原作アレンジ、クロノトリガー
マールは警察に向かうことができない。
王家では門から出ようとすると、必要書類を諸々書かさされて、それ以外の場所には行けない。滞在時間、行き先のルート、護衛を配置する為のセキュリティ戦略の兼ね合いで許可が降りるまで最低でも一週間の時間がかかる。
マールの従者のビックスに頼んで警察署に向かって貰った。
ビックスに頼んでも期待した結果はなかった。任意の手続きをしてもクロノに面会できるのは明日以降だという。
大臣は警察には来ていなかった。
夜9時、マールは落ち込んでした。
母
「どうしたのマール?
マール
「ママ! 爺やがオカシイの! クロノをテロリストだって言うの!」
「なんで爺やはそんなひどいこと言うの? まるで悪魔…」
マールは言いかけて気付いた。普段やさしい大臣がこんな酷いことを言うのはあり得ない。まるで魔族の様だと。マールは過去の世界で実際に見た。少しだけど魔族を見た。記事でも読んだし、クロノから詳しい話を聞いた。
マールはポケットから400年前の新聞を取り出した。
ママ
「あら、なあに?これ?」
マール
「過去にタイムスリップした話。あれは冗談とかじゃなくて、本当の話なの。」
ママ
「まあ、本当によく出来た新聞ね…。『将軍ビネガーの進行に向けて、ガルディアの防衛基盤はもっと強靭にする必要あり。』、怖いわね〜」
半信半疑にしか受け取られていない様子だった。
マールは眠たそうな母を引き止め、一日中、中世での出来事を語って聞かせた。
明け方
母
「なら大臣は人間に化けた魔族という事ではないの? 私達は大臣に騙されていたのよ。きっと!」
母は部屋から2つのボウガンを持ってきた。ハンティングスポーツ用のもので、生き物を殺す目的のものではないが、当たれば相当痛いものだ。ボウガン競技は母の趣味だった。
マール
「ちょとなんか怖い気がするけど…
ママ
「良いのよ。身を守るにはこれくらいしないと!」
テレビでは17歳の少年が(名前無表示)が王族邸宅に爆弾をしかけて逮捕されたと報道されていた。
裁判は明日始まり、早ければ当日中に判決を下し、翌日には執行される。報道は死刑求刑と無期懲役予想で割れていた。
「ママ!なにこれ!
少年法はどうなったの!! なんでこんなにスピード裁判で罪が重いの!」
ママ
「え? 何を言っているのマール? 少年法って何の話?」
マール
「ママ、それ本気で言ってるの?
ママは至って冷静な顔をしていた。
マール
(まさか私達が過去で何かをしてしまって、歴史が変わってしまった?)
マールはルッカに相談する為に電話をかけようとしたが、辞めた。
もし魔族が邸宅内の従者に成りすまして監視しているとしたら、電話やメールは盗聴されている可能性がある。
魔族に敵対意識を向けている事がバレたらどうなるか分からない。
マールは2つのボウガンを袋にいれると、
「お母さん、私外に行きたいのだけど…」
マールは真剣な話をするときママとは呼ばず、お母さんと呼ぶ。
「クロノさんを助けたいのね…」
王家では門から出ようとすると、必要書類を諸々書かさされて、それ以外の場所には行けない。滞在時間、行き先のルート、護衛を配置する為にSP戦略の兼ね合いで許可が降りるまで最低でも一週間の時間がかかる。
手続きを待てばクロノはその間に死刑にされる。門から強行突破するのでは魔族に反目していると捉えられ兼ねない。
マールの母には一つだけ秘策があった。
それはマールが梱包して大型郵便速達で配達することだった。
いそいそとマールを梱包し始めしたお母さん。
そして、お母さんパワーが発動し、伝票にサインを書いた。
○
ルッカ
「何かしらこれ? めちゃくちゃ大きい! 差出人は…ガルディア!? もしかして私がマールを救出したことが王室で話題にされて、その褒美のプレゼントが届いだということ? 何かしら? もしかして軍事レベルのスパコンからしら? 前にテレビで欲しいって公言してたし。うふふ。良いことはするものよね。オーホッホッ!!」
ルッカは大きなダンボールを開けた。
ダンボールを開けると今度は重厚そうな強度ある箱が出てきた。
「うはーあ! はぁはぁ、ワクワク
wkwk((o(´∀`)o))ワクワク」
「もう、焦らしちゃって…。王族って粋なことするわね〜」
○
-
――――――――――――――――――――――――――――
■4話
-
ワゴン車の中でノートパソコンを操作されていて、傍らの機材は特種な電波を発信させていた。
警察所内のシステムにハッキングをしているルッカ。クロノを助ける為には止む終えない行動だった。
過去の裁判記録によるとクロノが助かる見込みはなかった。
この世界は道徳観、常識感覚がズレた人々しかいない。この世界は裁判員システムもない。
脱獄させる計画、この程度でも捕まればルッカ自身も死刑を求刑されるだろうが、クロノを助けるには命を賭けるしかなかった。
夜、ルッカの操作で警察署内部の電源が落とされた。
ルッカは日本刀背に特性エアガン(電気ピリピリ玉を発射して相手を気絶させる物)を手にマールはボウガンを2つを持ち、署内に侵入した。
二人は軍事用の赤外線ゴーグル(サバイバルゲーム用)を装着していて暗所を移動した。
警察内は突然の暗闇にパニックした。
ロビーには携帯の灯りを頼りに落ち着いてその場で待つ者や、状況を知るため署の外に出ようとする者、軽犯罪で捕まった者やその親族、様々いるが、ルッカ達は無視して、3階奥のクロノが留置されている入り口まで行く。
多様な犯罪容疑者が集められる部屋に続く扉である。扉の外と内で必ず一人以上は警官が見張りに立ってる。
彼らは常に武器(ピストル)を携帯している。扉は内側からのパスコード入力による電子ロック解除でしか開けられず、このセキュリティを抜けるのは並のハッカーでは無理である。
並のハッカーは無理でもルッカなら可能である。でも、それはある意味、ハッキングに関わった容疑者は直ぐに絞り込めるということ。脱獄に成功しようが途中で諦めて引き返そうが、警察署に突入した時点から技術屋ルッカは確実に最有力容疑者として候補に挙がる。
問題は扉のロックが解除された際、巨大なブザー音が発せられること。警察署では檻のある留置部屋へ容疑者を出入りさせる度に【容疑者が留置部屋から出ました】という合図をブザー音て知らせる。音が鳴る都度、署内の警察官は暴動に備え警戒態勢になる。
扉にいる警官2人をエアガンで気絶させる。
扉を開けブザー音が響きわたる。
【ブザー音が鳴り響く】ということはこの暗闇の中で容疑者あるいは警察官の出入りがあったということ。停電の非常時、緊張している警察官が留置部屋にうかつに出入りするのはあり得ない。留置部屋、つまりは檻にて何かが起きたと直ぐに予想される。
ルッカには一分も余裕の時間はない。ブザー音と暗闇にパニックしているこの瞬間にクロノを早急に檻から出さなければいけない。
作品名:原作アレンジ、クロノトリガー 作家名:西中