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悪魔言詞録

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66.妖獣 ヌエ



 いやあ、ヌエなんてものをやっていますと、いろいろなことがあるんですよ。

 例えばね、人間に見つけられてしまうことも多いんです。まあ、見つけられても構わないっちゃ構わないんですが、やはり人間界にうわさが広まると、結構面倒くさいことになったりするじゃないですか。なので、そういうことはなるべく避けたいんですよね。

 どんなところが面倒くさいかって? まずね、人間側があわてちゃうんですよ。まあ、そりゃあ人ならざるものが目の前にいるわけですから、あわてるのも分かるんですけど。あわて過ぎて誰も私の姿を正確に捉えきれていないんですよね。

 あるものは、顔を猿のようだと言い、あるものは、猫のようだと言うものもいる。あるものは、尻尾は蛇だと言い、あるものは、尻尾はきつねのようだと言う。胴体に至っては、たぬきだ虎だ鶏だと、人間は言いたい放題です。その上、何も描かれていないなんてのもあるくらいです。もっとしっかりしてほしいんですけど、仕方がありませんよね。

 そんなわけで、最近はすっかり人前に出るのが嫌になっちゃいましたよ。出るたびに姿を、間違えられちゃたまらない。実際によく観察されて、大した姿じゃないのがばれちゃ、悪魔の名折れですからね。最近はなかなか人前に出れないというわけなんです。

 だから、まともに私の姿を見る人間は、あなたが多分初めてなんですよね。まあ、人間といっても半分悪魔のようですが。
 でも、先ほど言った姿とずいぶんかけ離れているでしょう。そうなんですよ。虎とかきつねとかそんなすごい姿ではないでしょう。ただの肥満体なんです。実際がこんな姿じゃ、いまさら、なかなか人前に出れないですよね。

 え? でも、いい体格をしているから、頼りになりそうだ? ありがたいことを言ってくれるじゃないですか。ここは召喚主さん、一つ、私の正しい姿を人間界に広めてくださいよ。そうすれば私もまた人前に出られるようになるというもんですからね。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔