原作アレンジ、クロノトリガー
だがエイラとクロノは助かった。クロノはエイラを抱えるとラヴォスの光が落ちてくる座標を避けた。ラヴォスの光が次にどの地点に落ちてくるか、未来の月からの司令にて知っていた。クロノ自身の意や心は考慮されないままに。
我に返ったクロノは古代の惨状を見て腰を抜かした。
クロノは操作されていた時間の記憶が無かった。
エイラはクロノの横で泣き崩れた。
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■光の正体
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D.C2300年はクロノ達が最初に見た世界に戻っていた。ラヴォスにより滅び、人が存在しない。
クロノはエイラを元の時代に戻し、未来の世界を探索していた。死に場所を求める様に彷徨い続けた。
「クロノ!」
どこかでマールとルッカの声が聞こえた様な気がした。振り返ると、ロボットが一体追いかけくる。レースロボットだろうか。
「もしやそなたはクロノか!?」
機械音声の主はクロノを知っていた。
「ワシはガッシュという者。こんな姿をしているが、古代ジールにいた者じゃ。お前さん、ボッシュとハッシュを知っておるじゃろ? ワシはその兄じゃ。」
「何から説明したらいいか…
「そなたがこの時代に来た頃、誰かが時越えしてきた事にワシは直ぐに気付いた。ワシを誰かが迎えに来てくれたと。そう思い追いかけたんじゃが、お前さんらは既にゲートを越えて向こうの世界に行ってしもうた。直ぐに追いかけ様とも思ったんじゃんが、お主らデータベースノアにアクセスしておったじゃろ? そこに残された無限エネルギーのアイデアを見つけてワシはそれどころじゃのうなった。」
「ワシは興奮した。これでタイムマシンは完成すると。」
「タイムマシンを完成させ、元の時代に帰る事に成功はしたんじゃが、ラヴォスの暴走を止める事はできんかった。しかしお主らが現れて人々を助ける様に誘導してくれ、ラヴォスからの被害を抑えようとしているのを見たんじゃ。
生きている時代の異なるお主らがラヴォスの被害を受けて死んでしまう。。こんな馬鹿げた話があってたまるものか。」
「ワシのタイムマシンを使って仲間を助けにいけ。」
「え? 過去を変える事はできんじゃと? 変えようとすると時の矛盾に巻き込まれて消えそうになるじゃと?」
「なるほど。そなたも同じ様な現象に…
「だがやるだけやってみれば良かろう?」
「何? 時の卵クロノトリガーなら可能じゃと?
「ハッシュが昔、その様なものを研究しとったのう…。たしか時を止めてその隙に死ぬ寸前の人間をそっくりな人形とすり替えると歴史に影響を与ないとかなんとか
「というか、なぜ、お主は時の卵の事を知っておるのじゃ? ハッシュは最果てでボケとったはず。
「はぁ? ラヴォスが倒されて平和な未来に行ってきた? しかも宇宙船に乗り込み、遊園地で遊んでいたじゃと?」
「そなたの申す事が本当なら、その世界は消えて無くなった訳ではなく、別の世界線、パラレルワールドとして存在しているということになるのかの…」
「にしてもお主、なぜ、その様な現象に巻きこまれたのじゃ? 何か心当たりはないのか?」
「ラヴォスが世界を破壊している時間の記憶が消失しているじゃと?」
ガッシュはクロノをタイムマシンのある場所に案内した。
「どのあたりの記憶が曖昧なのか案内してくれるか?」
クロノとガッシュはタイムマシン(シルバード)に乗り、過去へ飛んだ。
同時間軸にクロノが二人存在している。過去に強い影響を与える存在のクロノとタイムマシンは光輝くと共に、その時代の人から視認もされず、こちらからも干渉もできない様に幽霊の様な存在になっていた。ガッシュも同様に幽霊の様な存在になっていた。
ガッシュは魔具を取り出し、過去のクロノの脳内をスキャンし拡大した。
「な、なんじゃこれは!」
脳神経パターンが、ラヴォスとの戦いの前後で大きく変化している事に気付いたガッシュ。
ガッシュは注意深くその変化の瞬間を探した。
時間にして約12秒間。その間にクロノは別人とも言える程にシナプスの配列が変化していた。
「こ、これはワシが未来で作った試作機タイムマシン(精神ダイブシステム)が脳に与える作用に似ている様な…」
「この様な物が作れる者がワシ以外におるのか?」
「いや、居るわけない。」
「お主の見てきた未来では他に気になる事はなかったか?」
クロノは説明した。
人は皆、宇宙に旅立ち、光の謎を追っている。ラヴォスが時の卵を用意してくれ、死んだ人間を過去から救ってくれた。自身は赤髪一族の末裔で宇宙人だった事を話した。
「お前さんが、宇宙人!?? しかもラヴォスの中身が人を助けるじゃと?」
予想斜めな答えにガッシュはしばらく考えた。
「これはあくまでも推論じゃが、何者かがワシと似たような精神ダイブ機械、かなり高機能で誰の過去の脳内でも書き換えるものを持っていて、お主の脳内を書き換えた。その目的は判らぬが、地球文明の発展とは何ら利害も関係もないだろう文明の異星人が関与した可能じゃ。過去の歴史を操作しても、光の抵抗を受けない程の技術力を持っていたか、あるいは地球の歴史に関係ない者の仕業故に光の抵抗を受け付けないとか…」
「地球の時間の流れ、地球の外の時間の流れ、其々時の質が異なるのなら、地球の外からタイムマシンを起動すればまた違う現象が起こりうるか…? だとしても…」
ガッシュは混乱してきた。もう一度クロノの脳内を調べた。
スキャンレベルを拡大し、電子よりも小さなスケールレベルに拡大する。
「な、なんじゃこれは…」
クロノの脳内に電子よりも小さな機械が埋め込まれていた。。
「こ、これは脳神経の配列を書き換える為の魔具じゃ…。ジール王国で研究が中止されたはずの物がなぜ、お主の頭の中に…」
「じゃが、この魔具は実用性がなくてのう。脳のシナプスパターンは複雑すぎたんじゃ。生物をコントロールするにしても、それをどうすれば良いのか判らず仕舞いじゃった。」
ガッシュは念の為にクロノ以外の脳内も調べた。
ルッカ、マール、カエル、エイラ。其々の脳内にも同じ魔具が入れられていた。
「お主、ジール王国には何日滞在したのじゃ?」
クロノ達が滞在した時間は10日だった。
ガッシュは10日間のクロノ達の行動を監視した。クロノ達、其々が就寝している間に、何者かが魔具を脳内に入れた。
時間を少しずつ戻し、誰が犯人なのか突き止め様とするガッシュ。
犯人は透明マントを羽織っていた。
犯人の正体はダルトンだった。
ガッシュはダルトンの行動を追いかけた。
ダルトンはルッカのリュックからゲートホルダーを盗んだ後、クロノ達に混じって人々を避難させる行動をし、ゲートを抜け原始時代へ向かった。空を飛び、山を越え、もう一つのゲートから時の最果てに行き、色んな時代を観光した後、ラヴォスが古代を破壊した後に戻ってきた。人々からの同情を得る為に、服をボロボロにして。
崩壊したシェルターに向かい。瀕死の人々に回復薬や回復魔法をかけていく。
ダルトンは人々を救済した後、演説をした。
作品名:原作アレンジ、クロノトリガー 作家名:西中