんじゃ! ラヴォスが暴走した後、国のはどうなったんじゃ?
ハッシュ
「ジール? ラヴォス? なんじゃそれは?
ボッシュ
「お主、まさか何も覚えとらんのか?」
ハッシュ
「ワシは時の番人のハッシュ、ここで時を彷徨う旅人を迎える者…
他に用がないのなら、ワシは寝るぞ…」
ボッシュは記憶の無いハッシュに語りかけたあとクロノ達に言った。
ハッシュはジール王国を支えた時魔学の賢者であり、恐らくボッシュの様にラヴォスが生み出したタイムゲートに飲み込まれたのだろうと。
ボッシュは現代に飛ばされ運良く助かったものの、恐らくハッシュはそうではなかった。
ハッシュには出口がなかった。どこの時代へ行けず、時の狭間を永遠と彷徨った。
死を悟ったハッシュは、この時の狭間にせめて意識だけでも残そうと思った。
タイムゲートに飲み込まれた人々がハッシュの様に時の狭間で行方不明にならない様、案内役となる為、時の番人となった。
ボッシュはこの空間そのものからハッシュの魔力を感じるという。
この世界を作るために魔力を使い果たしてしまい、ハッシュとしての記憶を残す力までは無かったのかもしれない。ボッシュはそう推論を述べた。
マール「中世時代の魔王がラヴォスを召喚しようとしているらしいの。それって放っておいても大丈夫なの?」
ボッシュ
「恐らくだが、ラヴォスの召喚というのは、地中深くに眠るラヴォスを目覚めさせる行為の事だと思うが、現代が今無事である事を考慮するなら、ラヴォスは目覚める事はなく、失敗に終わるのやもしれん。
マール
「ラヴォスはどうやったら倒せるの?
ボッシュ
「ラヴォスは人知を超えた存在じゃ。倒そう等という事は考えん方が良かろう
マール
「1999年の破滅を受けれいるしかないの?」
ボッシュ
「それが人間の定めかもしれんのう。ラヴォスは遥か昔より、地中に存在していた生物。我らよりも地球に住む先輩かもしれん。ラヴォスにとって人間の方が後から来たよそ者なら、我らはラヴォスと共に共存していくしか無いのかもしれぬ…」
マール
「…」
ボッシュ
「ところでグランドリオンの件、修復したいのならワシが手を貸すぞい。元々ワシが作った剣じゃし、ハッシュに会わせてくれた礼もあるし。
じゃが、作るのに特殊な石が必要なんじゃ。ドリストーンといって現代ではもう手に入らないものなんじゃが、お前さん達なら、過去に行って取って来れるんじゃなかろうかの。」
マール
「うん、分かった。皆にもそう伝えるね。
マール
「ボッシュも魔法が使えたりするの?
ボッシュ
「ほうじのぉ。ワシは修復関係の魔法が得意じゃの。機械から人間まで傷付いたり錆ついたものなら何でも直せる
マール
「人間も!? まさかグランドリオンも魔法で直すの?
マール
「あそこまでポッキリ折れてしまうと流石に魔術だけでは無理だがのう。必要な鉱石と錬成が必要になるのう。人間の場合は肉体の欠損具合にもよるが現代医学よりかは上手に治せるぞ
マール
「頼もしいわね…私達、中世でガルディアに協力してるのだけど、ボッシュにも来てくれないかしら
ボッシュ
「それは構わんが剣の修復は良いのかの?
マール
「グランドリオンはそんなに凄いものなの?
ボッシュ
「正直ワシにもわからん。お前さん達が呼んどるそれは元々は聖剣などではないし違う姿をしとった。元々は赤色の短剣で魔族と戦う為ではなくラヴォスからエネルギーを吸い取る魔神機を壊す目的で作ったんじゃが、どういう訳か、魔神機を壊した際に今のグランドリオンの姿になったのじゃ。
恐らく魔神機から溢れ出したラヴォスエネルギーを浴びて剣の性質か変化したと思われるが、ワシはその後直ぐ、暴走したラヴォスにより現代に飛ばされてしまったからのう。
魔神機を破壊するつもりで作った剣が、後の世では魔族に効き目のある聖剣として語られているのは全くの想定外じゃ」
マール
「ふーん、魔族ってボッシュのいた時代からいたの?」
ボッシュ
「いいや、お前さん達のいうような魔族はおらんかったのう。ただ知的水準の低い魔力を持った動物はおった。ワシのいた時代は人間を含めて生物の多くが何かしらの魔力を持っとったから、きっとそれが進化したのが中世時代の魔族なのかもしれんな…」
ボッシュは考えるように語りだした。
作品名:原作アレンジ、クロノトリガー 作家名:西中