悪魔言詞録
69.鬼神 コウモクテン
いやあ。どうも、どうも。いつぞやはうちの四天王仲間、ゾウチョウテンがお世話になったようで。
いやね、あいつの力は折り紙付きなんですが、ちょっと団体行動に難がある男でしてね。召喚主さんのところでやってけるかどうか、私たち、ちょっと心配していたんですよ。
何? それなら普段四天王でいるときはどうなんだ? そこなんですよ。あいつ、われ先にと駆け出していっちゃうやつなんです。だから、足並みをそろえることができなくて、そのせいで切り込み役を任せたんですよね。それが、今んところ、うまくいっているんですけれどね。
その点、私はちょっと違いますよ。自分で言うのもなんですが、どんなときでも冷静に敵に対して対処するタイプです。他の仲魔にも気を配れるし、ただ殴るだけのあいつよりは小回りが利くんじゃないかと思います。
じゃあ、ゾウチョウテンとは仲が悪かったのかって? いや、そんなことはありませんでした。あいつの無鉄砲なところは目を見張る物がありましたし、後先を考えずに突っ込むなんて、私のポリシーに反することを、やすやすとやってのけてくれるので、あいつはありがたかったです。そういう意味では、歯車がかみ合っているんですよ、僕らは。
ただ、まあ、言い争いはしょっちゅうします。無駄に突っ込みすぎだなんてね。でも、そういうとあいつは、おまえが周りをキョロキョロしてなんにもしないからだという。戦では戦況を見るのがもっとも大切なことのに、おまえは何を言ってるんだと思わず言い返してしまう。それを見ていたジコクテンが仕方なく取りなしてくれることが何度もありました。それに多分、今後もこういうやり取りが続いていくんでしょう。
さあ、何はともあれ、今度は私があなたに助力をする番です。おや、こんなことを話していたら、早速、敵がやってまいりました。ゾウチョウテンとは違う動きや闘い方を、あなたにお見せしたいと思いますよ。さあ、見ていてください。