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原作アレンジ、クロノトリガー

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クロノの頭の中を今埋めているのは恋愛ではない。

クロノにとって今日一番のショックは中世で見た妖怪的な何かだった。カエルのような人、巨大ゴキブリ、シスターに成りすました蛇女、その事で頭が一杯だった。
思い出すとクロノは恐怖で真っ青になり、その場にうずくまった。



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■3話 



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マールがはじめて魔物を見たのはリーネと大臣が連れさられるところで、蛇女が大臣とリーネを縛り、大ゴキブリの背に乗ったところからだった。ゴキブリは木へと登ると林の真上から山を駆け抜けていった。

この時は遠目で目撃していて、誰が誘拐されたかまでは分からなかったマール。
また化物達を見た事が信じられなくて実際に誘拐が起こったことすらその時点では認識すらしていなかった。

訳の分からない物をみたことに困惑しつつ街に降り、現代と違う町並みに戸惑っていると、兵士達にリーネと間違われて、そのまま城に連れていかれた。
城門の外には従者が集まっていて、『王宮内ではドレス姿でいないといけない』と咎められ、服の上からドレスを無理矢理着せられた。

自身はリーネとは違う、人違いだと言っても、話を信じてもらえず、そのまま王宮に上がる様に指図された。

マールとって先祖のリーネは歴史上の絵の中の人物だった。実物の写真は見た事がなく、リーネの名前を聞いてもピンしなかった。自身の先祖にあたるとは判りつつもリーネは称号の呼び名であり、代々受け継がれるものだった。
王妃の誰かと間違われているとは思いつつ、化物や歴史情緒ある街並みを見て、ファンタジーな世界に迷い込んだのだ。クロノと同じく夢か幻かと思い込み、誘われる様に王宮に入って行った。

王様には『今日も美しい』と褒められ、つい話を合わせて挨拶していると、従者に化粧直しの時間だと促され、そこまで付き合ってられなかったマールは『疲れた。寝室に行きたい』と駄々をこねた。

マールはガルディア城の内部構造には疎かった。現代の王宮は100年前に建てられた別棟があったし、今住んでいるのは敷地から200m離れた住みやすい別邸であった。現代ではガルディア城は文化遺産として残ってるだけで、特別な祭事くらいにしか使われない。

王妃の寝室が何処にあるか分からなかったマールは間違って馬小屋に行ったり兵士の寮に行って従者を困惑させた。

目的の5階、寝室に入ると、そこで新聞を見つけた。活版印刷特有の時代を感じさせる文字と記事を読んだマールは過去にタイムトラベルしたのではないかと気付いた。

記事には『南部魔王軍』という聞き慣れない言葉があり、魔族との戦争記事が書いてあった。
現代にそんな存在がいる事に覚えがなかったマール。ますます混乱するものの、最初に誘拐らしき現場に遭遇したのを思いだし、化物が魔族の事を示しているのだと理解した。

マールは以前から都市伝説やUFO話が大好きだった。心のどこかで世界の何処かにいる様な気がしていた。歴史上本当に居たとしたら、世界のリーダー達はその存在を知りつつも秘密を極秘にしている可能性もあるのではないか、現代のガルディアもそうなら良いのになと思っていた。

期待が確信に変わると同時に誘拐事件が本当にあったのだと確信した。

クロノが助けにきた頃、誘拐されたのが自分に見間違われている先祖のリーネかもしれないと気付いた瞬間、光に包まれてしまった。

なぜ光ったのか、なぜ自身は消えたのか、疑問だらけであるが、ルッカから『先祖が殺されそうな未来が出来たから』と言われ納得することに決めた。

マールは王宮に帰ったら、こっぴどく叱られるのを想定していた。とうやって言い訳をして謝罪をするべきか、そして落ち着いたら魔族の存在をそれとなく大臣やパパに聞いてみようと考えていた。

「ね? クロノは魔族の存在どう思う?」

クロノは相変わらず魔族の恐怖に怯えてしゃがみこんでいた。


マールは不思議だった。
なぜ、リーネは誘拐後、直ぐに殺されず、大臣も殺されなかったのだろうか。

クロノから聞いた話では、蛇はクロノを食べたがっていた。人間が食べたいだけならリーネも大臣も教会にわざわざ隠す必要がない。

蛇がぼやいでいた、「あと少しで食べていい」の意味は、リーネを殺す仕事が終わったら食べていい。の意味かと思ったけど、ただ殺すだけなら誘拐の必要はなくて、直ぐに殺しの仕事は終わって、クロノも食べられているはずだ。

殺すのをもたもたしていた理由があったはず。

タンスに入れられた大臣に何らかの交渉をしていたのかもしれない。

カエルも蛇も言葉を話していたから、ゴキブリも言葉を話せていたのだろう。リーネを人質にして、大臣に何らかの取り引きを持ちかけていた。その交渉が決裂して、リーネは殺される予定だったのかもしれない。蛇達のいう「あと少し」は交渉期限(タイムリミット)の様なものだったのかもしれない。

マールから推理話を聞いてクロノはゾッとした。
あの時、都合よくカエルが助けにこなければ、交渉期限切れで、外にいるルッカも食べられたのかもしれない。

そもそもいつカエル騎士はリーネが誘拐されたのを気付いたのか。

街で誘拐犯の聞き込みをしていた時、カエルは見かけなかった。
リーネが誘拐されたかもしれない。そう街で風潮していたから、その話を人づてに聞いて誘拐事件に気付いたのかもしれない。

カエルは蛇女を殺しはせずに真っ先にゴキブリの方へ向かった。『リーネかもしれない』という前提で助けに向かったのだろうか。リーネと自身の命を天秤にかけたら、リーネを優先するのが騎士としては当たり前かもしれないが、あっという間に蛇を倒せる力があるなら、先に自身を助ける事ができたのではないかとクロノは思った。






ルッカは時計をみていた。

(クロノがゲートに入たのが午前10時頃、私が向こうの世界に行ったのが午後2時で今の時間は7時。私が向こうに行っていた時間は大体5時間だから…)

「大体正確ね…」

ルッカは中世で過ごした時間の流れが現代の時間の流れと誤差がないかどうか計算していた。

(クロノが姫様を助けに行って、山を降りて街道を通り王宮に入り、姫様が消えるまで2時間として現代の時間だと正午頃。その後、クロノがベッドで少しゴロゴロし、私も到着するまで2時間掛かるとして、昼の2時頃に私は到着したはず。でも私は昼の2時にゲートに入った。二時間の誤差がある…)


「まさかクロノ、二時間もベットでゴロゴロしていたの?」

(誘拐の聞き込みからマールを助けて急いで現代に戻るまで3時間…私は少なくもと計5時間、あの時代に滞在した。昼の2時にゲートから入り帰った時間が7時だから過去と現代で誤差は特に無いみたいだけど…)


ルッカは機材を車に運びなが考えていた。

(そもそも何でリーネは誘拐なんてされる事になったのかしら? 王妃が護衛を引き連れているとしてその護衛達はどうなったの?
私は山を降りるまで誰にも出会わなかった。護衛達の遺体もありはしなかった。
なぜ大臣一人だけがタンスに閉じ込められていたのか…)