原作アレンジ、クロノトリガー
ラヴォスが人間にエネルギーを取られるだけの存在に成り果てている時代を変え、ラヴォスに愛を組み込みました。
愛を知ったラヴォスは地球の過去を洗いざらい調べ、同族のラヴォスに皆さんの仲間達が殺された事を強く悲しみました。
悲しんだからといって、皆さんの仲間を助けられる訳でないのですが、皆さんの悲しみを少しでも癒やしてあげたいそうで、皆さんの脳内を操作し、悲しみの感情を取り除いてあげたいと申しています。
皆さんに問います、エイラ、ロボ、ボッシュを失った悲しみを取り除いて欲しいですか?」
クロノ達は断った。悲しくても、思い出を捨てたくない。自分達はエイラ達を助ける方法を探している、と。
ラヴォスはその答えを受け取る事を想定していた。その上で、クロノ達を騙す偽りの世界を用意した。
『クロノトリガー』そのアイテムを使うと過去の世界へ行き、時を止められる。つまり、死ぬ寸前の人間とそっくりな人形をすり替えて未来に連れて帰れば、過去の歴史を変えずに時の矛盾を成立させことができる。
しかし、そんな都合の良いアイテムはなかった。時が止まる世界を動くということ。それは止まった側の世界では光を超える様な速度で人がすり替えられるということ。膨大なエネルギーがその空間を飛び交い、すり替える前にそこに居る全ての者が破壊される。
壊れない様にバリアを作ったり、バリアを作るところを見られない様にこっそりと自分は透明にならないといけなかったり、光を超える早業で誰にも気付かれずに立ち回り、ばれたら記憶を消したり…
要するにクロノトリガーなんてものはなく、時を止める方法は無く、止まったかの様に見せかけてラヴォスが頑張るということ。
ラヴォスが頑張ればエイラ達を助けられる。
でもラヴォスにとっては、エイラ達を助けるよりも、複製する方が遥かに簡単だった。
たとえばラヴォスがエイラを助けにタイムトラベルする場合、まず原始時代のタイムゲートに入ってから、古代の時代にラヴォスが暴走するまで待たなければいけない。誰にも気付かれず、歴史に影響を与えない様に、ひっそりと森の中で暮らしたり、地面の中に隠れたりして、エイラをすり替えるその時まで待たなければならない。忍耐力が必要になる。
エイラと人形をすり替えた後は、光を超えるスピードで動きながら周りに影響を与えない様に配慮しながら、時の最果てゲートをくぐったりして、クロノ達に届ける必要がある。これも忍耐力が必要である。
未来のタイムマシンも同じ仕組みである。世界のどこかのゲートからラヴォスがタイムマシンの形をした乗り物を担いで、あたかもタイムトラベルしている様に見せかけている。
全ては子供達の夢を壊さない為に、ラヴォスが考えたアイデアだった。そのやり方が他のラヴォスにも受け入れられたという事もあって、先駆者のラヴォスは、今更、子供達の夢が壊すというのは他のラヴォスに示しがつかない。
そういう込み入った事情から、エイラ達を助けるのはとても面倒くさかった。
クロノ達にはエイラ達を助けることを諦めて欲しかった。
ラヴォスは泣いていた。
クロノ達が強がりを言っているのを聞いて泣いているのではない。これから仕事しなければいけないから泣いているのだ。全ては自分が決めた事。
『俺の○道は絶対、曲げねえ!』
ラヴォスお気に入りのアニメのセリフ。ラヴォスはその言葉を胸に今日も空を飛んだ。
苦労する鳥の様に…
クロノトリガー
苦労のトリガー
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■クロノの正体
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クロノは中世時代、マールが消滅する現場に立ち会った。
それをクロノの時間軸一周目とするなら、これは0周目の話になる。
クロノ0周目ではマールを救出できず、ルッカとクロノは人々の記憶から消失してしまった現代の王女マールを救う為に奮闘して、時代を駆け回った。
2300年の世界でガッシュが開発した試作機タイムマシン『精神ダイブシステム』を使い、マールが消失した直後のクロノの精神に入り込む事に成功した。
クロノは、その時間からもう一度マール救出をやり直そうとした。
だが上手くはいかなかった。
マールを助けようとするとクロノ自身が消滅する事態となったのである。
精神ダイブはその副作用としてダイブされている間の記憶が宿主には残らず、宿主の脳神経にダメージを与えてしまう。
マールを救えば未来にてクロノが精神ダイブをしてマールを救う歴史が成立しなくなる。
クロノは時の矛盾にハマり、幾度となく過去の自分にダイブしては諦めるという事を繰り返した。
過去の時代のクロノから2時間の記憶が消失し、脳に少なからずのダメージを与えられた瞬間、クロノはマールと同じ様に消失した。
クロノだけではなく、その場にいたルッカ、ロボ、エイラも消滅した。
結果的に時の流れが『マールが助かる歴史』に修正された。
この0回目の時間軸ではクロノは魔王ともカエルとも出会わない歴史を辿っていた。
マノリア教会でカエルに出会うには、王室の中で2時間何もしない事が必須だった。
マール消失後、部屋から出ると直ぐに衛兵に捕まり牢屋に入れられる。
衛兵の目を逃れたとしても、ルッカと行き違いになりはぐれてしまう。
マノリア修道院まで辿り着いても、蛇女は奥の隠し部屋にいて、シスターに成り済ます準備をしていたり、リーネの悲鳴を聞いて助けに向かっても一人ではどうにもならなかったり、マールが助かる為には小さな成功要因が幾つも重なっていなければならかった。
その上で、歴史を変えることができない主問題を偶発的にクロノは飛び越えて解決した。
クロノを起点とした偶発さは古代にも強い影響を与えている。
クロノ達が存在していなければ、後のジール王国は存在していない。ジールに住む人々は、何らかのきっかけで、クロノ達の歴史を変えてしまうような出来事に直面すると光り輝き消滅しそうになった。
特徴的なのはクロノ達が古代からゲートに戻った瞬間、天空大陸その物が光り輝いて消滅しようとした事だった。
天空都市が浮かび続ければ、それを見る地上人の歴史に大きな影響を与え、クロノ達が生まれなくなる。
古代人は天空都市を誰にも視認されず、干渉もできないように隠す必要性に迫られた。
クロノ達無しでは世界そのものが維持できない状況になっていた。
クロノの偶発的イレギュラーさは、その髪の毛の色にも隠されていた。
クロノの赤髪は染めたものではなかった。
クロノは赤髪一族の末裔で故郷は地球外惑星にあった。
その惑星はラヴォスにより滅びの運命を辿るが、その前に宇宙船を使い、人々は宇宙各地の惑星に避難した。
クロノの祖先はDC900年にガルディアの地に降りた。100年前、第二次世界大戦前の
地球であるが、その頃、地球人の間でウイルスが蔓延していた。
作品名:原作アレンジ、クロノトリガー 作家名:西中