原作アレンジ、クロノトリガー
と、ボッシュはこんな感じで全てが上手くいくと思い込んでいた。
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■13話
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という話の流れになるのがボッシュの思惑だった。しかし実際そうはならなかった。ボッシュとクロノ達がジャキに会ったあと、サラに会いに奥の廊下へと向かった瞬間、ボッシュが光に包まれた。
マール
「こ、これって…
ボッシュ
「な、何か起こっておるのじゃ…。この冷たくて暗い感じは…」
クロノ達は見覚えがあった。中世時代にマールの祖先リーネが死にそうになった際、子孫であるマールが世界から消えた。
ルッカ
「…もしかするとボッシュがラヴォスゲートに飲み込まれない未来をこれから作ってしまうからじゃ…」
マール
「どういうこと?
ルッカ
「歴史を弄る結果、ボッシュは私達とは出会わない歴史になってしまって、そしてそうなる私達もここに存在してい…
ルッカが考察していると、ルッカやクロノ達の身体も光に包まれ、消え始めた。
ルッカ
「いけない! 何か手を打たないと私達、消えてしまう!」
ルッカは消えかけたボッシュの手を取り王宮の外へと走った。それに続くようにクロノ達も走った。
王宮の外へ出るとクロノ達を包んでいた光は消え、殆ど消えていたボッシュも浮かび上がってきた。
「な、なんじゃったんじゃ今のは??」
ボッシュが一息つくと、ルッカは歴史を変えた際に起こりうる矛盾点を説明した。
ルッカ
「ボッシュ、残念だけど未来を変える事はできないわ」
ボッシュ
「そんな…。我ながら良いアイデアじゃったのに。
ルッカ
「恐らく、この都はラヴォスによって消滅する運命から逃れられないのかもしれない。歴史のどこにも古代文明の痕跡が無かったから、きっと未来の様に滅亡してしまう。
ボッシュ
「お主らが見てきた未来の事か…
ルッカは考えこんだ。
ルッカ
「この空中浮遊の大陸がもしラヴォスによって落ちるのだとしたら…」
大壊滅する。浮かぶ大地だけではない。海に落ちれば海面の水位は一気に上昇する。それだけでなく衝撃から、大津波が発生して海岸沿いに住む人々はそれに巻き込まれてしまうだろう。
ボッシュ
「そんな…古代に住む人々を助ける事ができぬのか…」
マール
「諦めちゃ駄目だよ! ラヴォスが暴走しても大丈夫な様に人々を避難誘導すればいいんだよ。」
ルッカ
「そうよね…。この時代の人が生き残った分、歴史を大きく変えてしまう恐れはあるけど、その方法なら可能性があるかもしれない。
私達が誰かを助けようとして、私達がさっきみたいに消えそうになれば、やめればいいのだから。
マール
「それって、助けられる人がいても見捨てるってこと?
ルッカ
「しょうが無いじゃない。私達が存在しない事になったら、どのみち誰も助けられないのだから。」
エイラ
「エイラ、難しくて良く分からない。けど何となくわかる。みんな助けよう、みんな助けよう
ルッカ
「ここで、こうしてても仕方ないわね。ボッシュ、いつラヴォスは暴走をし始めるの?
ボッシュ
「ワシが嘆きの山に幽閉されてサラ様に助け出されたのが10月の30日じゃから…。ラヴォス暴走まではあと10日じゃな。」
ルッカ
「あまり時間がないわね…ここと海岸沿いの地上には人口ってどのくらいいるの?
ボッシュ
「現代みたいな統計はとっておらんから何ともいえんが、海岸には20万人はおるのう。天空都市では2000万人のくらいかのう…
ルッカ
「私達では到底フォローできるレベルじゃないわね…
マール
「中世のガルディア軍に協力をお願いできないかな
ルッカ
「そうね…彼らならタイムゲートの存在はもう知ってるから、説明もしやすい。
マール
「ガルディア軍て全部で5000人くらいいたよね?
ルッカ
「南の魔王軍は弱体化しているとはいえ、東西北との魔族戦に備えるだろうから、せいぜい動かせるガルディアは1000くらいじゃないかしら。
マール
「1000人で2020万人の避難誘導…
ルッカ
「一人あたり20200人の避難誘導になるわ。一人あたり一日2020人を誘導…
マール
「絶対無理とは言えないけど、難しそうだね…。そもそも住民が素直に話を聞いてくれるかとうか
ボッシュ
「それならワシの力でなんとななるかもしれん。ワシはこの時代では現代よりも遥かに有名人じゃからのう。
マール
「でもどうやって? ボッシュは幽閉されている事になっているのでしょう? ボッシュが表に出たら、そっくりさんだと思われておしまいじゃない?」
エイラ
「エイラ、良くわかないけどラヴォス、暴走したらやっつけるのはダメなんか? 暴走するの最初から分かっているのなら、待ち伏せて打てばいい。」
ルッカ
「どうなのボッシュ? ラヴォスは倒せないって前にも言ってたけど、
ボッシュ
「あの時はラヴォスから恐ろしい殆のエネルギー量にビビッたままタイムゲートに飲まれたから、きっと倒せないと思ったんじゃが、もしたら…
ボッシュは戦争で使われた魔導兵器の存在を語った。
魔力を溜め込み、発射する装置で、あまりに強力で戦争では一度も実践される事が無かったという。現代でいうところの核兵器の様なものであるが、攻撃範囲を固定でき、周囲に破壊の影響を与えない効果があるとのこと。
それがラヴォスに効果があるかもしれないという。
ボッシュ
「魔導兵器は破壊する対象物を囲む様に設置して起動する。多ければ多いほど威力は強力になる。たとえば7つ魔導兵器を使うなら、ラヴォスの周りを取り囲んで7人で同時にスイッチを押す必要がある。ちなみに同時にというのは安全装置みたいなもんじゃの。」
ルッカ
「つまり、私達には選択肢としてもう一つの、『闘う』があるのね。この時代のボッシュがラヴォスのタイムゲートに飲まれたあと、その魔導兵器をラヴォスの周囲に設置して起動する。」
マール
「なんか、怖い…。兵器を設置する前に私達もタイムゲートに飲まれる恐れがあるんじゃ…
ルッカ
「そうね…
ただ、もしかしたら、私たちは無事なんじゃないかしら。」
魔王城がラヴォスのゲートに取り込まれたとき、ガルディア軍はハッシュの配慮で中世に行きついた。
ルッカ
「時の迷い人を保護する為に時の賢者ハッシュによって、ガルディアの人々はそこへ誘導されたんじゃないかしら。だから私達もきっと、時の最果てに行く可能性がある。」
ボッシュ
「ちょっとまて、じゃあ、今の時代に存在しているハッシュはどうなる? 時の最果てはもうあるのだから、そこに行くというのか?」
ルッカ
「そこのところは分からないわ。ハッシュはもう一つの時の果てを生み出すのかもしれなし、時の最果てにもう一人のハッシュが現れるのかもしれない。」
ルッカには思うところがあった。
「時の最果ては、迷い人の行くべき時代に配慮しているのかもしれない。」
「最果てにあるゲートもそうだし、魔王城がゲートに飲まこれたときもそうだけど、私達は原始時代に行くように仕向けられた。
作品名:原作アレンジ、クロノトリガー 作家名:西中