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悪魔言詞録

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64.鬼女 ヨモツシコメ



 ウヒヒヒヒ。こんなしわしわの醜い婆さんが出てきて、さぞかしびっくりしたじゃろうの。

 だがの、人間にだってじいさんや婆さんがいるように、悪魔にだってじいさんや婆さんはおるんじゃよ。それだけじゃあない、醜い者だって相当数いるもんさ。勇ましいイケメンや花も恥じらう乙女といった見目麗しいやつらばかりなわけではないのは、人間界と同じじゃて。まあ、それはお主もよく分かっておろう。ウヒャヒャヒャヒャ。

 だがな、わしゃあ、ただの醜い婆のように見えても実力はあるほうだぞ。特にな、誰かを追いかけるスピードなら誰にも負けないぞ。まあ、昔、捕まえるのに失敗したこともあるがのう。

 さて、お主もこんなのと一緒に戦いたくはないだろう。再び合体し直すか? それとも追い出すかえ? どっちでも構わんぞ。こういうのは慣れているからの。

 何? 世の中には老いた女が好きなものもおるじゃと? 人間の世界では、熟女とか美魔女とか呼ばれて、最近はもてはやされているだって?
 黄泉の国にずっとおるから久しく行っておらんが、今の人間界はそんな事になっておるのか。人間どもはけったいな生き物だと思っておったが、相変わらず、いや、わしの知ってる頃よりもおかしくなっておるのう。

 で、お主はどうなんじゃ。主もそういった老いた女性が好みなのか? ん。そのほうがええ。わしが言うのもなんじゃが、若いものは若い者同士、年相応でくっついたほうがいいもんじゃ。

 じゃが、わしも一応、女じゃからのう。一度でも良いから男どもにチヤホヤされてみたいものじゃ。仮に、このトウキョウが元の世界に戻るのであれば、あらためてそういった人間どもに会いに行くのも良いかもしれんのう。
 お主よ。もしも、もしもの話じゃが、特に創りたい世界などなければ、ここを元の世界に戻して、この婆の望みをかなえるのも一興かもしれんぞ。

 まあ、もちろん望みがなければで良いがの。じゃが、婆は期待せずに待ってることにするぞ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔