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原作アレンジ、クロノトリガー

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機材を車に運び終わり、運転席に乗り込んで一息ついたルッカはスマホを操作しはじめた。リーネ王妃の誘拐の記録を歴史ネットから調べた。

(なになに…ガルディア歴600年、リーネ王妃はその日、大臣と護衛7人と共に山道を散歩していてた。そこで盗賊に襲撃され護衛7人は交戦するもチカラ及ばず殺された。リーネと大臣は山道を途中まで降りて逃げていたが誘拐され、盗賊が予め占拠していいた教会に監禁された。大臣はリーネを人質に取られ、王宮の財産を横流しする様に脅しをかけられ…
…尚、教会の関係者であるシスター4人は盗賊が教会を占拠する際に殺害され…)

ルッカが目撃したベビ女やカエル男については何処にも記述は無かった。ただ王宮騎士グレンがリーネを救出したと書いてあった。

ルッカ自身、未だに化物が記憶に鮮明に残っていた。
大臣はそれを魔族と言っていたが、ルッカの常識では、それは都市伝説であり、非科学的であり、信じられなかった。

あの世界が過去であったとしても別の世界と繋がるパラレルワールドだったのかもしれない。
現にネットの歴史情報には魔族なんていうキーワードは一つも見つからない。
スピーチや機器の調整でここ数日まともに寝ていなかったルッカは幻覚を見たのではと自分を言いくるめた。




ルッカはクロノより一足先に家路についた。
家に記者を待たせていて、昼間の実験の事故について説明しなければならなかった。

クロノ達が次元の穴に吸い込まれたとき、ルッカはパニックを起こしつつも、ペンダントだけがその場に残される現象をヒントに、この事故は単なる事故でなく、発明のブレイクスルーのキッカケになるとふんだ。

不安よりも好奇心が勝り、ろくに記者への説明もないまま自宅の作業場に戻り実験をした。
自宅に訪れるマスコミには「消えた二人を回収する為の装置を作っている」「完成したら取材を受ける」とだけ言っていた。

装置自体は今あるものを小型化し、ペンダントの波長を出すパルス装置を取り付けるだけの単純なものであり、3時間程度の作業だった。

試作機のゲートホルダーは複数用意し、
それにドローンに取り付け、ゲートの先に遅らせる実験をして、安全性を確認した。

ルッカはゲートに入る前に記者達にこう言った。

「いいですか、私がこのゲートホルダーを使うと私も先程の二人の様に消える筈です。消えた後、一回戻ってきますが、それでテレポート装置の原理、安全性は証明された事になるでしょう。恐らく二人は携帯電波の届かない遠くの地域まで飛ばされて、道に迷っていると思われます。」

「後のことは二人を連れて帰ってから説明する」
と記者達に言い残していたルッカ。
家に帰ったルッカにはまだそのマスコミ対応の仕事が残されていた。

「あ〜今日はもう死ぬほど疲れたから、また明日ね」
とも、言いたいところだったが過去にタイムトラベルしたこと、興奮して語らずにはいられなかった。

とはいえ、タイムトラベルの再実験については危険が伴いそうで今の段階では言わなかった。
マスコミにはテレポートの再現実験は明日またやると説明して一旦帰って貰った。




マール
「クロノありがとう。ここまでで大丈夫。」

ガルティア城まではまだ遠い。
過去で危険な体験をしたクロノはマールを送り届けるまで安心できなかった。

マール
「え? 城までガードしてくれるの?
 ありがとう…。でも、それだとクロノが大変な思いをすると思う。」

クロノはマールの意味することが理解できなかった。

「えっと、これ言っちゃうと、王宮の悪口みたいになっちゃうから、余り言いたくないんだけど…」


「実はわたし、家出してきたの。

王宮のしきたりにウンザリしてて…だから私、祭りの最中に護衛を振り切って逃げたの。

家出する前に手紙を置いてきたけど今頃王宮は大きな騒ぎになっているはず…」



「でも、私、今日、いろいろなことがあった。

 流石にちょっとパパやママが恋しくなったの。

 だから家出計画を白紙に戻して、とりあえず帰ることにしたのだけど…

 多分、クロノが一緒にいるのが見つかると何かの疑惑とかかけて、監禁されかねない。

 まさかとは思うだろうけど、似たような事が昔あったの。

 何年か前にも私、護衛から逃げて街の子とたちと遊んでたの。私、今より子供だったから、それがいけないことなんて知らなくて…そのまま城まで友達を連れていったの。

 そしたら大騒ぎになって、友達とその家族が外国のスパイかなにかと勘違いされて、あれこれ尋問されて、監禁とはいわないまでも、何日も隔離みたいなことされたの。

 クロノは命の恩人だし、説明すれば判って貰えると思うけど、きっと王宮はクロノも家族も捕まえて何日も尋問すると思うの。

 命の恩人にそんなことさせる訳にはいかないし…

 だからね、私はここまででいいんだよ。

 エスコートしてくれでありがとう。クロノ。

 今日は本当に楽しかった。
 沢山の冒険もできたし、本当の友達ができたみたいで楽しかったよ。」

クロノは気の利いた言葉は探した。


「え? 私達は、もう本当の友達?」


マールの目が少し潤んだ気がした。

「え? 泣いてないよ。

 泣いてないってば!」


「じゃあね、ばいばい、クロノ!」

クロノはマールを見送らなかった。

「え? 堂々と友達だと紹介して欲しいって?

 昔のことは昔で今とはきっと違うから、きっと大丈夫だって?

 あははは! クロノってば前向きね。」

マールは少しだけ悩んで答えた。

「たしかに! ルールに素直に従ってちゃ、ルールはずっと変わらないものね。よし、ここは一発ギャフンと『彼氏連れてきた』とでも言っちゃおうか!」

 流石にそれは冗談なのだろうと思い、ホイホイとついていったクロノ。

城下の町並みが遠くなり、
ガルディア王宮が近づいてくる。
広大な城門に広大な庭が見えそうな頃、門番らしき兵士たちが駆け寄ってきた。
マールと兵士が何か話し、兵士達は無線で何かを喋った後、ヘリがやってきた。
ヘリが城門の外に降りた時、中から見覚えのある顔が出てきた。

白ヒゲの大臣。クロノが400年前の中世でタンスに押し込められていた大臣を助けたが、その顔によく似ていた。

白ひげ大臣はヘリから降りるとマールへとかけよった。

「王女様!一体どこへい行ってらっしゃのですか! 置き手紙をご覧になられた王様と王妃様も大変、心配されておられましたよ」

大臣はマールの横にいたクロノを見た。

「やや、この怪しい男は! 
 さては王女様を拐かしたテロリストか! ひっ捕らえろ!」

クロノ
「誘拐なんてそんなこと。僕はマール様を救ったヒーローですよ。褒められはすれど犯人扱いされる言われはありません!」

大臣
「本当でございますかな王女様?」

マール
「その通りよ。大切な客人なんだから、丁重におもてなししてちょうだい!」

大臣
「そうでしたか王女様。では早速、入証を発行するのでクロノ殿はここでしばしお待ちを…その間にマール様は心配為さっている王様と王妃様に早くお顔を…」


大臣