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原作アレンジ、クロノトリガー

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マール「私達が現れたのこのへんだっけ?」

ルッカは周囲をうろつきながら空間の歪を探していた。

ルッカ
「あった! さあ、帰るわよ二人共!」

マール
「え? 帰るってどうやって?」

ルッカ
「じゃじゃーん! 
 これ名づけてゲートホルダー!
 テレポートシステムの小型版を作り特殊波長を埋め込んだの。微弱なエネルギー量でも波長を合わせれば空間の揺らぎが開いてタイムゲートに…」

マール
「ルッカ! 長話しているヒマがなーい!」

ルッカ
「よし、じゃあ二人とも私に捕まって!」
 (三人でゲートくぐれる保証ないけど)



〜現代
 ガルティア歴1000年〜


マール
「やったー! 戻ってきたー!」

ルッカ
「流石天才な私!(良かったぁ! 三人ともゲートくぐれたよぉ〜」


マール
「てか、もう夜だね…
 あ、門限がやばいー! 大臣に怒られる!」

走り出すマール

「待ってマール!」

ルッカがクロノの耳元で囁いた。
「お姫様を最後までエスコートするのが勇者の役目でしょう? それにほら、マールの命を助けたって事なら金一封とか出して貰えるかもしれないわよ。」


ヒソヒソ声で玉の輿チャンスもあるかも。とルッカにそそのかされるクロノの前に、一人の老人が現れた。

「そこの青年よ、その手にぶら下げてるのはホンモノか?」

クロノはしまったと思った。中世から持ち帰った刀。現代で日本刀等を持ち歩いてたら銃刀法違反で捕まってしまう。

ルッカ「おじいさん、これはコスプレに使うおもちゃの刀よ。


「嘘を言ってはいかんぞ。ワシにはわかるぞ。」

ルッカ
「なぜ、そう言い切れるの?」


「ワシはこう見えてちょっと有名な鑑定士じゃ。ほら、時々、テレビにも出とるじゃろ、ふんわり鑑定団に。」

「ワシは趣味で刀も鋳造しておっての、本物か偽物かは見てわかる
 たとえばお主が持っている刀の鞘、重厚感ある光沢を放ちちつつ、東方文化独特の長輪島式の模様をしておる。」

「長輪島式は地方の無名の少大名が作らせたもので、コレクターにも人気もなく、偽物すら殆ど作られんかったもんじゃ。
マニアの中のマニアしか知らない一品をコスプレで使われる訳がないのう。」

ルッカ
「この刀は最近流行ったアニメ、極めつけの刃をモデルとしてるから、お爺さんが知らなくてもおかしくないわ。」


「ワシを爺さん呼ばわりするでない! ボッシュと呼びなさなさい。ワシも極めつけの刃は見ておるので、鞘もチェックしておるがの、輪島式ではなかったぞぃ。そもそもアニメやコスプレ業界は著作権にうるさいからの、実在の刀をモデルにするとは思わんがな。ほら、ちょっと貸してみなさい。見せてくれんと通報するぞ」

クロノは恐る恐る刀を渡した。

ボッシュ
「ほらみろ、やはり本物ではないか。」

ボッシュはまじまじと調べた。

「な! これはまさか本物の輪島式?
 いや、そんな訳は…本物であれば、こんな状態の良いまま現存する筈がない。
 お主らこれをどこで手に入れなさった?」

マール
「私達は過去にタイ…」

マールが言おうとしてルッカが口を塞いだ。タイムトラベルをした話なんて信じて貰えるとも思えない。嘘つきと思われて、ややこしくなって通報されるかもしれない。過去の存在を証明しようとするにしても無闇ゲートを行き来して危険が伴うかもしれないし、歴史が変わってしまうかもしれない。
 

ボッシュ
「過去がどうしたかの? 」

クロノ達がモジモジしていると。

ボッシュ
「お! そうか、そういうことか! ワシの様な刀マニアが長輪島を模して作ったのか!」

ボッシュは勝手に納得した。

ボッシュ
「ええのう。ワシもそれ欲しいのう。良かったらその刀作った者を紹介してくれんかのう」

ボッシュは名刺を取り出してクロノ達に渡した。

ボッシュ
「しかし、お前さんら、どうして刀を持ち歩いておるのじゃ? しかもコスプレと嘘をついてまで…千年祭なんかに本物の刀を持って歩いとることがバレたら警備の人に捕まるぞい

ルッカ
「…」

ボッシュ
「うん? お主の顔どこかで…

ボッシュ
「お主はもしかしてルッカ…殿か? 若くして自立型の宴会用カラオケロボを開発し、今日は朝から世紀のテレポート大実験をしていたあの大発明家のルッカ殿か? そういえば今朝、実験を途中でいなくなって…。」

「じゃあ、そこにいる二人があのとき消えた二人かの? 無事に返ってきたんじゃなぁ。良かったのう。」

ボッシュは「なるほど。」と呟いた後、ルッカにサインをねだった。

ボッシュ
「まあ、おおかたルッカ殿のお友達二人は運び屋のアルバイト、というところじゃろうか。これから刀をマニアな人にお届けするんじゃろうなぁ。その気持ち、わかるぞぃ。」

ボッシュは刀を返すと立ち去って行った。


ルッカ
「なんとかなったわね… クロノ、刀は一旦私が預かっておくわ。実験で持ってきた資財の中に忍ばせておいて、後で届けるから」

ルッカはそういうと、そそくさと実験装置の片付けを始めた。
二人に手で早く行くように合図していた。

マール
「じゃあ、途中までエスコートお願いできるかな?」

クロノは頷くと、千年祭の会場を出た。


交通の多い大通りを歩く二人。


マールはこの国ガルディアの王族、帰るのは当然、王宮になる。

普段は護衛が何人もいるのが当たり前で、大きなリムジンに乗るのがあたりまえであり、徒歩で見送るというのも不自然であった。せめてタクシーを呼ぼうかとマールに聞くも、「いいのこのままで」と言うだけだった。



沈黙が続いた二人。
中世では忙しくてマールが王族だと理解する余裕すらなかったクロノだが急に、何を話していいのか分からなくなった。

千年祭でマールに出合ったときは、ルッカの話、主にテレポート装置の話をしたくらいで、クロノ自身の話はしなかった。

通りの反対側にクロノの家がある。
自宅は千年祭のすぐ近くにあり、近所にルッカの家がある。
自宅が見えた頃、人だかりができていた。恐らくルッカの実験に関しての取材だろうか、ルッカの家を囲むようにして記者達がいた。

時間は午後7時、クロノの門限にはまだ間に合ってるから叱られはしないだろうが、マールはどうなのか。そもそも、護衛をつけないで王族が町中にいるとか異常事態ではないだろうか。

クロノは今日一日の出来事を家族や知人にどう説明しようか悩んでいた。タイムスリップしてマール王女を助けに行って魔族にも襲われたとか、話したところで誰も信じないだろう。

ルッカの事も気になった。
ルッカのテレポート実験の成功も人間では見せられなかったから、きっとイカサマやマジックショーだと世間に思われたかもしれない。

そもそも自身が消えた後、ルッカは混乱したあの会場をどうしたのか。
テレビカメラやマスコミが沢山会場にいた事に問題はないのかと疑問していた。

クロノがマールに話せる話題がルッカに偏る。
ルッカ、ルッカ、別に恋人でもなんでもないのに。

「クロノ、ルッカのこと好きなの?」

そう聞かれて、普通に「好き」と応えるクロノ。
恋愛的に好きなのかと聞かれて、クロノは頭をかしげた。